本日は早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構で開催されている「XP祭り2017」に参加しています。久々に随時更新にチャレンジ。さらっと雰囲気だけ分かるようなものを書いていきます。
まんざい
毎度おなじみ、Agile仙人こと小井土さん・福井さんによるアイスブレイク。オレはちょっと遅刻して着席したんですが、その時にはXP入門と題してかなりまじめな講義をなさっていました。
……が、いつの間にか完全に雑談になってました。XP祭りらしいユルい始まりですね。安定で安心。
【基調対談】ワークスタイル改革を実践者する二人が、働き方の本質を語る(青野 慶久さん、倉貫 義人さん)
サイボウズ青野さんとソニックガーデン倉貫さんの社長コンビによる、「働き方改革」というテーマでの対談。
- ウォーターフォールがよくない
- ウォーターフォールなのに失敗ばっかりしてる→死屍累々
- ウォーターフォールの何がよくないって、上流の人たちは楽しくやってる
- 夢語ってるのはそりゃあ楽しいよ
- そいつら大体開発工程になるといなくなる
- 青野さん「そりゃイラっとするね」
- 青野さん「開発者は運用を嫌がる」
- クラウド導入
- 客のデータ預かってるのに落としたら不味いよね
- 開発者も運用をやるようになった
- 倉貫さん「運用専任者がいるけど運用することそんなにない」
- プログラミングしだした
- 開発者が危機感持ち出した「開発だけやってるとまずいぞ」
- クラウドやってると開発者も運用できる(プログラマブル)
- 運用者もRubyとかだとメモリとか細かいこと気にしないでプログラム書ける
- 個人の中でDevOps
- 開発と運用を一気通貫するのが良いかなと
- 次に何をなくすか
- 倉貫さん「管理をなくそうとしている」
- 経営はさすがになくせない
- 中間管理職を置きたくない
- その言葉だけで悲劇
- 部署をなくした
- 上司がいない
- 承認プロセスがない
- 購入申請とか休暇申請がない
- クレジットカードの暗証番号を社内公開した
- 誰が何買ったか、フルオープン
- 社長もフルオープン、美味いもの食うとすぐバレる
- 個人評価をなくした
- 賞与はみんなで山分け
- 給料はいきなりMAXであげる
- ほしのカンパニー
- 「働き方改革」じゃなくて「休み方改革」
- 星野さんはスキー大好き、スキーを中心にスケジュールを組む
- それに合わせて会社の働き方も変えた
- 「自立」
- 自分で考えて
- 自分で決めて
- 自分で責任を取る
- ちょっと前まで全部会社が決めてくれた時代があった
- それはもう成り立たない
- 社長は社員んを洗脳して抱え込みがちだけど、そうではない考え方
- マイキャリ
- 自分のキャリアを考えさせる(議事録取って)
- 社内ドラフト会議
- 逆ドラフト
- 伸び悩みがちな社員を上司が指名して部署移動させる
- 断るのもOK
- 人が会社から出ていくのを必ずしも悪いと思わない方がいい
- サイボウズ製品を移籍先に導入してくれることも
- 会社からみんな去るような会社にはそもそも存在意義がない
- 経営者としては覚悟がいる
- 社員の抱え込みではなく魅力で社員が残ってくれる会社
- 退職金制度
- 20年は辞めるな、という制度
- 「今辞めたら損だよ」←どんな脅迫だよ!?
- 目標管理制度
- 目標を低く(難易度低く)するしかない
- 子供の時には人生について考えるタイミングが3年に一回くらいある
- 小中高大
- おとなの進路相談が必要
- YWT
- 新人はキラキラしたこと言う
- ベテランほどネガティブなことを言う「営業やってみたけど成果出ないし向いてませんでした」→「じゃあどうすんの?」→「こっちが得意だからこっち頑張ります」→覚悟が決まるからか、本当に頑張る
- 普通の会社ではネガティブなことは発言できない
- 部署間の仲が悪いのは、相手がどんな仕事するか知らないから
- 相手の仕事が楽そうで目立ってたりするとイラっとする
- 副業の話
- 日本の会社は余計なことをいっぱいやってる
- 働き方改革以前に余計なことを止めろ!
