そういや「古代エジプトでは奴隷はどういう扱いだったんですか? ロボットか家畜のようでしたか?」という質問に対して、エジプト考古学の吉村作治さんが「いやいや、そんな扱いしたら奴隷といえども働いてくれませんよ、人間なんだし。現代で言えばサラリーマンですかね。」と回答してた記憶が。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2014, 5月 7
あまりにも有益なことを呟かないことで有名なオレのTwitterアカウントですが、ついこの間うっかり、RT数で1,000以上、favorite数で500以上というモンスターツイートを生み出してしまいました。週末でちょっと落ち着きを取り戻したかなぁ、と思ってたんですが、先ほど二日酔いから目を覚ましてTwitterをチェックしたら、日曜のせいか更に加速度的に拡散しているようでした。こうやってはてなダイアリーで文章を書いている間にも、Twitterには次々と新しい通知が届いています。
この発言は、以下のツイートを読んだことがきっかけで、ふと15年くらい前に読んだネットの対談記事かなにかに書いてあった内容を思い出して呟いたものです。記事の内容は、さすがにかなり時間が経っているので詳細に思い出せないのですが、今その記事を探そうとしても見つからないので、すみませんがここではこれ以上の言及は避けたいと思います。
ちなみに、この内容を酒の席で友人に話したら「そんなわけない!奴隷はもっとヒドイ扱いを受けていたはずだ!」と真っ向から否定されたのを覚えています。つまりオレと友人は、その記事に書いてあった内容を「奴隷と呼ばれていた人達はオレ達が思っていた以上に人間らしい生活をしていた」という、わりかしポジティブなものとして受け止めたのです。
ところが、オレの今回の呟きは、世間ではどうも、今流行りの「ブラック企業ネタ」として受け入れられているようでした。ポジティブなイメージではなく「日本のサラリーマンは古代エジプトの奴隷と同じ扱いだ」とネガティブなイメージで捉えられているようでした。140字で背景や文脈まで説明するのが難しいのは承知していましたが、読むタイミングで全く意味が異なって捉えられてしまう、というのは、実に恐ろしいですね。SNSを使う時には十分配慮したいものです。
さて、あんまりTwitterに通知が届くので、iPhone開く度に通知の内容……誰それがリツイートしました……をいちいちチェックする羽目になった訳ですが、なんとなしに眺めていると、今回のツイートに反応(リツイート・お気に入り登録)するアカウントにはある程度「傾向」のようなものが存在しているようでした。
反応した全てのアカウントをチェックした訳ではないですし、きちんと集計した訳でもないので、あくまで「オレの印象」に過ぎないですが、おそらくこんな感じの人達が反応しているんじゃないかと思われます。
- アニメアイコンの人が多い
- アニメやゲームが好きである事をプロフィールに記載している人が多い
- 学生や未就労者が多い
- フォロー数、フォロワー数が比較的少ない(100人に満たない)
ここからはオレの勝手な推測ですが、どうも「ブラック企業ネタを好んで扱う人達は、そもそも自身がちゃんと働いていないのではないか?」という印象を受けました。自分は働いていない、でも食って行くには働かなくてはいけない、周囲の人間も働くように促してくる、そんな葛藤や軋轢の中で「ほら、やっぱり働いたら負けなんだ」とどこかで思いたい、その行動の表れとして、意識的にせよ無意識的にせよ、働くことに対してネガティブな情報を集めるといった行動を取っているのではないかと思います。
元々ブラック企業ネタはIT業界の専売特許(?)でした。「同類相哀れむ」みたいなところがあり、「俺もヒドイ目に遭ってるけど、もっと酷いヤツもいるのか……。」もしくは、「アイツはヒドイ目に遭ってるって言ってるけどオレの方がもっとヒドイ目に遭ってる!」という感情からブラック企業ネタが横行している傾向にありました。
ところが、昨今のブラック企業ネタの流行は、ゼンショーやワタミグループといった外食産業に端を発しています。IT業界というのは、一般の人からすると、特殊なスキルを持った変わり者が行くところだ、という認識があるのかどうかは知らないですが、ともかく対岸の火事みたいなところがあったのだと思います。しかし、外食産業は誰でも必ず関わりを持ち、大手チェーン店の場合マニュアル化も進んでいるので、ノースキルでも就職が可能です。非常に身近な存在であるが故に、「我が事」として捉える人が多いんじゃないでしょうか。
最近のブラック企業ネタに食いつく人≒未就労者にとって、おそらくは「ブラック企業≒外食産業」であり、自分たちに対して最も広く門戸を開いている業界です。だからこそ、多かれ少なかれ反応してしまうのかもしれませんね。
「働いたら負けかなと思ってる」というネタ画像が出回ったのは、もう随分前のことですが、そう思うのは共感出来なくもないですし、現に今の日本では、良くも悪くも働かないで生きていく事がある程度可能です。何かしら働きたくない理由を探したくなるのも分からんでもない。
ただまぁ、自身のそういう思いが、SNSのこういったちょっとした情報で透けて見えてしまっている事は、多少なりとも自覚した方がいいのかもしれませんね。SNSを使うのって、我々が思っている以上に難しいことなのかもしれません。