ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

「コミュニケーションは難しい」は難しいどころかコミュニケーションを無視された結果として生まれたし、なんなら今も毀損され続けている

はじめに・テスト駆動飲み会からのお知らせ

takigawa401.hatenablog.com


 以前募集したこちらの特定の企業・特定のチームでプライベートに開催するテスト駆動飲み会ですが、コミュニティ伝手で一軒お問い合わせを頂き、実際に開催に至ることができました。詳細はプライベート開催を謳っているので明かすことはできませんが、普段のテスト駆動飲み会よりはメインナビゲータのやっとむさんてらひでくんがコメントする機会を少なくしてもらうことで、お呼び頂いたチームの皆さんのコミュニケーションが活発化し、主体的にコード書くことを楽しんでいただけたと思います。のちに聞いた感想も上々で、その時のチームの方が普段のテスト駆動飲み会・本会の方にも参加してくれるようになりました。非常にありがたいことです。

 企業プライベート開催のテスト駆動飲み会は引き続き募集しておりますので、ぜひ自分のチームでの導入実施を検討してみてください。所詮2時間程度、しかもお酒飲みながらなので、決してチームに対してTDDやモブプロのインストールが完了するわけではありませんが、なんとなく雰囲気を掴んだり、単にチームの新しいコミュニケーションのあり方として取り入れて頂くような、ライトなスタンスで臨んでいただけると嬉しく思います。


 また、2023年からテスト駆動飲み会では、飲み会ではない新しい企画もスタートします。こちらも絶賛準備中ですので、ぜひTDD本ご購入の上で*1お待ちいただければと思います。


 通常のテスト駆動飲み会も絶賛募集中です。次回は年末12/23に開催予定です。見学枠もありますので、お気軽にご参加ください。
tddrinking.connpass.com



本題

 さて、ここまでが「テスト駆動飲み会」としての大事な宣伝で、ほぼほぼ言わなくてはいけないことはすべて伝えた形です。ここから先は「テスト駆動飲み会」の幹事としては些末な蛇足ではあるのですが、さりとてオレ個人としてはここからが本題だったりします。

 2020年2月26日、時はCOVID-19(新型コロナウイルス)が日本に流行し始めた頃、我々「テスト駆動飲み会」もオンサイト開催を諦め、リモート開催に移行して最初のイベント開催でしたが、このタイミングで我々はテレビ朝日系列の朝のワイドショー番組「羽鳥慎一モーニングショー」から取材を受けました。この時の対応をイベントのフロントマン(幹事)だったオレが担当し、結果、以下のスクリーンショットが遺され、今もIT業界アジャイルコミュニティの一部で独り歩きしている状態です。



 この画像に至った経緯は口頭ベースでは伝えていたんですが、そろそろちゃんと広報しといた方がいいなと思って、最近ちっとも更新してない当ブログを開いてみた次第です。

COVID-19の流行とテスト駆動飲み会のリモート移行

 COVID-19の名のように、新型コロナウイルスは2019年末頃から世界的に流行を始めました。日本では翌年2020年の頭にあった横浜クルーズ船でのクラスター感染が最初で、徐々に国際ルートで国内にも流行し始めたのは皆さん記憶に新しいかと思います。ご多分に漏れず我々「テスト駆動飲み会」もリモートに移行する決断を行いました。

tddrinking.connpass.com
tddrinking.connpass.com

 オンサイト開催の際、我々は会場として高円寺にあるヴァル研究所さんをお借りしておりました。駅探索エンジン「駅すぱあと」で有名なヴァル研究所さんは、コロナ禍前まで様々なIT勉強会コミュニティに会場貸しを行っていましたが、感染状況を鑑みた結果として、自社の事業を一部を残しリモート化するのに伴い、会場貸しを全て断るという判断をされていました。我々がリモートに移行する判断をしたのが先か、ヴァル研究所さんが会場貸しをやめたのが先かは記憶が定かではありません。オレが当時ヴァル研究所さんからお仕事を頂戴していて同ビルで働いていたこともあって情報がシームレスだったので、逆に境目が曖昧だったんですよね。

テレビ取材が行われた経緯

 テレビ取材の連絡があったのは、まずヴァル研究所の総務部の方に、でした。以前からヴァル研究所さんは何回かテレビ取材を受け入れていて、既にパイプが構築されていたみたいですね。
 テレビ取材からは「新型コロナウイルス流行で御社開催の勉強会で中止になったイベントは無いか?そのコミュニティを紹介して貰えないか?」というような内容で問い合わせがあったみたいです。


