ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

Googleのモトローラ買収は世界征服の布石のひとつか?


 昨晩のビッグニュースなのでご存知の方は多いと思います。8/15、米国Google社は携帯端末を製造するモトローラモビリティホールディング社の買収を発表しました。なんとその価格は125億ドル、日本円*1にして約9,600億円という超巨大買収劇は、2011年末〜2012年初に完了予定とのことです。GoogleのCEO:ラリー・ペイジ氏は買収後もモトローラモビリティを独立した部門として運営すること、開かれたエコシステムを維持するという同社の立場を繰り返し表明してしています。


 Googleの目的はなんといっても独自のモバイル筐体の開発を行えることでしょう。Androidの性能を120%発揮でき、筐体自体に自分たちのノウハウやビジョンを速やかにフィードバックできる環境が整ったことは非常に大きいと言えます。
 また、Microsoftが提供するWindows Phoneは世界最大の携帯メーカーであるNOKIAと手を組んでいます。この陣営に対抗出来る手段が、まだWindows Phoneが勢いづく前に用意したいと思うのは当然かもしれません。


 この買収劇に対し、モトローラモビリティのライバル関係であるHTC、サムスン、LG、ソニーエリクソンも概ね賛同の意を評している様子。一見意外な反応ですが、この辺はモトローラが持つ特許にあるようです。
 サムスンやHTCはAppleから端末の仕様について特許の無断使用していると訴えられており今後もこのような事態が頻発することが予想されていました。ところがモトローラは携帯電話端末に関する24,500件もの特許を保持しており、その気になればAppleを訴えることも可能。モトローラの持つ特許をGoogleAppleに対する牽制の道具に使うことで、Googleファミリーである自分たちも守られると考えているようです。Google単体では700程度しか特許を持ってなかったのでこれが出来なかったみたいなんですね。なんとも情けない話ですが、ビジネス的な合理性は理解出来ます。



 ここからはオレの意見。


 以前からのオレの主張ですが、Googleの目標は「世界征服」だと思っています。世界中の人間がGMailGoogle Calendarを使うことは、世界中の人間の情報を牛耳ることに他なりません。今やGoogleクラウドの覇者です。それがより多くのユーザーを集めるため、利便性の高い入り口として用意されたのが「モバイル」です。PCが苦手な人でも携帯電話なら使う、ノートPCよりずっとタフ(落としたくらいじゃ壊れないし、温度差もへっちゃら、多少なら水にぬれても平気)で、少しの電力で長く使い続けられる。どこからでもクラウドが使える、ということはどこからでもユーザーの情報を吸い上げられるということです。その気になればGoogleは世界中の人を簡単に操ることも可能なはずです。


 まぁ半分冗談ですが、そのくらいの勢いはありますね。


 ちょっと気持ち悪いのが、モトローラモビリティって、今年(2011年)の1月にモトローラ本体から分社化した会社なんですよね。まるでGoogleに買収される為に分社化したみたいだ。そんな意図は無いはずですが(そもそも分社化する前に事業単位で切り売りすればいいだけだし)、なんだかタイミングが良過ぎる気もします。


 視点を変えて。モトローラは既にDroid、XoomといったAndroid向けの筐体を開発・発売しています。Xoomは仕事で使ったことがあるんですがどうもイマイチ…。筐体自体が重いし、動きはカクカクしているし、直感的に使えないし。…まぁ操作性に関してはAndroidはどれもiPhone / iPadに遠く及ばないので何とも言えませんが(個人的にアリだなと思ったのはソニービルで見たXperia arcくらい)、あれがGoogleモトローラが手を組んだくらいで解決出来るなら是非ともやって欲しいなぁ、と。


 今のところ「玄人好みのAndroid、万人受けするiOS」という認識です。Windows Phoneはまだ実際に見たことが無いのでなんともいえませんが、なんとなくAndroidよりは良さそうな感じ。

 Androidはフリーで誰でも筐体提供出来るメリットがある反面、セキュリティ問題や筐体の乱立などメリットを打ち消すデメリットが存在します。これらが今回のモトローラモビリティ買収で筐体メーカーの淘汰と開発基準の確立が出来れば、もうちょっとAndroid界隈は整理されるのかなぁと思っています。

*1:8/16 10:00時点で76.85円/ドル