はじめに
このブログでも以前告知しましたが、翔泳社主催の「Developers Summit 2020」(以下「デブサミ」)に合わせ、2/13(木)にアンオフィシャルパーティーを開催しました。イベント自体は無事大成功に終わりましたが、それなりに色々あったので、企画から準備から開催にあたり、何やったのかとかどんなこと考えてたのかとかを時系列で書き記してみたいと思います。
devsumi-noraparty.connpass.com
きっかけ(1/15)
細かい経緯は省きます(Facebookでオレと繋がってる人はあの茶番劇が過去の投稿からご覧いただけます)が、だいたい@TAKAKING22くんのせいです。ヤツの無茶振りには気をつけましょう。
デブサミ運営サイドへの確認(1/15)
アンオフィシャルとはいえ、デブサミの名前を冠するイベントを開催するので、まかりなりにも公式側に筋を通しておく必要があります。今回はデブサミの現オーガナイザーの@kondoyukoさんと初代オーガナイザーの@kohseiさんに確認を行い、了承を貰いました。
企画 - 一人ブレスト(1/15)
今回のデブサミ2020では、2日目終了後に公式懇親会も開催が予定されていたので、立て付けがカニバらないようにする必要がありました。オレは考え事するときは、だいたい一人で、カウンターのある居酒屋で飲みながら考えます。(できればとびきり美味しいビールが飲める店が望ましい) 考え事してるときは、不安要素や悲観的な妄想で発想を妨げられたり、上手く決断できないことがあるんですが(オレだって一応人並みに悩む)、そう言うのをアルコールの力でえいやっと外して強引に進めていくイメージですね。アルコールのせいで発想自体がトンチンカンになったりすることはまず無いです。
この時の走り書きはこんな感じ。
【アンオフィシャル】
- 1日目夜
- 木曜
- まだあしたもある
- 無茶は無理
- 明日のセッションがある
- 野良
- アンオフィシャル
- スポンサードなし(今のところ)
- 怪しい
- 誰かと仲良くなりたい
- 明日につなげたい
- まだ終わらない
- 幅を広げたい
- 領収書出る
- 自分のため
→OST、ディスカッション
【公式】
- 2日目夜
- 金曜
- 開放感
- 二次会だって行けるで
- 全部セッション終わった後
- 正式
- 公式
- スピーカー無料、参加者安め
- ちゃんとしてる
- 登壇者や関係者と仲良くなりたい
- 自分の未来につなげたい
- ちゃんと終わりたい
- 収束させたい(報告書書かなきゃ)
- 領収書出ない
- 会社のため
→裏話、名刺交換、表彰式
ちなみに、このブレストを行った店はこちら。クラフトビールが美味しいです。
打ち合わせ(1/17)
翔泳社で@TAKAKING22くん、@kondoyukoさん、@kohseiさんと打ち合わせ。実はこの段階では公式懇親会側も立て付けが決まってなかったので、アンオフィシャルパーティーと合わせて内容検討しました。
公式懇親会はスピーカー・スポンサー担当者・一般参加者(有料申込)の大まかに3種類の人間に分類されます。また、公式懇親会そのもののスポンサーもいたので、彼ら全員が得をしたと感じる内容を考える必要がありました。
なので、一般参加者がスピーカーやスポンサー担当者と直接会話して、名刺交換をしたりデブサミ当日に聞いたセッションの話を深掘りしたり、といった歓談中心で行うことを主軸に据えました。また、スポンサーがアピールできる機会として、乾杯挨拶を依頼するのと、スポンサーLTを設けようと決めたのもこのタイミングです。(LTは、聴講中は手持ち無沙汰にならずに済むので、図らずもボッチになってしまった参加者にも有効)
とはいえ、公式懇親会は翔泳社とデブサミ実行員会の意向が重要ですので、我々はアイディアを出すだけ出して、あとはお任せしちゃいました。そのアイディアにしても殆ど@TAKAKING22くんが出して、オレ自身は事前に一人ブレストした結果を持ってきたのにちょっと補足した程度だった気がします。まぁつまり何もやってないです。
一方、アンオフィシャルパーティーはその全く逆のコンセプトにしました。
気軽に、気楽に、飲みたいやつが飲みに来る。その日あったこと(デブサミのこと)をその場で会った人と話す。公式懇親会はスピーカーとスポンサーにフォーカスを当てましたが、アンオフィシャルパーティーはスピーカーが申し込んでくれるかどうかは全く不明だったので、そこには期待できない。一方でこういうイベントに来る人は、IT勉強会慣れしてる人・いづれかのIT勉強会コミュニティに属している人が多いはずなので、ちょっとコミュニティ重視にしようかな、と。
で、この手のイベントで一番……というか唯一の問題が「場所」です。それは同時に「料理やドリンクをどのように提供するか」にも直結します。
