かつてITエンジニアの端くれが夢見た幻想郷「MF電脳部」
この記事は「#しがないラジオ Advent Calendar 2019 - Adventar」の9日目です。「しがないラジオ」のアドベントカレンダーとして相応しい内容かどうかは自信がありませんが、少し思うところがあってそれを書いてみたいと思います。
2017年7月からだいたい月1回のペースで土曜午後に「MF電脳部」という活動をやっていました。
「MF電脳部」という名前は、参加メンバーの多くがかつて所属していた会社の名前の頭文字をとりました。なので活動への参加条件は
- 現社員・協力社員
- OB・OG
- 上記1or2の知人・友人
のいづれかに該当することとし、オープンな参加募集は行いませんでした。
会場もその会社が持つコワーキングスペースのような場所を使わせてもらいました。20名くらいのワークショップくらいなら全然出来ちゃうようなスペースと、四谷という東京のど真ん中な立地という、贅沢な環境です。ただ、割と使用できるタイミングが限られるので、他の場所も色々試してみたんですが、使い勝手が悪くて、結局この場所に戻ってきちゃう感じでした。
キャッチフレーズは「ひとりでやったり、みんなでやったり。」ユルく、無理せず、気ままに、気楽に、楽しく、ITエンジニアリングとそれに関わることで遊べたらいいなと思ってやっています。みんな仕事やプライベートが忙しいので、無理して参加したりもしないし、参加を強要したりもしないです。会場が確保できない時も無理に開催したりしません。とりあえず会場が確保できて、2人以上集まるなら開催、みたいな感じです。なので、各回の参加人数は、多くて10名程度、少ない時には本当にたった2名でした。
MF電脳部を企画したきっかけですが、だいぶ前の話なんで記憶があいまいなものの、確かこれだった気がします。
takigawa401.hatenablog.com
友人たちと電子工作を体験しよう、という遊びだったんですが、世間のIoT需要についていけてない身の上でもあったので、「こういうのを定期的にやれる場所が欲しいね」って話を元上司兼現飲み友達の@twissyorgとしてたんです。ちょうどそんなタイミングで、我々の古巣の会社でいつのまにかコワーキングスペースを作った、しかもその管理責任者が、我々と酒飲み仲間だった元同僚だという話を聞きつけまして。空いている時でいいからコッソリ場所を貸してくれとお願いして快諾してもらい、かくしてMF電脳部が開催されることになりました。……え、経緯が薄っぺらいって? こういうのは勢いですよ、言い出して動いたモン勝ち。
結果的に管理責任者だった彼がちゃんと社長に報告してたので、会社からも黙認してもらえてたみたいです。元社員だから赤の他人にも等しいのに、こういうところは懐が広いなぁ、と思いました。
主な活動は「もくもく会」です。テーマはありません。参加者が自分でその都度テーマを設定し、自分のペースで勝手に取り組みます。
PythonやGo言語書いてるヤツもいるし、プレゼン作ってるヤツもいるし、ハンダ付けしてるヤツもいるし、ノートPCの初期設定してるヤツもいるし、ブログ書いたりとかしてるヤツもいました。
もちろん、せっかく集まっているので協業もあります。突発的にAlexaのモブプロが始まったこともあったし、計画的に大きめのプロダクトを数人がかりで作る人もいました。
また、外部から講師役の人を呼んでワークショップや座談会をやったりもしました。ワークショップの前提は「素振り」であること。ちゃんとした場でワークショップの講師を担当する人には、少なからず「事前に試しておきたい・反応を確認しておきたい」という思いがあります。大規模の人数を向けたワークショップ、しかもそれが有料だったりすると、やっぱり事前にある程度用意したワークショップを検証・確認しておきたくなります。そういったときに「電脳部」を活用してもらい、メンバーから希望者を募って受講者として参加してもらって、ワークショップの素振りをしてもらうことがありました。
