はじめに
昨晩は秋葉原某所で行われた対談イベントを聴講してきました。ファシリテーターとして活動していらっしゃる高柳さん(@DiscoveryCoach)が、パタンランゲージで有名な中埜博(なかのひろし)先生にインタビューをする、というのが主な内容。(裏テーマに、中埜先生とのコラボ企画を複数作り出す、というものがあるらしいが、それはさておき)以下イベント詳細。
「ファシリテーターはどこにいますか?」そんな問いから始まったこの企画。ファシリテーターが気になってるファシリテーターにインタビューして、聞きたいことを聴きだそうという企画です。
今回はとある方から縁をいただいてパタンランゲージやまちづくりで有名な中埜博さんにインタビューさせていただけることになりました。私にとってはワークショップという面で、場づくり(とくに空間の使い方)についての考え方など知りたいことがたくさんあり、2時間で聴ききれるものではないとすでに楽しみになっています。対話の空間、ファシリテーションのパタンランゲージなど私のファシリテーションの視点で切り込んでみたいと思います!
オレ自身のパタンランゲージに対する理解は、以前書いた以下の記事をお読みいただければと思います。
このイベントに際して、オレ自身のスタンスは単なる一聴講者であり、自分用のメモを取る以外はひたすら聞くことに徹しようと思ってたのですが、なぜか以下のようなキラーパスが来てしまい……。
あとは@takigawa401 に任せた
— ビオレパパ☆ぃゎ (@iwaoRd) 2017年9月4日
ブログ待機
— ビオレパパ☆ぃゎ (@iwaoRd) 2017年9月4日
しょうがないから、メモとして放流したTweetのまとめと、簡単な感想のみを記録として残しておきたいと思います。
メモ代わりのツイート
Pa : 大元
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
ttern: 繰り返し
パタン:多様性の繰り返し
パタンランゲージ:多様性の繰り返しを言語化する
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
ランゲージ:直感的、音を聞いて構造を把握できる、感情を表す、etc
全く新しいものを作り出すことは無い
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
過去の経験・知識らを組み合わせて作り出す
自分が理解したことは相手にも理解してほしいし、相手が理解したことは自分も理解したい。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
言語はその理解のための共通のパスとして機能する。
パタンとして活用するには、言語を明示化する必要がある。
パタンには解決法の提供と、新しい追求がある
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
プロジェクトランゲージはパタンランゲージの一部
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
パタンをランゲージ化する、つまり共有化することが重要。共有化には様々な目的が含まれる。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
強い要求を持っている時には必ずランゲージを持っている。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
ファシリテーターの場合、場の持つ共通項(=パタン)を見つけ出すことは「発見」である
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
自分の経験・知識を元に、場に出た意見をそのほかの人に伝わりやすい言葉に置き換える、誘導することをパタンランゲージと言う。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
課題:正当性と自主規制
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
課題の解決法:強い動機付け
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
動機付け:個々ではなく、全体で見た時に実現したいという思い
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
フォービズム:様々な要素が重なり合って新たな要素を生み出す
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
全体一致ではなく、最も重なり合いが大きいところを採用する
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
差異化、違和感に注目すると、合意のズレに気付きやすい
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
差異化←細胞の差異化 という作業から
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
万能細胞が差異化を行うのは、「環境」「場」によって異なる。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
まちづくりの場合には、人はいじれないので、場に要素を与えることで、ある程度特定の人達に影響を与えることを想定して行う。
エントロピーを常に下げる動きをして行かないと、生命は生きていけない。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
プロセスは全て修復作業
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
日本人は個人の権威がつよい。そして保守的で、自分が間違っていても変えたがらない。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
パタンランゲージとはかなり意識的な作業。秩序を作り出す作業。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
日本人の使う言葉は何故パタンランゲージとして弱いのか?
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
→花道や茶道はパタン。秩序に則って表現の自由を勝ち取っている。
随喜点
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
グループワークやる時には、事前に個々人の意見・意思の徹底した追求が必要。圧倒的な動機付けをあらかじめ用意してくる。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
パタンランゲージは森羅万象の理を説くものかもしれない?