 この時、ヴァル研究所を会場として予定していたイベントは2件だったそうです。ひとつは我々「テスト駆動飲み会」、もうひとつは「DevLOVE」でした。
 この双方に声をかけるのが筋なのでしょうが、ヴァル研究所さん的には実質一択でした。DevLOVE側のイベントがヴァル研究所の社員であった新井さんが同社を退職を記念するイベントだったんですよね。

devlove.doorkeeper.jp

 そんなイベントをテレビで取り上げられたら、そらまぁ会社としてはよろしくないわけで。ヴァル研究所さんの意思だったのか「DevLOVE」の意思だったのかは定かではないですが、ともかく我々「テスト駆動飲み会」にお鉢が回ってきた次第です。

実際のテレビ取材の内容


 上のスクリーンショットは当時のテレビ取材の担当者であったテレビ朝日:和田さん(ディレクターだったかプロデューサーだったかは忘れた)とのやりとりのメールです*2
 メールで10回以上、電話でも2時間近くお話をさせていただき、我々「テスト駆動飲み会」の活動意義や目的、信念をご説明差し上げました。元々テレビ取材の方がITの知識が乏しいであろうことは分かっていたので、なぜテスト駆動開発(TDD)やモブプログラミングが必要なのか、そもそもTDDやモブプロとは何なのか、可能な限り丁寧に説明したつもりです。
 本番のイベントの際も、テレビの方が取材しやすいようにと運営メンバーだけでもどこかに集まろう、という話になり*3やっとむさんがクリエーションラインの安田社長に話を通してくれて、ご厚意で秋葉原の同社オフィスに集まることができました。件のスクショも実は後ろにやっとむさんてらひでくんが写ってたりします。*4
 実際にカメラが入ったレビ取材も事前打ち合わせまで含め2時間近く行われ、オレへのインタビューも20分近く行われました。事前の打ち合わせと同じく、カメラの前でも丁寧に「テスト駆動飲み会」の活動意義・信念をお伝えし、加えて彼らからの質問に答えるようにしていました。正直なところ、リモートに移行してもほとんど問題なくイベントを運営できていたので、彼らテレビ取材側としても困ったんでしょうね。「実際にリアルで集まるイベントと比べてどうか?」というような主旨の質問だったと思いますが、それに対して「取り立てて問題はないが、敢えて挙げると飲食の準備が要らないのと、若干だがリアルで顔を合わせるのとではコミュニケーションは難しいかもしれない」というような答えを返したのが、件のスクショのシーンだったと記憶しています。……正直3年も前の話なので、記憶が定かじゃないですが、まぁだいたいこんな感じの回答だったはず。

歪められた真実・不名誉な記録としてのスクショ

 結果として、取材の後日放映された内容では、我々は単なるオンライン飲み会として扱われ、TDDもモブプロも一言も言及されず、オレの20分以上話したはずのインタビューもたった一言「コミュニケーションは難しい」とだけ切り取られたものとなりました。散々準備した割にはわずか一分あまりの内容で、しかも本質とは大きく異なる、歪んだ形で日本全国に放映されました。その後の番組展開も見ていましたが、番組内のコメンテータ達からも特に大した言及は為されず、サラッと終わった印象があります。


 その後3年近いコロナ禍を経て、リモート飲み会もオンライン勉強会も極めて一般的な行為になりました。ウイルスの特性が明確になってきて対策が打ちやすくなり、ワクチンが誕生して、新型コロナウイルスがかつてほど脅威で無くなった現在でも、オンサイトの代替ではなく、あくまで選択肢のひとつとしてリモート開催を選べるようになりました。オンサイトとオンラインのハイブリッド開催イベントも珍しく無くなってきています。おそらく我々が歪んだ形で報道され面白おかしく伝えられたことさえも、リモートが当たり前の今となっては何の意味も無くなってしまったと思っています。


 オレにとっては、あのスクリーンショットは不名誉な記憶の象徴となりました。トータルで10時間以上準備をしてきたテレビ取材に、オレがたった一回、あの瞬間だけ言葉選びを失敗してしまったがために「テスト駆動飲み会」の意義や存在がゆがめられてしまった、そしてそれが切り取られてしまったのがあのスクリーンショットです。もちろんやっとむさんてらひでくんを始め「テスト駆動飲み会」に参加してくださっている仲間は、特に言及もせず、あるいは一笑に付す程度で済ませてくれて、コミュニティとしては特に問題も無く現在まで運営できています。
 とはいえ、オレ自身はこの件を好意的に捉えたことはただの一度もありません。あくまでオレにとってあの事件は不名誉な出来事であり、それ以外の何物でもないです。