- ホテル雅叙園東京の最寄りの目黒駅から、遠くても2駅
- 100人程度が入ることができる
- 飲食が可能
- 自分たちの人脈の範囲 +1step くらいで交渉が可能
これらの条件を満たす必要がありました。余談ですが、ビルによってはイベントで収益を上げてはいけないというルールが設けられている場合があり、その場合にはたとえ1円であっても収益をプラスにすることができないというレギュレーションが追加されます。今回はそもそも収益を上げるつもりが最初から無かったので、あまり関係ありませんでしたが。
今回は@kohseiさんから、AWSでコミュニティ活動支援を担当されている@numaguchiさんをご紹介いただきました。AWSの社屋はホテル雅叙園東京の隣のアルコタワー。カフェスペースがあり、JAWSを中心としたコミュニティ活動での利用実績があります。カフェスペースでは従来よりアルコール含む飲食を提供しています。デブサミのアンオフィシャルパーティーを開催するにあたり、およそ考えうる中では最高の環境でしょう。AWS社はデブサミのスポンサーでもあったため、念の為AWS社内での擦り合わせも行われた上で会場提供のGoサインを戴くことが出来ました。この時点で1/21。
会場下見(1/23)
会場が決まったところで、準備すべき点を洗い出すために下見を行いました。本来でしたら業務時間外に行うのが筋ですが、それぞれの都合もあって業務時間外だと1月末まで下見を行えないことが発覚。こういうのはスピード勝負なんで、日中帯含め@numaguchiさんに都合のつく時間を捻出してもらい、会場決定の翌々日に下見をさせてもらいました。こういう時フリーランスという身分はフットワークが軽くていいですね。(お客さんの業務進捗と自身の売上見込には負担を強いてしまいましたが) この時@numaguchiさんとオレは初顔合わせ。AWS社のエントランスで待ち合わせをして、そこから実際にデブサミ会場からの導線を確認した上で、アンオフィシャルパーティーの会場となるカフェスペースを確認しました。
確認した内容はだいたいこんな感じ。逐一@numaguchiさんに確認し、不明な点は後日ご回答頂くようにしました。
その上で解決すべき課題を明確にしました。課題の中で、特に大きかったのが以下です。
入館証の発行が必要
カフェスペース「3ma (サンマ)」はAWS社の社内という位置付けで、入場にはAWS社への入場手続きと、それを証明する入館証の発行、退場後の回収が必要になります。また、入館証の発行に伴い、参加者全員の氏名(本名)と連絡可能なメールアドレスを事前登録する必要がありました。
氏名とメールアドレスの事前登録はconnpassのアンケート機能で申込者に必須入力してもらうことで解決しました。
デブサミ会場からの導線が複雑になる
デブサミ会場のホテル雅叙園東京と、「3ma (サンマ)」のあるアルコタワーは隣接しており、連絡通路で直接移動が可能です。それ自体の導線は非常に簡単なのですが、これまでの慣例で「入館証の発行はAWS社のエントランスのみで行う」というオペレーションになっており、参加者にどうしても一度AWS社のエントランスに足を運んでもらう必要がありました。そして、AWS社のエントランスは、「3ma (サンマ)」とは異なるアルコタワーアネックスというビルに存在します。つまり
という導線を取らざるを得なかったのです。
今回、当初は、参加者向けの案内を写真付きで出来るだけ分かりやすく書くことで解決しようとしました。
また後日@numaguchiさんに今回このイベントのために、入館証の発行手続きを「3ma (サンマ)」入場口で行えるように調整いただきました。これにより案内をより簡略化させることができ、仮に案内を読まない人(おそらくは多数出ると予想)がいても直感で会場にたどり着けるようになりました。
最低売上金額設定がある
飲食店の貸し切って宴会を開いた経験がある人なら分かると思いますが、「飲食店を貸切にする場合、時間あたりの最低売上金額を保証しなくてはならない」というルールがあります。つまり、実際にどれだけ少ない人数で利用しようが、飲み食いしたものがどんなに少なかろうが、貸切にした以上は最低いくらはお店に支払わなくてはなりません。「3ma (サンマ)」もその辺りは通常の飲食店と同じです。具体的な金額の言及は避けますが、目黒の一等地で、100人は入るお店である、と考えると、まぁまぁ想像がつくんじゃないかと。それを想像した金額と比較すると確実に格安に分類される価格設定ではあるんですが、一個人で背負うとなると、まぁなかなかシンドい額ではあります。
この課題は最後の最後まで付きまといますんで、またあとで書きます。
