ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

たった一人のために企画したイベントでみんなで遊んだお話

 この記事は「ドアカン Advent Calendar 2019」の1日目の記事になります。

はじめに

去る11/17(日)に、通称「ドアカン」というイベントを開催しました。
イベント名は色々<<コンプラ>>なんでお察しなんですが、まぁこの文章を読んでいけばそのうちイベントの正式名称は本当に察することができるんじゃ無いかと思います。
本来「ドアカン Advent Calendar 2019」は「自分の好きなこと」をテーマに書くことになっているんですが、それだけみんなが好き勝手に書いていくと「結局 #ドアカン ってなんやねん?」って知らない人から言われると思うので、一応事前説明的にイベントの経緯とか概要とかを初日に書いていきたいと思います。



自己紹介

 滝川陽一と言います。フリーランスシステムエンジニアです。今回のイベントの主役である@junko_fujitaとは数年来の酒飲みクソ野郎仲間です。ただの酒飲み仲間ではありません。酒飲みクソ野郎仲間です。良い子のみんなはこうなるなよ!
 まぁそんな仲もあって、今回のドアカンでは実行委員長というか、とにかく裏方筆頭を務めました。


発想

 元々は@junko_fujitaが数人の近しい友人5〜6人とこじんまりやっていた、小さな小さなイベントです。

 彼女はいわゆる「承認欲求モンスター」で、そのくせ自己評価が限りなく低い、自己に対してかなりネガティブな人間です。とはいえ愛嬌がある人間なので友人は客観的にみても非常に多い方だと思いますが、それらを一切顧みずに「私には友達がいない」とかほざいたりとか結構……だいぶ?面倒な人です。自己申告年齢17歳で実年齢4x歳の人間がこんなんだと困っちゃうと思うんですが、実際扱いには大いに困ります。オレは前述の通り酒飲みクソ野郎仲間ですので、おそらくは彼女のそういった愚痴を聞き続けた回数が世界人口の中でもTOP5に入ると思うのですが、最初の頃こそ親身に聞いてみたものの、直近では面倒なので彼女の愚痴が始まると「うるせーバーカバーカ!」と一蹴することにしています。実際のところそんな扱いで十分です。……あれ、なんの話をしてたっけ?

 あ、そうそう、ドアカンの話でしたね。ともかく、彼女はそんな感じなので、たまに突拍子なく「私の話をひたすら聞け!そして賞賛しろ!チヤホヤしろ!フジタさん可愛いってひたすら言え!」と理不尽な要求をしてきます。それの最たるものがドアカンの前身で、温泉地などの隔離空間に友人数人を呼び出し、自分の好きな話をひたすらする、というイベントが催されるのです。我々はその代償恩恵として短時間のプレゼンを彼女に聞いてもらう機会をいただくことができる、というのが前身のドアカンのイベント主旨になります。
 ここまで読んだ方は「なんて横暴なイベントだ」と思われるかもしれませんが、友人たちも@junko_fujitaが好きで付き合っていますし、彼女は人格はともかく知識や仕事に対する才能は多彩でかつプレゼン経験も豊富なので、その話を聞いていて我々が飽きることはまずありません。総じて面白いイベントになっていることは予めお断りしておきます。


 そんな@junko_fujitaが今年の春くらいに「またドアカンやりたい!やるからおまいら来い!」とか言い出しまして。それに二つ返事で答えつつ、オレの脳裏によぎったのは「せっかく企画のベースは面白いんだから、もっと面白くできないかな? もっと大規模にやれたらもっと面白いんじゃないか?」という考えでした。


 @junko_fujitaはいわゆる「オタク」に分類される人物です。「オタク」を友人に持つ方なら分かると思いますが、彼らは基本的におしゃべりで、人に話を聞いてもらいたいと思っている人種です。また、プレゼン能力さえ備わっていれば、彼らの話は極めて面白いです。この辺の話は以前書いたので説明は省きます。


takigawa401.hatenablog.com



 で、彼らみたいなオタクがよってたかって「俺の話を聞け!」って自分の一番喋りたい話を好き勝手に喋り合うイベントにしたら、少人数でこじんまりやるよりもっと面白いんじゃないかな、と思ったんです。基調講演とクローズセッションを@junko_fujitaが喋るのは前身のドアカンの踏襲、それ以外のセッションを全てアンカンファレンスしたら「俺も俺も!!」感が出てわちゃわちゃカオスで楽しいんじゃないかな、と思ったんです。



