ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

10/29(土)、浦和vs鹿島、国立競技場【ナビスコ杯決勝】



見よ!



国立は!!



赤く燃えている!!!



FINAL!!!!



 という訳で今年も行ってきました、ナビスコカップ決勝。もう一週間近く経ってるので今更感はありますが、せっかく写真もいっぱい撮ってきたのでw。ナビスコ杯は代表戦やらACLやらに毎年虐げられて決勝以外はいまいち盛り上がりに欠けるんですが、今年の決勝は世界有数のサポーターを誇る浦和レッズと常勝軍団:鹿島アントラーズの対戦ということでチケット争奪戦も熾烈を極めたそうです。かくいうオレはどちらのサポーターでもない、というかそもそもJ2のFC東京にはナビスコ杯は関係無いのにナニしとんじゃ?とツッコミを頂けそうですが、母が謎のコネクションを使ってチケットをゲットしてきたためオコボレに預かった次第。


 ・・・というか、今回は気合入れ過ぎじゃないですか母上、なにこの超特等席?



 ピッチサイドの様子もよく見えます。プレゼンターをつとめるTOKIO国分太一君が代独唱の倉木麻衣もこのとおり。




 後ろを振り返ると、ザッケローニ日本代表監督、関塚U-22代表監督、岡田武史元日本代表監督、原博実強化委員長(というかオレ達のヒロミスタ!)と勢揃い!!







 どちらのサポーターでもないのになんというバブリーな席。せっかくなので堪能してきました。


 レッズは直前でペトロビッチ監督を解任し、堀新監督が就任したばかり。しかも主力に何名か怪我人が出ていてベストにはほど遠い状態。一方の鹿島は「オズの魔法使い」ことオリヴェイラ監督の指揮も円熟し戦術に関してはバッチシ、しかしやはりこちらも主力を怪我人で数名欠き、ベストとは言えない状態。最高潮に盛り上がったスタジアムの雰囲気とは相反し、不安要素を多く孕みキックオフを迎えます。



 スーツに身をかためた鹿島:オズワルド・オリヴェイラ監督。ビシッと決まってますが、判定に不服があるとだだっ子のように暴れてましたw。



 こちらは浦和:堀孝史監督。晴れの舞台にジャージで来てしまい、やや浮いた感じ。立ったり座ったり檄を飛ばしたりと行動もやや浮き足立った感じでした。



 さて、肝心のゲームの方ですが、基本的にはイーヴンながらやや鹿島優位といった展開。乱暴な言い方をすると「組織の鹿島、個の技術の浦和」といった印象。

 鹿島は個々のテクニックに派手さはないものの、約束事を忠実にこなしながら確実にボールを前に運び、浦和の攻撃の芽を早々に刈り取ります。

 一方の浦和は端から見ても戦術が不十分で、厳しい狭いところをドリブルや一瞬のパスセンスで強引に突破していくシーンが目立ちました。特に原口元気は秀逸で、鹿島の厚い守備をかいくぐって相手ゴールを何度となくおびやかします。


 じゃあ鹿島の選手がテクニックが無いか、というともちろんそんなことは無く(代表クラスがずらりと揃ったチームにそんな失礼なw)、さりげなく観衆の度肝を抜くプレーを頻発します。ただ、浦和と違い組織力がベースにあるので無理に個の力を使わなくてもセーフティにプレーが出来る、わざわざリスキーなプレーをする必要がないのでしょう。まさに王者の風格といった印象です。





 そうは言ってもほぼ五分と五分の勝負を展開していました。それが一変するのは後半早々。浦和:山田直樹が二枚目のイエローで退場。一枚目はちょっと印象に残ってないのですが、二枚目のシーンは明らかにファウルが不必要でした。非常に勿体ない、そして軽率なプレーだったと思います。



 これで試合は一方的な展開に。鹿島が浦和ゴールを攻め立てるシーンが続きます。浦和もエスクデロ、原口、柏木、梅崎あたりが持ち前のテクニックで打開しようとしますが、シュートにさえ持って行くことができず潰され続けます。



 後半80分には鹿島:青木も二枚目のイエローで退場。しかしこれで試合の流れが大きく変わることはありませんでした。とは言え、鹿島も決定打を欠きゴールを奪うことは出来ず。勝負はスコアレスのまま15分x2の延長戦に突入します。






 試合が動いたのは延長線前半終了間際。相手ゴール前まで攻め込んだ鹿島が興梠の左からのクロスを田代が落とし、再び興梠の低い弾道のクロス、最後は大迫が押し込んで待望の先取点。浦和DF陣を完全に崩しきっての圧巻のゴールでした。