- これからは複数スキルが必要
- 楽するためにプログラミングすればいいじゃん
- 総務のお姉さんにkintone教えたら業務やりながらアプリ作って、そのアプリで業務改善しちゃった
- 日本で業務をハックする業務ハッカーを増やしたい
- 社内風土を作るのがマネジメントの仕事
- まとめ
- 青野さん
- ITエンジニアはもっと声を上げてほしい
- 倉貫さん
- スタッフから「青野さん紹介してくれ。XP祭りで。」大丈夫かホントに!?って思ってた→盛り上がってよかった
- 小井戸さん「倉貫さん働いてるか遊んでるか分からないね」←最高の誉め言葉
- 遊ぶ感覚で働く文化をもっと広めたい
ちゃんとアジャイルを踏まえた内容になってたのがすごいなぁと思って聞いてました。お二人ともトークがめちゃくちゃ面白いですね。ソニックガーデンさんもサイボウズさんも働き方改革の先駆者とあって普通の会社とは全然違いますね。ただ、「会社の仕組みをカリカリにチューニングして無駄を徹底的に省いている」からこそ実現できているのであって、残業禁止とか、20時になったら電気消すとか、小手先だけ変えるアプローチをやってる会社が「実現が難しい」とか言っちゃうのはちがうよなぁ、としみじみ思った次第です。
のぐちさんの発言がほんとに舵取りだけで、対談のお二人が進んでいく。さすが、のぐちメソッド。 #xpjug
— gaoryu (@DiscoveryCoach) 2017年9月16日
野良LT
お昼休み恒例の野良LT。会場が狭い普段と違うせいか、エラく盛況でした。ちなみにオレも発表しました。ノースライド・ノープランで喋ったの初めてだ。オレがしゃべったのは以下のブログ記事の続きの話です。
XP祭り2017:大企業だけど新規ビジネス開発をモブプログラミングでやってみた
楽天の川口恭伸さんから、自社でやられているモブプログラミングへの取り組みと、そこから得た学びの話を発表されていました。セッションタイトルが変更されていたんですが、ちょっとメモしきれなかったので、XP祭り2017のプログラムから引用しました。直前の野良LTの及部くんと内容がかぶっとる……完全に同士討ちだ。
オレは普段から及部君や川口さんとはお話させていただく機会がちょいちょいあるので、モブプログラミングの話も割と聞いていた内容だったのですが、今回の川口さんのお話はオレの中ではそれをアップデートする形でした。楽天テクノロジーカンファレンスでもいくつかセッションがあるほか、本家モブプログラミングのHunter社のクリスが来るらしいので、興味ある人は10/27, 28は空けといてくださいませ。
www.youtube.com
A day of Mob Programming - YouTube
モブプログラミングという働き方 #DevLOVE // Speaker Deck
新米エンジニアがレガシーシステムを死に物狂いでグロースハックした話
リクルートテクノロジーズの横山翔さんの発表。いやぁ、物凄い分量でした。発表終わった後で「本当にあの分量をたった4ヶ月でやったんですか?」と質問させて頂いたんですが「本当です(キリッ」とこいつマジかよみたいな回答が返ってきました。ドメイン駆動設計とか読むだけで4ヶ月使い切っちゃいそうな感じですけどねぇ。ブートキャンプもビックリなハードトレーニングですな。スライドの丁寧さなんかを見ても、まじめで実直な方なんだろうなぁ、というのが伺えます。こういう人がちゃんと報われてよい働き方ができるようになるといいんですけどねぇ。(まだ午前中の対談の影響を受けてる)
xUTPから学ぶ、記述性の高いユニットテスト
リクルートジョブズ兼リクルートテクノロジーズの高橋陽太郎師匠のセッション。コードだらけだから前の方に来てえ!という呼びかけからスタート。お話の最中にちょいちょい「宗教上の理由」っていうパワーワードが入ってくるので、気になって気になってしょうがなかったです。あと聞いてて思ったけど、オレもう数年レベルでJava書いて無いなぁ。(直近はnode.jsかな、ちゃんとテスト書いてましたけど、苦手ではあります。)
シンプルデザインについて
渋川よしきさんのセッション。時間枠を大幅に超える熱の入った発表でした。「シンプルってデザインってなんやねん?」ってお話なんですが、UIの話ではなく、デザイン=設計、つまりシンプルなプロダクト・プログラミング設計に関するお話。「シンプルデザインのパタンランゲージ」という提言をされていて、パタンランゲージのお話をついこないだ聞いてきたばかりのオレにとっては、とても親近感のある話でした。「シンプル」と一口に言ってもシチュエーションや人によって「シンプル」の定義は異なるものを「パタンランゲージ」で共通理解を得ようとするアプローチは、個人的には正攻法だと考えます。
