ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

10/20(金)「BPStudy#122〜いかにプログラミングを学ぶか?プログラミング教育を考える」に参加しました。

はじめに

 先週金曜(10/20)は「BPStudy#122〜いかにプログラミングを学ぶか?プログラミング教育を考える」に参加してきました。2020年秋に小中学校で義務化されるプログラミング教育について最近ちょこちょこ調べているので、その一環です。BPStudyはこれで2回目の参加なんですが、受付の際に主催の佐藤さんがオレのことを覚えて下さっていてビックリしました。(どうやらドラゴンズファンつながりということで覚えて下さってたみたいです。ドラゴンズファンなのが役に立ったのは初めてだ)


bpstudy.connpass.com


この日はノートPCを持ち歩いていなかったのでメモはあきらめ、Twitterに走り書きを垂れ流していました。が、意外にログとしてちゃんと成立しそうなので、感想と合わせて掲載します。



第1部-1:子どものためのプログラミング道場「CoderDojo」とは? (CoderDojo Japan代表 安川要平氏)

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 10分ほど遅刻してきたので、最後の方をチラッと聞けた程度でした。100拠点以上ってすごいな!



第1部-2:子どもも大人もプログラミングで遊んで学ぶ!「CoderDojo」が楽しい!(CoderDojo藤沢代表 向井アリー氏)

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 「親御さんとお子さんを一緒にしちゃダメ」ってのがなかなか興味深かったです。あとで別の方と話していたら「自分もそうなってるので反省しなきゃなぁ」とおっしゃってました。」子供が学ぶのに親が邪魔になる、子の学びを親の邪魔しないよう、仕組みか親の忍耐が必要。親であるというのもなかなか難しいですね。



第1部-3:CoderDojoと教育行政 (CoderDojo柏代表 宮島衣瑛氏)

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 この勉強会で一番驚いた発表でした。柏だけで4拠点が存在し、しかもそれを学生主体で運営している。行政や教育委員会とも連携をとり、実際にカリキュラム作りで提携も行い、実際に学校での授業も行っている。行政や教育は閉じた場だというのがオレの認識だっただけに、それがオープンに開かれて草の根で広まりを見せていることにただただ驚きました。
 懇親会で宮島さんにお話を伺ったところ、柏市特有のレギュレーション(元々小中学校のIT化がさかん、行政側に課題感が強く、積極的に外部からの意見を求めている、etc)もあるそうですが、それにしても2020年を待たずに実践できているのは本当にすごいと思います。



第1部-4:元プログラマが辿り着けたプログラミングコミュニティ「CoderDojo」 (CoderDojo市川代表 土屋健一氏)

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 土屋さんは以前POStudyでお会いしたことがあり(たしか7つの習慣ゲームだった気がする)、Facebookでも繋がっているので、今日の発表者の方々の中では接点がある方でしたが、CoderDojoを運営されてるとは知らなかったです。企業(ビジネス)目線でどのようにマネタイズしていくか、からスタートし、紆余曲折を経て現在の形になるまでの話はとても参考になりました。



第2部−1:私の異常なプログラミング教育、あるいはどうやってプログラミングを教えているのか (株式会社クオリティスタート ゆもとみちたか氏)

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 超有名ブログ「GoTheDistance」の執筆者:ござ先輩こと ゆもとさんの発表。今回の発表資料もシレッとホッテントリ入りしててさすが!という感じです。


gothedistance.hatenadiary.jp


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 某大手企業のプログラミング研修にPythonを用いた経緯と、実際の研修で苦労されたことを語って頂きました。ループで苦労したことは、実はオレ自身はなかったんですよねぇ。あ、でもPHPはじめた時に初めて触った鬼のような多次元配列には、最初のうちは苦労させられました。オレが教える立場だとしても、つまずくのはループでしょうね、きっと。


 ござ先輩の意見に反するようではありますが、オレは社内研修のようなある程度強制力を持って教育を行える場では、Javaを教えるべきだと思っています。ござ先輩のおっしゃったように、Javaは非常に融通が利かなく、堅く、めんどくさい、というイメージを持っている言語で、それはある程度真実なのですが、それゆえに「覚える過程で堅く丁寧に書く習慣を強制的に身につけさせる」というメリットがあるとオレは思っています。(だから十把一絡げが集まる大型SI案件ではJavaが多く採用された)
 丁寧に書く習慣なんて後からでも身につくだろ、とか言う台詞は、オレは過去に既存PHPWebサービス案件に参画した際にドブに捨てました。書けんヤツは書けん。三つ子の魂百まで。なので、SIerで今後も大して勉強しないだろう駆け出しエンジニアを育てるには、最初くらい徹底的に勉強させるという意味で、Javaのようなある程度スパルタな養成ギブスを用いることは必要だろう、というのがオレの持論です。
 ちなみに、自分で自学自習でプログラミングを始めるのならJavaScriptをオススメしてます。なぜなら環境構築がほぼ要らないから。



第2部−2:PyQの学習者サポートから学んだPython初学者への解説ノウハウ (株式会社ビープラウド 大村亀子氏 & 清原弘貴氏)