登壇者からすれば、事前にワークショップの出来を確認できるし、メンバーからは本来有料のワークショップに無料で参加できる、本来関わりの薄い世界に触れられて見識を広げることができる、というWin-Winが成り立っています。電脳部のメンバーは基本的に好奇心の強く何事も面白がれる奴らばかりなので、ワークショップの参加は任意にしてあるにも関わらず、ほぼ全員が参加してます。最後にきっちり感想まであげて、改善のお手伝いもしたりするので、講師役の人にもそれなりに好評だったりします。
終わった後の打ち上げも参加したい人が自分のペースで勝手に飲んでもらうようにしてました。時間無制限セルフサービスで飲み放題ってすげー楽チン(時間無制限は土曜日だけのサービスです)。
tabelog.com
2019年12月07日の活動をもって、MF電脳部は全ての活動を休止しました。理由はいくつかあります。会場として使用させてもらっていたコワーキングスペースが使えなくなること、直近で参加者数が低迷していたこと、言い出しっぺの片割れであるオレがこの年末年始で東京を離れること。続ける理由も方法もありましたが、ダラダラと惰性で続けるよりはここで区切りをつけようと決めました。
本当にいろんなことをやりました。
みんなでモブプロやったり
VRで遊んでみたり
ボードゲームの試遊会をやったり
RSGT2019で実施する予定のワークショップの素振りに使ってもらったりもしました。
飲みにもいっぱい行きました。話もいっぱいしました。直近自分たちが関わっている技術の話、ビジネスの話、興味分野の話、会社の話、プライベートの話、ロクでもない話、それこそ色々です。
オレ達はかつて同じn次請のSIerに所属していました。SIerとは名ばかりの実質派遣業で、全員客先常駐で自社には事務方以外誰もいなくて。
だからこそ、半ば上からの押し付けではあったものの、土曜に自社に戻ってきてみんなで勉強する文化が根付いていました。土曜だから関係もフラットで、先輩後輩関係なく仲良くなって、そのまま遊びに行ったり飲みに行ったりして。なぜか個性の強い面々がたくさん揃う不思議な会社で(当時の採用担当の頭か方針がおかしかったんだと思う)、仕事や環境は決して良いとは言えないながらも、なんのかんのと面白おかしくやれてました。
MF電脳部はその文化を踏襲していました。会社に所属していた当時は、我々の関係は上司・部下であり、先輩・後輩でした。MF電脳部ではそういった肩書きは既になく、互いが尊敬すべき一エンジニアでした。だからこそ、細々とながらも2年以上続けることができたのだと思います。
メンバーの殆どは既に件の会社には所属していません。MF電脳部の活動中に転職した人、フリーランスになった人、主たる仕事のやり方を大きく変えた人、様々です。そういった中で会社に所属していた頃と変わらずITエンジニアリングで学び遊べていたのは、本当に楽しかったです。
MF電脳部は最後に各々の未来の話をして終わりました。それが相応しいと思ったんだよね。ずっと前向きにロクでもないことをし続けるのが、いつものオレたちだっただろって。最後だからって何も変わらないだろって。
— 日曜日よりの使者(ブルーマンデー) (@takigawa401) December 7, 2019
今日、1つの最期を迎えた。でも最後ではない事も伝えたつもりだ。来年からは定期的に顔を合わせることはないかもしれないが、いつでも頼りあえる関係であることもまた同時に定義したつもりである。
— 松本さんが…(松本山雅を訓読みでなぞらえた (@twissyorg) December 7, 2019
自らの軌跡である道筋に螺旋のように絡みつく強固な仲間達よ。一旦の終わりにありがとう。
MF電脳部という形での関係は、今回一旦終わりを迎えました。でもオレたちの関係はこれからもきっと変わらないんだと思います。いつまでも、どこにいても、互いにITエンジニアとして刺激し合える、そんな関係が続いていくんじゃないでしょうか。
改めて、みんなありがとう。またいつか一緒に楽しく遊びましょう!
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