あとで懇親会で渋川さんとお話しさせてもらったんですが、「初心者がパタンランゲージを学んだり、ソフトウェア開発のパタンランゲージを考える場が無くなっているのではないか。」とおっしゃっていたのが印象的でした。既にパタンランゲージを学んでいる人がマニア的に突き詰める場はあるのかもしれないけれど、初心者が置いてきぼりになっている、パタンランゲージのハードルが上がりすぎてる、というご意見でした。たしかにその通りかもなぁ。
リソース効率性とフロー効率性について
リクルートジョブズ兼リクルートテクノロジーズの黒田樹さんのセッション。リソース効率性(人員をいかに有効活用するか)とフロー効率性(製品・サービスをいかに早く提供するか)の話で、最後のまとめにあるようにマルチタスクとシングルタスクどっちを取りますか?という結論でした。なかなかフロー効率を選択することって、やっぱり難しいんですかね。どっちがより良いか、価値が分かっててもできない、という話を先日別のところでも聞いてきただけに、なかなか選択する勇気が出せない状況が大勢なのかな、という気はします。
「システムメタファ」再考 – 秘匿されたXPのオリジナルプラクティス
永和システムマネジメントの天野勝さんのセッション。XPのプラクティスの1つ「メタファー」について取り上げられていました。何かを「たとえ」て相手に説明する手法をメタファーと言っていますが、「たとえ」を何にするかで与える影響が異なる、ということを簡単なワークを通して(ワークが成功したかどうかはともかく)説明されていました。ソフトウェア開発にはメタファーが高頻度で採用されているのは、ソフトウェア開発という領域が産業活動の中で比較的後発で、参考にできるものが既に巷にあふれてる=新たに言葉を定義する必要がないからじゃないかなぁ、となんとなく思いました。あるいは、ソフトウェア自体に実体が無く、具体的な形あるものでたとえることが理解につながりやすいのかな、と。
オレもよく例え話をするんですが、まーーー「お前の例え話は分からん」と言われるとショックっすな、割とセンスを要するイメージなので、自分のセンスを否定された感はあります。抽象化能力を高めればいいんですかね。抽象化能力ってどう上げりゃいいんだ?
ビブリオバトル
昨年から始まったビブリオバトル。有志が本の紹介をし、一番みんなが欲しいと思った本を投票を決めよう、というイベントです。XP祭りは出版社からいっぱい献本いただいてるのに、意外と出版社に対して感謝の意を述べてないんじゃないか?という問題提起からXP祭りでも開催されるようになりました。今回は6人+時間が余った管理人の納富さんが発表。結果はクロージングで発表される予定です。
ちなみに昨年一位になった本は、XP祭り後にAmazonで売り切れる事態になったそうです。すごいな。
城ケ崎さん:異文化理解力(英治出版)
#xpjug ローコンテキスト文化の国の優しさすごくわかる。伝わらないことが前提だし、トータルで合理的に進めるべきと思って接してくれるから、くだらない質問しても親身に教えてくれてググれカスと言われなかった。
— Itsuki KURODA (@i2key) 2017年9月16日
滝川:よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ(アスキーメディアワークス)
続いて @takigawa401 さん #xpjug #xpまつり pic.twitter.com/7QlHWiegFf
— Yotaro TAKAHASHI (@PoohSunny) 2017年9月16日
LT祭り
XP祭り名物のLT祭り。今回はなぜか計画段階でタイムオーバー確定だそうです。エクストリームすぎるだろ。
手島尚人さん
小田博司さん
川鯉光起さん
滝川陽一
※スライド公開の予定はないんですが、後で気が向いたら解説チックな記事は書こうかと思います。以下の記事は今回の発表の内容そのまんまなメモです。
石橋琢磨さん
高柳謙さん
XP祭りでLTやってきました!描きは個人的な見解です(笑)
— gaoryu (@DiscoveryCoach) 2017年9月16日
&ファシグラワークショップやります!(ここでステマw)https://t.co/Dyb66hrxee
#xpjug pic.twitter.com/A1T09XbePv
及部敬雄さん
中大和さん
クロージング
一番最初に会場をご提供いただいた早稲田大学の鷲崎先生からの宣伝というか告知というか。以下のようなイベントやセミナーがありますよ、とのことでした。
(※サイトが見つからなかったものについては掲載出来ておりません。)
www.computer.org