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 ビープラウド社で運営されているPython学習サイト「PyQ」の開発・運営を担当されているお二人から、サービスの紹介と、ユーザーから寄せられる問い合わせの内容を発表頂きました。


pyq.jp

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 ユーザーからの問い合わせといってもクレームとかではなく「ここ分かんないんだけど」という学習内容に対する質問が主な内容。ユーザーのレベルがバラバラなので、全角半角ミスから前述のループ処理の理解まで、問い合わせの内容はさまざまです。オンラインサービス特有の苦労も聞けて面白かったですね。オンライン学習サイトって、オレ個人はドットインストールくらいしか試したことが無いですが、東進ゼミナールしかり、これからの学習スタイルの中心になっていくんでしょうね。



クロージング&懇親会



 懇親会は、パッと見30人くらいが参加。普段のBPStudyだと10人程度ということでしたから、それだけプログラミング教育についてもっと話を聞きたい、という人が多かったんでしょう。



感想

 2020年秋から始まるプログラミング教育の義務化は、オレに言わせれば、ハッキシ言って文部科学省の仕切りがかなりデタラメです。

 まず「プログラミング」っていう科目が増えるわけじゃないんですよね。国語・算数・理科・社会といった既存科目にプログラミング的要素を取り入れる、というのがその内容。しかもその方法は現場に任せる、という投げっぱなしジャーマンにもほどがあるだろ、と全力往復ビンタものの要項です。既存授業に組み入れる形だと、年間通した授業の流れが存在するし、既存科目の教員スキルとプログラミングスキルが混在するため、プログラミング授業だけの専任教師みたいなのは用意できないし、外注も無理。

 おそらくベネッセみたいな教育資材を扱う会社が、今まさにプログラミング授業の商材を一生懸命開発している最中だと思いますが、それらのどれが最もいいのかを現場の教師が選ばなければならないわけで、それもプログラミング知識の乏しい人には大変な作業です。当たり前ですけど、現場の教師のみなさんはプログラミング経験なんてほぼ皆無なんですね。しかも教師の業務は多岐にわたり、普段の4~6コマの授業の準備に加え、生徒の生活指導・進路指導、学校行事の準備、部活の顧問、いじめ・暴力・不登校といったトラブルへの対応。残業代も支払われない壮絶ブラックな環境でこれだけのことをこなさなければならないのに、さらにその上プログラミング教育まで課される。

 PG・SEとして15年以上飯を食っているオレから言わせてもらうと、プログラミングを自分の体感として身についた状態でこなせるようになるには、最低2年くらいの実務経験、あるいはそれに相当するプログラミング経験が必要です。これらを教師の方々が普段の仕事をこなしながら習熟するのは、ほぼ不可能に近い所業です。ちゃんとプログラミングを理解したうえで子供たちに教え、問題が生じたときに一緒に解決する、なんてのはまず無理でしょう。


 とはいえ、子供たちにプログラミングを覚えてもらう、という方針自体は大賛成です。以前以下の記事でも書きましたが、当人が今後プログラミングを行わない立場であっても、発注側に立つ可能性は十分に考えられると思います。その時、過去にプログラミングを経験していれば、ある程度システムを作るということを理解した上で適切な発注ができるのでは、という淡い希望をオレは抱いています。今回の文部科学省のプログラミング教育の方針でそこまでの理解を身につけてもらえるか、はかなり怪しいですが、それでも0と1とでは雲泥の差でしょう。


takigawa401.hatenablog.com


 で、あるならば、やはりITエンジニア側が教育現場に寄り添っていくのが直近の問題解決の近道であり、それを実践しているのがCoderDojoのみなさんだと思います。その存在はなんとなく耳にしていたのですが、今回こうやって話を聞いてみると、オレの思っていた以上に活発に、かつ広範囲で活動されていることに驚きました。実際にやるのは相当難しいんじゃないかな、と思ってたんですが、やってできるもんなんだなぁと素直に感心しています。


 ただ、いくつか課題もあると思っていました。たとえばCoderDojoが無償・ボランティアであること。当たり前ですがサポート側も生活があるので、無償で続けることは不可能です。他者の善意にかまけていては、いつかその人のモチベーションがなくなったときに活動が途絶えてしまう。どうしても有償化は必要なはずなんですが、この時無償のCoderDojoの存在が逆にその動きを阻害してしまうのではないか、と。
 この疑問には、懇親会で宮島さんが答えてくれました。CoderDojoはプログラミングの場の提供と若干のサポートをする程度で、基本的には何も教えないんだそうです。質問されたら答えるし、相談されれば可能な限り乗るし、でも教えたりカリキュラムを用意したりはしない。継続性を高めるために準備コストを極力軽くしている一方で、きちんと教えているわけではないので、有償の塾のような存在とはきちんと住み分けができるはず、とおっしゃっていました。事実、宮島さんは自身の会社では有償でプログラミングを教える事業をやっていらっしゃるそうです。なるほどねー。


 あとは地域格差なども気になるのですが、それも何らかの対策を講じている人がいるかもしれません。オレ自身、プログラミング教育の現状を知り始めたばかりなので、もう少し突っ込んで調べて、現状把握と対策を考えてみたいと思いました。