根回し

 そんなこんなでドアカンを大きく方向転換しようとしたんですが、当然ながらオレ一人ではそんなイベント出来っこありません。そもそもドアカンは@junko_fujitaのイベントです。オレが好き勝手していいものではありません。なので、何度となくイベントの方向転換について彼女に説明をしました。@junko_fujitaの承認欲求を満たす、という元来のコンセプトをそのままに、もっと面白おかしいカオスなイベントにしよう、と。彼女も基本的には面白いことは大好きなので、きっとキチンと説明すれば乗ってきてくれると信じていましたが、一方で自分の築いてきたものに他人の手が入れられることに拒絶反応がある程度出ることは仕方ないだろうと覚悟していました。だから話を切り出す時には、慎重に、丁寧に、要らぬ誤解を与えぬように、まるで江戸川コナンくんが時計仕掛けの摩天楼で時限爆弾のコードを切るかのようにオレが対応したことは言うまでもありません。それは往々にして酒の席で、酒飲みクソ野郎仲間である都合、互いに覚えている可能性がそれほど高くないので、それこそ何度も伝えました。そして、何度か繰り返した挙句に、前回以前に言ったことを覚えていて、かつ方向転換の主旨に同意してもらえたことを確認しました。


 次に、他の勉強会運営慣れしている友人たちに「こういうイベントやろうと思ってるんだけど……」と相談をしました。彼らは勉強会慣れしてるだけでなく、頭のネジが数本ぶっ飛んでるような面白い連中なので、やはり基本的にはイベント主旨に乗ってきてくれるとは思っていました。その上で彼らの知見を頼り、イベントの内容をよりブラッシュアップさせました。例えば、今回のイベントを招待制にすることになったのも彼らの意見で、自分の話を好き勝手に話すと言うイベントの本筋を要らぬ横槍から避ける、と言う予防的意味合いと、より秘密結社感というかカオス感が増す形にできたと思います。「他人の好きを否定しない」というコンセプトが出来上がったのもこの頃です。
 相談に乗ってもらった友人たちにはそのまま当日スタッフになってもらいました。それぞれ各分野で有名な連中だったので、彼ら由来の集客を期待したところはあったんですが、それはそれとしてスタッフだけでパンチがありすぎるな感は否めませんでした。まぁこう言うこともある。



準備

 前日までのイベント準備は基本的にオレ一人で行いました。言い出しっぺである以上、ある程度自責で行うつもりではいましたし、実際の作業量もさほど多くないと高を括っていた、と言うのもあります。
 実際の準備作業としては以下のようなことをやりました。

  • 告知用資料の作成
  • イベント開催直前 会場内注意事項説明資料の作成
  • タイムテーブルの作成
  • スタッフ当日役割分担の作成
  • 当日買い出し物品のリストアップ
  • 前日までの買い出し物品のリストアップ & 買い出し


 なにこれめっちゃ多い。実際には割と作業量あって、イベント直前2週間は割とかかりきりだった気がします。定時後はHUBとサイゼリアに入り浸りで作業、みたいな。まぁでもやりきったんですが。


 今回オレがどうしてもやりたかったのは「キッズスペース」でした。
 たまに土日に勉強会イベントがあると聞こえてくるのが「家庭内イベントがあるから行けない」「お父さん(お母さん)タスクがあるから行けない」と言う声でした。そういった声を、完全じゃないけれども多少なりとも緩和できないかな、と思ったのが、お父さんお母さんが勉強会イベントに参加できて、でも子供達もちゃんと楽しんで遊べるキッズスペースを作れないか、と言う発想でした。
 でも、実際にキッズスペースを設けようと思うと、レンタルグッズだけで数万円かかってしまい、予算的にとても実現できないんですよねぇ。
 この点は、会場を提供いただいた「駅すぱあと」で有名なヴァル研究所さんが、過去にファミリーデーでキッズスペースを設けた経験があり、その道具と手法をそのままお借りできたのが大きかったです。