www.wikicfp.com
www.ipsj.or.jp
www.inderscience.com
続いてビブリオバトルの結果発表。城ケ崎さん「異文化理解力(英治出版)」が圧倒的大差で優勝しました。いやぁ、あれには勝てんわ。ご自身の海外経験でのご苦労を踏まえての話は、参加者の中でもダントツに面白かったです。
出版社からご提供いただいた本のプレゼント祭り。若い人や初参加、初登壇の人から自由に一冊ずつ選んでもらっていってます。寄贈いただいた本は以下。良い人に貰われていくんだよ。
オレもLTとビブリオバトルに登壇したので貰えたんですが……。
頂きました。つーか、このペヤングは出版社さんじゃなくて冥土長だろ?#xpjug pic.twitter.com/sPIDvfZ2lN
— Youichi Takigawa (@takigawa401) 2017年9月16日
その間、本を執筆・翻訳された方の宣伝タイム。
懇親会
懇親会はこんな感じでした。XP祭りの懇親会で立食って、オレは初めてな気がしますね。最初のビールの待ち行列がなかなかどうして辛かったですが、あとは概ね楽しくワイワイやってたんじゃないでしょうか。
(さすがに疲れ果てていたので、ボッチの人を救済するところまでは行けなかった、スミマセン)
こちらは二次会の様子。帰り道がたまたま一緒だった人に声をかけたら、なんと8人ほど引っかかりました。なんかずーっと漫画とアニメの話をしてた気がするな。
ちなみに、今回現金の持ち合わせがなかったオレは、一次会・二次会共にてらひでくんから飲み代を借りました。いやぁ、持つべきものは良い友人ですね。(来週あたり返すから予定教えてくれい)
感想
全体の大まかな流れは以下のTwitterまとめからご覧ください。
togetter.com
オレ自身、XP祭りは何度も参加している気がしていましたけど、過去の記録を見返すと、2011年が初回参加で、今回2017年で4回目らしいです。意外と少ないな。いつ参加しても、良い意味でユルいたてつけで、誰でもいつでも登壇側に回れて、本当に良いイベントだなぁと思います。
野良LT⇒ビブリオバトル⇒LTと、気軽に三冠王を狙えるのがXP祭りなので、ぜひ皆さんも話してみてください!! #xpjug #XP祭り
— OYB48 (@TAKAKING22) 2017年9月16日
今回は及部くんと同様、オレも野良LT → ビブリオバトル → LT祭りと登壇三連覇を果たしました。3つ合わせてもトータル準備時間が3時間弱という低コストっぷりで臨んだんですが、それなりに形にはなったものの出来としてはイマイチでしたねぇ。準備コストが低いっていう点では及部くんも同様だったはずなのに、アイツのは結構クオリティ高いんだよなぁ。実に腹立たしい限りですが、実力不足を素直に認めて、来年また出直してきます。(そういえば及部くんは来年は仙人漫才の枠を乗っ取るらしいです。マジかよ。)
とは言いつつも、ちょっとでしゃばりすぎてしまったんじゃないか、と後になって心配もしています。オレがLTやセッションをやることで、若手の枠を奪ってしまっていないか、などなど。会場での振る舞いも含め、自分が「老害」と化してないか、はどうしても気になります。
かといって、単なる傍聴者・参加者というのもなんだかなぁ、と。オレの立場は、単に受け取るだけではなく、恩返しをする側に回るべきでしょうし、ただ参加して楽しかったです、で終わるのはいかがなものかと思っています。恩返しの形が登壇だけなのか、他にないのかは、今後考えて行かなくちゃならんですね。
今回のXP祭りは会場がいつもと違ったんですが、そのせいで公募総数に対して実際に設けられたセッション数がだいぶ少なかったらしいです。なんでも倍率が2〜3倍だったとか。つまりそれだけの数の人が発表の場が無かったわけですが、まぁこればっかりはしょうがないですね、会場都合なわけだし。スタッフの皆さんがどんなに頑張っても限界がある。
毎回XP祭りが終わると「もうちょっと補足しておきたい」とか「(発表の内容の)その続きをやりたい」という声がチラホラ出てきます。大抵は形にならずに終わっちゃうんですが、そういうのと合わせて別の形で開催できるように手助けできないかなぁ、と個人的には考えています。(オレ自身は今回だいぶ大暴れした感あるんで、もういいや)
なので、「XP祭りの公募枠から漏れて発表できなかった」「XP祭りに参加したら自分もなんかやりたくなった」って人がいたら、裏方仕事は(ある程度は)引き受けるので、気軽に声かけてください。XP祭り以上にラフなしきりでなんかテキトーにやれたらいいな、と思っています。
最後に、スタッフのみなさん、お疲れ様でした & ありがとうございました。また来年も楽しく遊びましょう♪