先週の土曜から社内で希望者を募ってFlexの勉強会を始めました。
狙いはいくつかあるんですが(社内事情もあるので)それはさておき。
講師役はオレ。まぁそういう部署の長な訳だし、そもそもFlexを実
開発で使用出来るのがオレも含めて社内に5人もいない訳で。
ともかく、オレにとって初めての「講師体験」でした。
とりあえず、前準備も含めて、感想をつらつらと…。
勉強会を始めた理由
オレの部署はFlexに限らず、RIA全般を受け持つんですが、とにかく
人数が少ないです。理由はいくつかあるけど(まだビジネスとして
確立してないとか)、一番の理由は「新人を配属できない」こと。
RIA(Rich Internet Application)は、通常のWebアプリケーション
開発に加えて、AjaxやActionScriptなど、リッチコンテンツ開発を
する為の専用知識が必要です。
オレの所属する会社は、いわゆる「第二新卒」と呼ばれるような、
まぁ早い話がシステム開発的には素人を採用して研修の末に現場に
送り出す、というスタイルを取っています。なので新人研修には昔
からかなり力を入れており、COBOLとJava(Servlet/JSP)の基礎を教
えています。身内びいきを差し引いても相当しっかりしてると思い
ますが、さりとてこれらを新人に求めるのは、正直酷というもの。
だから、Servlet/JSPに更に上積みが必要なRIAをやるオレの部署の
場合、他部署からの異動でしか人員補充が出来ないんです。
でも、そもそもが社員の部署異動が殆ど無い会社ですし、元々「人
月商売」の会社なので、人が一人部署から消えることはダイレクト
に売上減=成績ダウンに繋がる訳です。そんな状況下でこちらから
率先して「引抜き」をやると、他部署に対して角が立つ。
オレ自身は「チームで面白いことをやるため」に人が欲しいだけで、
売上が欲しいわけじゃない。とりあえず食えれば問題ない。なのに
「お前が引き抜いたから売上が減った」と他所の部署の長に目くじ
ら立てられても正直迷惑。(つーか、なんであいつらあんなギラギラ
してんだ!?)
そうすると、対象の個人に自分から「RIAの部署に行きたいんです」
と言ってもらう必要があるんですな。会社は一応「本人の希望や適
正を尊重する」と言っているので、当人から希望が上がると流石に
直属の上長でも「売上減がどーとか」は言えなくなる。
ただ、その為にはオレの部署が何をやっているか知って貰う必要が
ある訳です。そもそも「Flex」どころか、部署名に含まれる「RIA」
さえ意味を知らない社員も多いのが悲しいかな現状なので、認知度
向上の為には、できるだけ多くアピールの場を作っていく必要性が
ありました。しかも、通常は社員のほとんどは現場に出払っている
ので、土曜などの業務時間外で。休日に一般社員に「会社に出てき
てやっても良い」と思わせるだけのメリットを享受する必要があり
ました。
企画書作成
で、そんな事をオレが営業会議の際に発言したのが事の始まり。要
は「社内向けにプレゼンや勉強会などを積極的に行いたい」という
ようなことを発言したんです。
ところが取締役の一人から「勉強会やプレゼンやるのは構わんけど、
それが引き金になって部署異動希望が社員から多発すると、社員を
コントロールする上で困る。少なくともこちら(取締役)の事前承認
は受けてくれ」と言われてしまいました。
(後日、この話を他の人にすると「そんなこと言ってたっけ」と言う
反応が。どうやら気にしているのはオレだけらしい)
「…言わんとしていることは分からんでも無いがそんな言い方って
アリか!?」とは思ったものの、周囲の連中(他部署の長)も勉強会や
プレゼンを行うのはあまり気が進まない様子。社員に向けたアピー
ル用ですと、オレの部署だけやるとアンフェアになるので、他の部
署にも足並みを揃えて貰う必要が(執行部的には)あるんですが、準
備で負担が増えるのに自分のところにメリットが少ない(そんなこと
しなくても新人が確保できるので)から、あんまりやりたくないんで
すな。(もちろん賛成してくれる人もいましたが)
そんな状況もあり、その場では取締役の意見を了承しました。
そういう経緯があって、だったらちゃんと手順を踏もう、と企画書
を作成しました。以前にも勉強会は社内で開催されていましたが、
どうやら企画書まで書いたのはオレが初めてだったようです。少々
釈然としないものはありましたが、背に腹は代えられない。
とは言え企画書に費やした時間は2h程度で、内容的には正直大した
ことは書けてないです。勉強会の開催する目的や対象者の(応募者多
数の場合のふるいにかける際の)条件、企画書作成時点での想定して
いるカリキュラムなどをA4一枚に箇条書きにした程度の、まぁお粗
末なものでした。
これを提出したところ、「まぁ最初なんだし、色々試す意味でもと
りあえずやってみろ」とあっけなく了承を貰いました。企画書を提
出したことに意味があったかどうかは分かりませんが企画書自体は
後々に役立つことになりました。
広報
全社員に向けて広報メールを出しました。更にグループウェアのイ