 また、このドアカンは、酒飲みクソ野郎の同胞である@junko_fujitaの主催イベントという位置付けだったので、最初からアルコールを参加者に提供するということを考えていました。ただ、キッズスペースを用意する以上、子供が来場することを想定して、キチンとお酒を手にできる・できないを明確に区分けする必要があるとは思っていました。これはオレがマジカルミライ2019で参加した大規模OFF会で提供されていたギグバンドをそのまま参考にしました。ギグバンドは切れにくい紙製のリストバンドで、イベントの入場証がわりに使われることが多いです。見栄えが良い割に意外にも発注単価が安く、100枚で5,000円しないこと、複数の紙色を使っても値段が変わらないことから、今回のイベントにちょうどいいんじゃないか、と。実際のところ、参加者の皆さんはそれなりにちゃんとした人ばかりだったので心配なかったのかもしれませんけど、結果として扱いやすい入場証にはなってくれたと思います。


当日の様子

 イベントは午後1時から@junko_fujitaの基調講演を以って開催となりました。アンカンファレンスの発表内容も色々とアラカルトに富んでいたんですが、実際に発表された皆さんが「ドアカン Advent Calendar 2019」に書いてくれることを期待して、ここでオレが言及するのは控えたいと思います。どの発表も個性的で、子育てからマニアックなジャンルまで様々で、スライドはないけど飛び入りで発表したい、2回目だけど発表する、という人まで様々で、ユルいながらもいい感じにわちゃわちゃ感が出てて良かったです。


 念願のキッズスペースは就学前の女の子が2人来てくれて、とても喜んで遊んでもらえました。4畳ほどのスペースにマットを敷いて囲いを作り、膨らませたゴム風船を入れただけの簡素なものだったんですが、大はしゃぎで遊んでもらえたのがとても良かったです。
 今回はおとなしい女の子2人でのびのび遊んでもらえましたが、わんぱくな男の子がいたり、もう少し人数が多かったりしたらキャパオーバーだったかなぁとは思いました。


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ふりかえり

 イベント後にスタッフで簡単にふりかえりをしました。イベントを主催される方に参考にしていただけることを願って、その内容を簡単に紹介します。

ドタキャンが多かった

 社外勉強会における参加者のドタキャンは、平日夜より土日が、土曜よりは日曜の方が多い傾向にあるのですが、今回のイベントは日曜開催なのである程度出るとは覚悟していました。で、案の定出たわけですが、逆に言えば、日曜開催にも関わらず30人以上の方に参加いただけたのは本当に良かったです。おそらくは招待制にしたのが功を制し、本当に都合が悪くなったり体調が悪くなったりした方以外は前向きに参加していただけたんじゃないかと思います。
 ドタキャン対策はかなりノウハウがあり、いくらでも対応できるようにしていた(飲食は直前で購入する、段階的に購入して買い過ぎを防ぐ、etc)ので、影響は最小限にとどめることができました。唯一影響が出てしまったのは、参加人数の縮小で会場の使用範囲を減少させたことから、キッズスペースから遠ざけた「大人の発表スペース」を無くしてしまったことです。元々ヤヴァイ発表を予定していた方には直前に発表内容の変更といった負担をかける形になってしまいました。一方で、会場が狭くなった事で少人数のスタッフでも目がある程度行き届いた、という良い面もあったと思います。

子供の騒ぎすぎは周りが気にしなくても親たちが気にする

 キッズスペースはお子さんたちに非常に喜んでもらえて、スタッフ的には非常に嬉しかったんですが、反面親御さんは「子供たちが騒ぎすぎて発表を聞くのに他の人の邪魔になってないだろうか?」と心配をかけてしまったようです。
 これは個人的には、もっと大人の参加者がワイワイ騒ぐことで緩和できたかなぁと思っていて、集客がもうちょっと伸びていれば防げたかなぁと思いました。

