ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

第3回Flex3初心者勉強会終了とその雑感

はじめに

 オレが管理者として開催する最後の勉強会となった第3回Flex初心者勉強会が終了したのはもう半年以上前の1月27日(土)。この勉強会は隔週土曜の午前中3時間のみで行った都合、なんと13ヶ月もの長期に渡って継続開催することになりました。3年前から続けてきたFlex勉強会もこれで一区切りをつけ、正真正銘最後の最後となりました。

 勉強会終了直後、ちょうどオレはデスマーチに嵌っていて、どうやらこのエントリを書きかけのまま放置していたようです。先ほどブログの管理画面を漁っていたらたまたま見つけました。このまま削除してしまおうかとも思ったのですが、今週末から後輩が社内勉強会を新たにはじめてくれるので、彼の勉強会運営になにか参考になればと、今更ながらまとめと振り返りを行ってみます。

その前に状況確認

 今回の参加者はオレの先輩にあたる人(キャリア10年くらい、ただしここ数年は社内で教育を担当)が1人、3〜5年目のキャリアの人間が3人、1〜2年目のキャリアの人間が3人、計7名で始まりました。プログラミングスキルもバラバラ、キャリアもバラバラ、女性も2名ほど交じり、合計3回開催したFlex勉強会の中でも最もバリエーションに富んだメンバーになりました。


 勉強会は講義型スタイルを取ります。あらかじめ主催者(オレ)がカリキュラムを用意し、それを実際に講義&ハンズオンでFlex3でアプリケーションを開発できる様にするというものです。第3回Flex3勉強会は、第2回勉強会のカリキュラムをそのまま踏襲して使いました。ちなみに、第2回勉強会は隔週土曜日の午後5時間を使って8ヶ月程度で全日程を終了しました。第2回勉強会の様子と第3回開始時点のオレの所感は以下でご覧下さい。

リタイア者続出

 元々今回の勉強会を開催するにあたり、第2回と同じカリキュラムを行うなら一年以上かかることは想定していました。同時に「本当にこんな長期の間、参加者はモチベーションを保てるだろうか?」というのは真っ先に思いついた懸念材料で、かなり心配していたのは事実です。それは実際に起こり、カリキュラムの最後「動画プレイヤー」まで辿り着けたのはたったの4人でした。全ての課題をちゃんと完成できたのはたった2人です。達成率で言えば28%程度、これははっきり言って異常です。


 今回起こってしまったのは「Flex勉強会に対する意欲の低下」ではありませんでした。いや、実際のところそれも勿論あったとは思いますが、それを打ち消すほど大きな事態に直面したのです。


退職の頻発」です。


 この勉強会期間中、なんと4名も参加メンバーから退職者が出ました。中にはそれ以前からヒドイ遅刻と欠席を繰り返して序盤からちっともカリキュラムが進まないヤツ、退職の2ヶ月近く前から音信不通になり(なんと携帯電話まで解約していた!)退職当日にちろっと挨拶メールを寄越したヤツもいました。こういう礼節を欠いた輩にはオレも憤りを感じずにはいられません。


 この勉強会はラボという会社本体とは離れた場所で開催されていた都合、「ラボは治外法権」と退職者であっても参加し続けて貰えるようにしていましたが、継続参加してくれるのは2名に留まりました。その彼らも社員だった頃と比べて連絡が取りづらくなり(社用メールが使えなくなる、メールを定期的にチェックする習慣がなくなる、etc)、きちんと開催日を周知できないこともままありました。


 その他では、会社の命令で長期出張になってしまい、在籍はしているものの通う距離から参加が難しくなった、というメンバーも1人いました。彼はムードメーカーで意欲も非常にあったので(実力はともかく…)とても残念です。


バラバラ過ぎる実力と進捗

 今回はかつて開催した2回と比べても最もプログラミングスキルに格差のあるメンバーが揃いました。それゆえ同じ時間、同じ内容で教えていても進捗に大きな開きが生じました。オレ自身の指導もスキルのあるメンバーは放置気味になり、ちょっと残念な人たちを集中する形になってしまいます。それでも差異は広がるばかり。

 結果的に元々スキルのある人は完璧に終えても時間を持て余す形になってしまいました。特にオレの先輩にあたる人はほぼ皆勤で参加し、且つ課題の進みが早かった為、5〜6回(時間にして20時間弱!)課題もない完全放置状態になってしまい、大変申し訳なく思っています。

 反面、元々のプログラミングスキルの乏しいメンバーは時間をフルに使っても課題が終わらず、いくつかの課題を終える事ができませんでした。これについても非常に申し訳なく思っています。が、これ以上続けるのは課題の進捗が違いすぎて個人レッスンにしかならず、勉強会の体を成せず継続が困難だったことも付け加えさせて下さい。


Flex4の登場

 この勉強会の開始後まもなく、AdobeからFlex4がリリースされました。Flex4はよりデザイナーとデベロッパーの分業をやり易くしている反面、これまでのFlexとは思想からして異なっています。コンポーネントも新たに「Spark」が登場しました。この勉強会はFlex3、というか、オレのFlex2の知識をベースに準備しましたので、やはり扱う内容に時代遅れ感はありました。現在でも更にAIR for AndroidなどFlash/Flex界隈の進歩は目覚ましいものがあります。これについていけるだけの内容を、RIA文化の無い会社に対して社内勉強会で提供するのは、難しいと言わざるを得ないでしょう。

ソリューション確立の失敗

 そもそもこの勉強会は、単に「RIAを学んで貰う」事のみを目的としていませんでした。業務時間外を使ってもRIA開発経験者を社内に増やし、自社にRIAによるソリューションビジネスを確立することこそが本来の目的であり、社からオレが与えられたミッションでした。