ンフォメーションでも勉強会の開催を告知。この辺は、オレが社の
フットサルクラブの部長をやっていることもあって、手馴れたもの
です。
フットサルクラブの活動告知メールは、福利厚生とか社内交流の一
環ということもあって、メールの前文にしょーもないコラムのよう
なものを書いているのですが、勉強会の場合には部署の業務として
開催するので、前文は書かずに要件だけ伝える、シンプルなものに
しました。まぁ普段から読んでくれている人には、同じ人物から届
いたメールにしても、メリハリがあって区別できて良かったんじゃ
ないか、と勝手に思っています(実際はどうか知らんが)。
テキスト作成
要するに「教科書」の作成です。
自分でも何故か市販のFlexの入門本を使おう、と言う気は全くあり
ませんでした。今思い返せば、そもそもが初心者向けの勉強会なの
でお試し要素が強いのに、高い入門本を受講者に買って貰うのに気
が引けた、というのもありますし、単純に市販の本のどれも気に入
らなかった、というのも理由の一つです。(まぁ自分では参考にする
為に一冊購入しましたが)
これには良かった面と悪かった面がそれぞれありました。
まずは良かった面ですが、教える(教えたい)内容を事前に整理して、
かつ、不要な情報を一切そぎ落としてテキストに掲載することが出
来た事。今回は開発環境として、有料のFlex Builderではなく、フ
リーのFlash Developを用いたのですが、その環境構築の資料として
も、その後のHello Worldから始まる実際のコーティングの説明にし
ても、焦点を絞って見易く書けたと自負しています。
何より、不確かな内容を書けなかったので、いちいち確認する必要
があったこと。市販本だと信用しすぎてサンプルなどの挙動を確か
めない事もあったでしょうが、この世で一番信用できない自分が書
いたお陰で(苦笑)、逐一確認しながらテキスト作成を進めることに
なりました。これが後々役立ったと思います。
悪かった面は、…とにかくメンドクサイ。テキスト作成も時間がか
かるし、見直せば見直すほど書き足す内容が増えてくる。
客先に常駐しているので通常の業務時間はテキスト作成を行うこと
も出来ず、昼休みも含め空き時間のほとんどをこれに費やすことに
なりました。座学の内容の殆どは以前作ったプレゼン資料から流用
したのですが、これが無かったら多分間に合わなかったでしょう。
勉強会当日
社内から10名の社員が集まってくれました。殆どが関連部署、もし
くは現在Flex案件に携わる人間でしたが、まぁ上出来でしょう。
オレが講師役を務めることについてですが、人前に立つのは元々慣
れている(たった10人しかいないし)のでそれほど問題は無し。ただ、
人に壇上からモノを教えるは流石に未経験なので、不安はありまし
た。割と長い時間、オレ一人でテキストを読み上げたのですが、そ
の間特にリアクションがある訳で無し、皆真剣にテキストに目を落
としているのですが、いまいちちゃんと理解しているのかどうか分
かりません。最後に「分からない点は無いか?」と言う質問に対し
て返ってくる沈黙のみを頼りに進めるのは、正直孤独です。…でき
るだけ座学はやらないようにしよ。
一転して環境構築やサンプル(Hello World)開発になると、こちらは
問題が多発。自分のPCで試した時には出なかったような問題がそこ
かしこから噴出し、対応に追われる羽目になりました。
かと思えば、一方ではすんなり環境構築が終わった人もいて、他の
人を尻目にテキストの随分先まで進んでしまう人もちらほら。まぁ
この人たちは簡単なヒントだけで先に進めたので、基本的に放置出
来ました(あんまり良くないんだろうけど)。
結局、想定通りの内容までは辿り着けず、次回以降にずれ込むこと
になりました。…その分次回は時間も長くなる訳で。
勉強会(第一回)を終えて
ある程度予想はしていましたが、全然予想通りにカリキュラムを進
めることが出来ませんでした。
「年内にFlex開発者としてある程度のレベルまでに仕立て上げる」
という、週一回の勉強会では無茶な目標の下で始まった為、詰め込
み過ぎであることは承知してましたが、う〜ん、うまく行かないも
のです。
この勉強会は、先週の一回で終わりではなく、年末まであと五回、
毎週実施されることになっています。つまり、テキスト作成も、
皆の前に登壇するのもあと五回あることになります。
その上、現在計画しているカリキュラムでは、第三回からはいきな
りレベルが跳ね上がって「Windows Explorerもどき」をFlexで作っ
て貰うことになっているのですが、皆ちゃんとついて来れるだろう
か…。
そういえば、提出した時には役に立ったのかどうかイマイチ分から
なかった企画書ですが、テキストや広報の連絡内容を書いている時
には非常に役立ちました。予め大きな柱を企画書に書いておいたこ
とで、あとからこれらを書いているときでも内容の軸がぶれずに済
み、アウトプットに一貫性を持たせることが出来たと思います。
これは正直意外でした。なんでもちゃんと手順は踏んでおくもので
すね。
正直不安要素だらけですが、年末までもうちょっと頑張ってみます。