ドタキャン・無断キャンセルがある
IT勉強会あるあるなんですけど、どうしても直前でのキャンセルや無断欠席が出ます。直前で仕事が忙しくなるのはこの業界のサガみたいなもんですし、特にこの季節は体調を崩しやすい(参加者当人のみならずそのご家族の体調不良もキャンセルの理由になる)ので、ある程度止むを得ない事象として対処しなくてはいけません。
オレはこれまでイベントを行う際、このドタキャンリスクを極小化することでほぼ被害ゼロでやってきました。具体的にはこんなことやってます。
- 直前のリマインドメールでキャンセルを促し、正確な参加者数を把握する
- 飲食(=費用)が発生するイベントを行わない、もしくは飲食の発注を可能な限りイベント開始ギリギリまで遅らせる
- 事前申込者数の20%はドタキャンすることを前提に、少なめに飲食を発注する
- 足りなくなったらイベント中に追加購入することで調整
ドタキャン見込みを申込者数の20%としているのは、オレの肌感覚というかです。だいたい会社の部署とかで飲み会やっても、なんのかんのと10人のうち1〜2人は仕事が忙しかったり体調不良だったりで来なくなるでしょ? そういうのをイベント開催時の参加者数見込を立てる時にも適用しています。
ところが、今回は「3ma (サンマ)」に飲食の準備をお願いすることになります。ドリンクは飲み放題なので気にしなくてよかったんですが、料理は事前に作っていただく量をお伝えする必要があります。ここを見誤るとどエライ採算割れをすることになるし、かと言って少なすぎると途中追加することもできません。それなりに参加費を払っていただくのに料理が少ないと、どうしても参加者満足度は下がります。それを「デブサミ」の名を冠したイベントでやるわけには行かないんですよね。
料理の発注数は、本当の最後の最後まで悩みました。結局、料理の発注数の本当の〆切は2/10(月)だったんですが、今回は無理を言って前日の2/12(水) AMまで延ばしてもらい、更に当日も細かく調整をさせてもらいました。当日調整の話は後述。
イベント告知ページ(connpass)公開 (2/03)
諸々の確認事項を調整し、掲載内容をここまで出てきた人すべてに確認OKをもらった上で、connpassを公開しました。イベント10日前の公開は、期間が短い感は否めないですが、長けりゃいいってもんじゃないってのは後述します。
イベント公開後は、ありとあらゆる知人を頼ってSNSでの拡散をお願いしました。非公式なイベントにもかかわらず#devsumiのハッシュタグを使わせてくれた@kondoyukoさんと@kohseiさんには本当に感謝しております。
devsumi-noraparty.connpass.com
ページビューと参加申込者の推移はこちら。イベント公開直後とデブサミ前日&当日に参加者が伸びています。前半の山はアンオフィシャルパーティーの関係者とSNSで繋がっている人の申込、後半は、おそらくはハッシュタグを見て偶然このイベントに気づいた人が多かったんだと思います。
遷移元傾向はこちら。「t.co」はTwitterの短縮URLですね。SNSからの流入が多かったことがわかります。
料理の発注 (2/12 AM)
料理の発注数を確定し、@numaguchiさんから「3ma (サンマ)」の担当の方をお願いしてもらいました。
……正確には「料理の発注数を確定」したわけではありません。その時点の参加者数が、採算ラインとして(ドタキャンまで考慮した上で)設定していた人数に到達してなかったんです。仕方なく、その時点の参加者数で料理の数を確定しましたが、これは「誰もキャンセルしなければギリギリお店の設定する最低売上金額に届きそう」という数字でした。つまり、2/12 AM時点で申し込んでいた人が誰か1人でもドタキャンすると採算割れが発生する状態だったのです。この時のオレの胃痛たるや如何ばかりや……。
イベント当日 (2/13)
デブサミ当日、というか前日から、オレの想定していないことが起こりました。直前になって参加申込者数が一気に増えたのです。
これは前述したように、前日もしくは当日に#devsumiのハッシュタグを見てイベントに初めて気づいた人が多かったものと思われます。前日ならまだしも、当日に申し込んだ人はよほどのことがない限りキャンセルはしませんから、この人たちは確実に来てくれるでしょう。非常に喜ばしい話です。
普通なら。
料理の発注数、確定しちゃった後なんですよねぇ。このままだと採算ラインは確実に超えますが、料理の絶対数が全然足らなくなってしまう。料理の数が足らないと参加者満足度が下がるので、仮に翌年同じイベントを開こうとした時に悪いイメージが残ってしまう。非常にまずい。