 どちらもフィールドプレイヤーを1人欠いての延長戦。浦和の方が早く退場者を出したこともあってより疲労が色濃く出ていました。鹿島はトドメの追加点を、浦和は起死回生の同点弾を狙い続けますが、どちらも力及ばず。120分を終了したところで勝負は決し、鹿島が4度目のナビスコ杯王者の地位に輝きました。


浦和 0 - 1 鹿島【ナビスコ杯優勝】



 そして表彰式。審判団の表彰の際には浦和ゴール裏からは特大のブーイングがありました。そんなに判定寄ってなかったと思いますけどねw。流石と言うべきかw。
 準優勝の浦和には盾と賞金5,000万円が、優勝の鹿島にはナビスコ杯と賞金1億円が授与されました。MVPはこの試合唯一の得点の鹿島:大迫。数年前、高校サッカー決勝で見た悔しそうな顔とは大きく異なる、満面の笑みでした。












 最後に総評めいたものを。


 浦和と鹿島のチームトータルの力の差は歴然だったと思います。この結果、本当だったらもっと大差がついてもおかしくないほど、チームの仕上がりには差がありました。

 浦和はこれまでの長い歴史の間、カウンターサッカーをベースにした戦術を取る傾向がありましたが、近年のフロントの迷走でパスサッカーに変更したりまたカウンターサッカーに戻したりと戦術が定まらず、積み上げを全て失っているように見えます。現在の主力選手はパスサッカーを行うに優れた選手が前方にズラリと揃い、その戦術を積み上げていれば相当強くなることは、個々のパフォーマンスを見ていれば想像に難くありません。ですが、現在は前監督解任直後、新監督の戦術浸透は到底追いついておらず、戦術も約束事も殆どない状態で戦っているように見えました。あの状態で鹿島と五分に近い戦いが出来たことは、異常なまでの選手個々のポテンシャルの高さに他ならないでしょう。

 特に原口元気のパフォーマンスは圧巻でした。もしかしたら彼1人の力でこの試合結果は違ったかもしれない、そう思えるシーンもいくつかありました。もし浦和が勝っていたら、せめてPK決着だったら、MVPは間違いなく原口のものだったと思います。彼は次のW杯予選でもA代表に招集されていますが、ぜひ控えメンバーではなくフィールドに立って試して欲しいと思います。


 一方の鹿島は前述の通り戦術の徹底がなされ、その上で個の高い能力を発揮し、王者にふさわしい素晴らしい戦いぶりでした。だからこそ思うのですが、毎年のACLに見る早々の敗退劇には胸のつかえを感じずにはいられません。なぜその強さがありながら国内以外の相手に脆くも敗れ去るのか。
 このナビスコ杯に優勝した鹿島にはパンパシフィックチャンピオンシップへの出場権が与えられます。そこでどうか内弁慶振りを修正し、日本はクラブ単位でもアジア最強だということを示して欲しいものです。


 そして、今季J2をメインに観戦してきて、その目から気付いた点が一つありました。

 それは「たとえ浦和や鹿島であっても、戦術徹底においてはJ2の方が上」という、有る意味意外な事実です。資金力の違いもあって、J2のチームはJ1のようにタレントを揃えることができません。しかし、それを補う為にJ2のチームではそれぞれ戦術が徹底され、約束事がいくつも作られ、全員がサボらず限界まで走る、そういう組織としての力が強く強く身に付いています。今季FC東京が辛酸を舐めたのも、この個性に頼らないチーム作りによるものでした。1vs1であれば殆どJ1の選手は負けることが無いでしょう。でも、チームvsチームの場合、一般に認識されるほどJ1とJ2の力の差は、実は無いのかもしれません。

 尤も、戦術徹底が行き過ぎると相手にパターンが読まれ易くなるという側面もあります。そういう点も鑑みて、タレントを保持するチームは、個の力を生かす為にあえて縛りを緩くしている節も見受けられます。


 何が言いたいがだんだんゴチャゴチャしてきましたが、要するに「J2で鍛え、J1とJ2の良いところをハイブリッドで手に入れたFC東京は、J1勢に対して十分通用するどころか大きなストロングポイントを身につけている」ということです。このナビスコ杯決勝を見て、FC東京は十分J1で戦える、来季こそ頂点を目指せる、という確信を得ることができました。それは今季の柏レイソルも証明してくれています。


 直近でFC東京がJ1のチームと対戦出来るのは11/16(水)の天皇杯3回戦、相手は因縁の相手:神戸。オレがこの試合で見た確信を、どうか現実のものとして欲しいと思います。



 それはそうと、今回の試合前、両方のチームの紹介で久々に「House of Love」を聞きました。試合前の大歓声、怒号、懐かしい浦和のサポーターのコールにはちょっとジーンときました。あのサポーターをJ2に落とすことはあっては行けないと思います。(J2のチームにも迷惑ですしw。) 今季リーグ戦も残り少ないですが、浦和陣営には一層奮起して貰いたいです。