基調講演が案外良い話だった

 @junko_fujitaがどんな基調講演を用意してくるか、実行委員長としては楽しみ半分怖さ半分だったんですが、思いの外良い話を用意してきてくれて(失礼)、感銘を受けてくれていた人が多かったようです。やればできる人なんだよなぁ、あの人は。こちらもサイリウムとか用意して盛り上げてあげれれば良かったなぁと反省(反省?)。

アルコール飲む人が思った以上に少なかった

 オレの想定では、参加者のうち7割はお酒を飲むチケットで入場されると思っていたんですが、実際にはアルコール飲む人と飲まない人の比率はほぼ半々でした。
 結果としてイベントとしては落ち着いた感じになりましたし、お金が余ったので懇親会ではお寿司とかも買えたんですが、「アルコール飲む人は酒さえあればあとは大概文句言わない」というオレの頭があったので、結果ノンアルコールの人たちに対して全体的にお得感のない飲食になってしまったような気がします。これは非常に反省。やはりこういう時は酒飲みクソ野郎(≒オレ)が企画してはいけない。

参加者が発表しやすい仕掛けがあっても良かった

 前述の通り、スライドないけど飛び入りでやりたい、2回目でスライド今作ったからやりたい、と発表者が次々出てきてくれたのは良かったんですが、最初は様子見の方が多かったです。もっと発表を気軽にできるような仕組み……例えば、サクラじゃないけど敷居の低さを感じてもらえるようなLTを仕込みでやったり、参加者に事前に発表をお願いして回っても良かったのかな、とは思いました。

参加者同士の交流を促す仕掛けがなかった

 「それぞれの承認欲求を満たす」すなわち「自分の好きな話を思い切りしてもらう」ことにオレ自身がフォーカスしすぎていて、発表内容に共感ないし興味を抱いて参加者同士が交流する、というところまで考えが及んでおらず、そこまで仕組みを用意する事ができませんでした。例えば名札を用意する、とか、発表と発表の間を開けて発表者に話しかけやすいようにする、とか、もっと色々できた気がします。

スタッフが勉強会慣れしすぎてて当日スライド作りすぎ

 勉強会で発表し慣れている人間って、当日会場についてからスライドを作る傾向があるんですけど、今回のスタッフはほぼほぼ全員が勉強会慣れに関しては呂布レベルでした。結果としてスタッフの半数(基調講演者含む)がスライドを作っておらず、しかし発表する気満々で、結果としてイベント中にそいつらがスライドをずーっと作っているという事態が発生しました。ええ、もちろんオレもその一人です。
 まぁスタッフがそんなんじゃダメだよね、なんて言うまでもありません。結果として参加者の方々の自主性と、元々のイベントのユルさに大いに救われた形になりました。



NEXT STEP

 ありがたいこと(?)に開催前から「今回は日程が合わなかったから次回開催時には参加したい」「次はいつやるの?」という声をいただきました。有難い話ですが、次回開催予定はありません。元々@junko_fujitaが気まぐれで承認欲求を満たすために開催していたイベントですので、次回もし開催されるとすれば、やはり気まぐれになると思います。もしかしたら@junko_fujitaを説得し続ければ、近々開催もあるかもですね。


 オレは@junko_fujitaと知り合ったばかりの頃「私に友達なんかいないんだ」と居酒屋で愚痴をこぼす彼女に対して「分かった、じゃあオレが君に友達を100人作ってやる」と約束をした事があります。今回のドアカンでオレの個人的な目標は、彼女に「私にはこんなにいっぱい友達がいるのか」と感じてもらう事でした。残念ながら100人には到底届きませんでしたが、それでもたくさんの友人がいることは実感してもらえたんじゃないかと思います。これで今後二度とヤツに愚痴られずに済むわけだ、良かった良かった。オレはこの年末年始で東京を離れ故郷に戻るのですが、最後の最後に約束が守れてホッとしています。


 それにしても楽しかったなぁ。またこんな馬鹿な事がみんなでやれたらいいですね。誰かオレの代わりに企画してください。都合ついたら参加しますんで。