 ところがオレは昨年6月の人事でグループ長を外され、RIAソリューショングループも解散されました。これは大げさに言えば、会社から失敗の烙印を押され、事実上責任を取る形になったのです。 オレがこのミッションを与えられてから3年が経ちました。これだけの期間があって目的を達成出来ていないのですから、その処遇には理解をしています。ただただ、無念でなりません。
 現在社内にFlex案件に従事しているのは、120人中たったの1人、しかも勉強会に参加していなかった社員です。オレの元上司が以前「ビジネスは『Give and Give and Give and Give and Take』だ」と言っていましたが、「頑張れば努力は報われる」にはまだGiveが足りなかったようです。

今回の教訓

 今回の勉強会運営から得た教訓は「如何に退職者を出さないか」という、勉強会の枠を大きく超えたものでした。…そんなんどうしようもないがな、できることはとっくにやっとるし。まぁ愚痴っててもしょうがないんで、なにかしら対策を講じ続けなくてはいけないでしょうね。

 参加者のレベルがバラバラなのは、カリキュラム自体をハンズオンより読書会やプレゼン発表主体にすればある程度は進捗遅れとかは防げるとは考えています。どうしてもハンズオンでやりたければ、ペアプロで初心者は実力者と組ませるとか、そういう別の仕組み作りが必要ですね。


 取り組んでいる技術が刷新され、今の内容が陳腐化してしまうのはこの業界では当たり前、どうしようもないことなので、都度落としどころを見つけていくしか無いですね。

勉強会の開催意義

 前述の「ソリューション確立の失敗」についてはもうちょっと踏み込んで。オレの場合、勉強会の開催目的は新技術を用いたソリューション確立でしたが、そこまで仰々しくする必要があるかというと、そうではないと思っています。

  • 他者との交流、横のつながり、人脈の形成
  • 技術習得
  • 楽しければOK
  • 自社の管理者(評価実施者)対するアピール
  • ビジネスの取っ掛かりを作る

 様々な目的を開催者自身が設定でき、その方向に従って運営すればよいでしょう。ただオレの場合は選択肢が少なかった、というか、そもそもビジネスミッションの達成の為に「勉強会」という形を選んだので、止むを得ない部分がありました。


 あと、多少なりとも「無言のプレッシャー」みたいなものもあります。うちの会社のように平日は客先常駐、土日に出てくるなら休日を潰さなくちゃ行けない、という気軽に人が集まれない環境下において勉強会を開催することは「楽しければよい」以上の意味を持たせる必要があるんじゃないかと脅迫概念にかられます。

 会社からは成果の出さずに継続し続ければ白い目でも見られますし、仮に技術が身に付いたとしても「なんだか分からないけど将来ビジネスになりそう」なんてものには興味も持ってもらえません。「そんなの具体的に案件取ってきてからやれよ!」と言われるのがオチです。


 一方で参加者は貴重な休日を割いて参加しています。もちろん知識欲を満たすところは勉強会だけでなんとか出来ますが、社内である以上、参加自体が会社からの評価につながるようにしてあげないと、結果覚えた知識が直近で役立たなかった時に徒労で終わってしまうことになります。…まぁそういうのって本来は自己責任なんですけど、人によっては社内における「滝川ブランド」を信用して参加してくれた人もいたと思うので、やはり配慮せざるを得ません。
 そもそも明確なメリットを打ち出さないと人が集まらないんですよね。みんな休日を潰して集まる訳だから、それを超える何かを享受する必要があります。人が集まらないと勉強会自体続けられない。勉強会を続けられないと元々やりたかった目的が達成できない。全然意味なくなっちゃう訳です。


 だから今度社内勉強会を始める後輩には「勉強会自体の目標設定が大事だ」「勉強会を通して何がやりたいのか考えろ」と口を酸っぱくして言い続けています。これは主催者にとって一番大事な事だと思っています。


社内勉強会の今後

 今の社内を見てみると、新入社員向け研修(月1回×12回)や新任役職者研修(同)など、会社で参加を義務付けられている研修がいくつか開催されています。この上さらに部門長は月1で営業会議があり、それに備えた事業部毎の営業会議が設定され、事業部長会が毎週午前中に開催。さらにさらに事業部単位でのワーキンググループなんか始まっちゃったりして。より一層みんなの休日は奪われており、その中を縫って有志が勉強会を開催する事になる訳です。なんだかなぁ。


 でも研修の開催者の話を聞く限り、あちらもあちらでやりたいことや実現したいことがあって熱意を持って行う訳で、その内容についてはオレも非常に同意できました。是非やった方が良い。ただ、そうは言っても参加者の体はひとつしかなく、休日は有限です。だから、それぞれ別々でやるよりは、互いに情報連携して力を合わせながらやってくのが望ましいんじゃないかと思っています。


 今までオレはそういう社内政治的なところからは出来るだけ離れて物事を進めようとしてきましたが、その方法で進められるのは第3回Flex勉強会までが限界だった、ここから何かを成し遂げたいなら、ありとあらゆるものを積極的に活用していく必要がある、そのように理解しています。

オレ自身の今後の勉強会開催

 じゃあオレは勉強会またやるのか?というと、もちろんなにかしら考えてはいますが、幸いにしてビジネスミッションもありませんし肩肘張らずに気楽に少人数でやれたらなぁ、と思っています。縦サミットでよしおかさんから聞いた「開催のメリット>開催のコスト」という言葉に従い、開催側のコストを極力落とした状態で何か新しく始められればいいなぁと考えています。まぁ詳細については乞うご期待ってことで。