この問題についても@numaguchiさんが直前まで「3ma (サンマ)」の担当の方と調整してくださり、なんとか不足がないだけの料理を準備いただくことができました。本当に感謝してもしきれないです。
最終的に、直前でのキャンセルも多少ありましたが、無断キャンセルはゼロ!これはかなり奇跡的な数字です。
最終的な申込者数は61名、ドタキャンならぬドタ参もあって、64名もの方にアンオフィシャルパーティーにご参加いただくことができました。
イベント内の立て付けとしては、会場をご提供頂いたAWSの@numaguchiさんに乾杯の挨拶を行っていただき、宴もたけなわの頃にオレが司会めいたことをやってコミュニティ紹介をやりたい人にマイクをバトンしていく、というようなことはやりましたが、基本は歓談で終始しました。始まっちゃえば楽なもんですよね、こういうのは。
ふりかえり & 感想
アンオフィシャルパーティーが終わって振り返ってみると、やっぱり@numaguchiさんに随分とご負担をおかけしてしまったなぁと思います。特に料理の発注はオレが決断できないばかりに本当にご迷惑をおかけしてしまいました。まぁ次回も同じ会場でできるなら、その辺は知見が得られたので軽減できるのかなぁと思います。
あとは、会場までの導線で、こちらの想定しないことが発生しました。入館手続きの場所を調整することで、せっかく簡略化してもらったのに、なんとわざわざAWS社のエントランスにまで行ってしまい、結果迷子になる人が一定数いたのです。
この人たちにヒアリングしてみると、どうも以前にAWS社に来社したことがあったようです。分かってるからまっすぐエントランスに向かうし、分ってるからこちらが用意した案内も見ない。で迷子になっちゃう。いやぁ、流石にわざわざ難しい導線選ぶ人がいるなんて考えもしなかったから、これは完全に盲点でした。次回やるなら、AWS社に来社したことある人向けにきちんとアナウンスする必要がありそうです。
でもまぁ大きなProblemはそんなもんですかね。イベントとしては大成功だったと思います。翌日の公式懇親会で@TAKAKING22くんとも話したんですが、こういう場を用意できたことは本当に意味があったんじゃないかなと思いました。
参加者とお話させて頂くと、ボッチだけど勇気出してきた、とか、デブサミ初参加だけど思い切って参加してみた、とかいう人が結構多かったんですよね。アンオフィシャルパーティーみたいな怪しいイベントに気軽に参加できるのは、やっぱりIT勉強会コミュニティに慣れている人が多くて、なんなら運営とか登壇者とかばっかりなわけです。そういうイベント慣れした熱量の多い人たちと、前述の割と初心者っぽい人が会話すると、勇気を出して参加して良かったと思えることが多いようで、ちゃんと熱量を分け与えられて持ち帰られることができるみたいです。
オレからすると、デブサミってどこか同窓会みたいなもので、デブサミ本会に参加できなくても「その日目黒に行けば昔デブサミで知り合った誰かに会えてなんとなく飲めるはず!」って思ってて。今回のアンオフィシャルパーティーも、つまるところはその同窓会的飲み会を単にバカでかくしただけだったりします。要は自分が飲みたいだけ。
でもそれがちゃんと意義があって誰かに喜ばれる、ってのは、なかなか悪くないもんだなと思いました。
おわりに
さて、最後になんでこんな長ったらしい文章書いたかという話なんですけど。
ふりかえり&感想でも書いたように、デブサミの1日目の夜に飲み会やるのは意義があるし、是非とも来年以降も参加したいなぁと思うんです。
ただ、準備がめんどくさすぎる!できればオレはもうやりたくない!なので、やったことを書き出して形式知化しておけば、オレ以外の誰かに押し付けられるだろ、とか思った次第です。というわけで次は誰か別の人がやってくれ!!
ここでやった内容で一番難しいのは「デブサミ本体に筋を通す」の部分だと思っています。
しかし、筋を通さず翔泳社やデブサミ運営のあずかり知らぬところで勝手にやったとしても、中の人たちは喜びこそすれ怒ったりはしませんし(敬意を払った上で、よほど無茶なことをやらない限りは大丈夫)、「アンオフィシャル」と銘打ってあるので、そこは堂々と開き直って良いと思います。逆に言えば、オレはたまたま関係者に知人がいたので、礼を失しては行けないと筋を通しただけで、そんなに重要視するポイントでは本来無いと思っています。
それを除けば、普通の居酒屋で開催する単なる飲み会のちょっと規模がでかいバージョンですので、まぁ正直大したことないです。割と誰にでもできるし、なんなら新卒や学生にもできる。できるできる大丈夫!
こういうのがきっかけで色んな人脈が作れることは多いですし、経験値も思った以上にたまるので、ぜひ思い切ってトライしてみてほしいなぁと思います。もし開催したらオレも呼んでくださいね♪