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
このパタンは今は役に立ってる。でもいつか役に立たない時が来る。その時に変えればいい。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
これまでの科学を知っていること、今の科学の変革を知ってることが、問題を解決して行く上で自信になる。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
この人が言ってることを本当に理解できているか、突き詰める作業が必要
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
全体性は人間の実感(体感?)として存在する。
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月4日
感想
いやぁ、久々にホンモノのオタクの本気の話を聞きました。こういう体験ができるのは、積極的に勉強会とかに参加していたとしても、せいぜい数年に一度あるかないか、というレベルですね。中埜先生の話は深く、それでいて広い。まさかパタンランゲージの話を聞きに来て、量子物理学や化学、宗教学にまで発展するとは思いもしませんでした。圧倒的に面白かったです。
※オレの「オタク」という用語の定義は以下の記事で行っておりますのでご確認ください。
オレのこれまでの理解では、「パタンランゲージ」の「パタン」とは「道具」であり、いわばカードゲームのカードだと理解していました。カードそのものを端的に表す「名称」があり、それがすなわちその道具を把握するためのショートカットの役割をなす。カードは「効能」と「副作用」の両方を持ち、状況や相手によって「効能」が強まったり弱まったり、あるいは「副作用」が顕著に現れてたり逆に打ち消されて効能と同等の効果を発揮したりする。組み合わせで使う(=コンボ)ことで複合的に作用し、本来の個々の力以上のものを発揮しうる。そんなイメージです。遊戯王カードやマジック:ザ・ギャザリングをプレイしたことがある方なら、イメージがわき易いんじゃないかと思います。
その理解はおおよそでは間違ってなかったという認識なんですが、今回のインタビューの中では「意見」「情報」「思い」「状況」と言ったものにも「パタン」は存在する、それらを個人に留めておくのではなく共通し理解を得るために言語化することが「パタンランゲージ」だと伺いました。ここはオレがこれまで誤解していた最も大きな点だと思っています。
これらは人が持つ「意見」や「思い」、場が持つ「状況」から特定の要素を具体化して取り出し、共通認識を持つ作業で、原子や分子を見つけ出して特性を明らかにし命名する行為に近いのかな、と思っています。ただし中埜先生はその行為を「観察が始まった瞬間に形を変えてしまう」ことから「量子物理学」だと表現されていました。確かに、最初のプリミティブな「意見」「情報」「思い」「状況」から特定要素を取り出して言語化してしまうと、少なからず最初のプリミティブな状態からは変質してしまいます。それでも、言語化しないと相手には伝わらないし、共通認識を得ることはできない。この辺の話は、以下の美大生と工大生のやりとりを分析・解説した記事が、とても分かりやすく表現しているなぁと思って読んでいました。中埜先生は「秩序を取り戻す作業」とおっしゃっていましたが、個人的にはとても腑に落ちました。
また、パタンランゲージは、東洋人、というか、多神教国家の人間の方が理解が早い、というのも個人的な意見と同じで嬉しかったです。特性を分析し抽象化し言語化して、それらを別の生きている何か(精霊・妖怪)に置き換えることができる。「場」や「モノ」が特性とエネルギーを持ち、生命力を感じることができる。擬人化なんてのが最たる例だ、なんて話も感想で言わせて頂きました。日本人はパタンランゲージが得意、なんて言われたら、そこそこ悪い気はしないっすね。
今回はインタビュアーがファシリテーターを本職とする高柳さんだったので、パタンランゲージとファシリテーションをどう結びつけるか、という話が多かったですが、個人的には勉強会等で高柳さんの振る舞いを拝見するに、結構パタンを活用してるよなぁと思っていたりします。あとはご自身でその手法に命名するだけかな、と。中埜先生の話が高柳さんの中でどういう気付きになったのか、は、いづれまた別の機会にゆっくり聞かせていただければ嬉しいです。