 テレビ取材自体に対してとやかく言うつもりはオレはありません。テレビ取材なんてメディア側の都合のように切り取られて真実が歪められて伝えられてしまうのは珍しくない話です。テレビは事実を報道しているかもしれないが、それは決して真実と同一ではない。我々は現代日本を生きる上で、メディアに真意をゆがめられるリスクを承知した上でメディアと付き合っていかなくてはならない、なんてのは常識なわけで、オレは3年前のあの時たまたまそれを強烈に思い知らされたにすぎません。


 また、このようなシーンをスクショに取られて使い回されることも、ある程度はしょうがないと思っています。かつても「でも幸せならOKです」や「大迫半端無いって」のようなテレビ報道のスクリーンショットがネットミームとして使われ続けていました。件のオレのスクショもご丁寧にキャプションも入っていましたし、使いやすいのは理解できます。あのスクショに写っているのがオレでないなら、オレもきっと何かの折に使っていたでしょう。なので、多少であれば文句も言わないですし、真意を理解してオレに配慮して使ってもらっている分には、ネットに転がっているものですし、どうぞご自由になさってください、というほかありません。

ネットミームにすらなれない、悪意のあるスクリーンショットの使われ方

 ところが最近、オレが出入りするIT業界のアジャイルコミュニティで、件のスクリーンショット画像を、明らかに上記の範囲を超えた悪意のある形で使われるケースが増えてきました。Discordのテキストチャットに不用意に、あるいは無意味に件のスクショ画像を貼られることが以前からありましたが、最近は特にひどくなってきていると感じています。オレから見て、オレを貶める、あるいはからかう・馬鹿にする目的で使用されているように感じています。Discordのテキストチャットに即時貼れるようにわざわざご丁寧にスタンプ化されるケースも、ひとつやふたつのDiscordで見られる現象ではなくなってきていました。


 ありていに言えば、オレにとって非常に不愉快な状態が続いています。


 貼っている当人たちがどのような思惑で使っているかは窺い知ることは叶わないですが、当初貼っていた人物が特定少数だったとしても、オレをいじる・からかう・馬鹿にするという行為を行っても良いという雰囲気がコミュニティ内に醸成されてきている傾向があります。悪い意味でオレの存在を雑に扱われるようになってきていると感じています。これはオレ個人としても看過できない事態ですし、コミュニティとしても決して良い兆候とは言えないでしょう。

 オレはコミュニティの中で、やや抽象的な表現をすれば「間」を埋める立ち回りをしてきたつもりです。もうちょっと具体的な事例を書くと、ちゃんとしたイベントの内外で気楽にコミュニケーションが取れる場として懇親会を企画したり、オンラインでも聞き専の人が参加しやすい立て付けを用意したり、と言った活動をしてきました。結果として、酒の場にいることが多く、ちゃらんぽらんに振舞っていたため、ある程度雑に扱われることは想定はしていましたし、事実として自身が望んだことでもありました。

 とはいえ、オレ自身本来「いじられる」「からかわれる」行為は大嫌いですし、全く望んでいません。そう扱われた場合でも、あくまで自身のその後の利益やコミュニティとしてのメリットを秤にかけて、不満を飲みこんでいたにすぎません。にも拘らず、当たり前のようにいじり・からかいの対象となってしまった。ある意味では自分がそう仕向けてしまった部分もあるのかもしれませんが、それにしても今の不愉快な事態を容認できる理由にはならないと感じています。

「いじり」「からかい」はコミュニケーションではない

 そもそもとして、他人の画像をバンバン貼って揶揄する行為は、小学生のいじめとやっていることが何が違うのでしょう?
 いじってあげてるだけ?美味しいでしょ?そんなわけあるか!

 そもそも「いじり」はコミュニケーションではないです。「いじり」はれっきとした他者に対する攻撃行為です。
 テレビに出るような芸人さんたちは、いじられることを「美味しい」と表現しますが、それは彼ら芸人が「いじり」行為を受けることによってフォーカスを浴び、テレビに映る回数が増えたりキャラ立ちしたりするからです。つまり明確な「利益」が存在するからです。芸人さんと言えどカメラの回ってないところで「いじり」を行う意味はないですし、おそらく実際に行っていないでしょう。カメラが回っている場所で「いじり」を行う場合にも事前にある程度は確認(ネタ合わせ)は行うでしょうし、事前に行わなくても後でお詫びくらいは言っているでしょう。
 プロにおいてもそのくらい慎重に扱うべきものが「いじり」という手法なのです。

 テレビに映る華やかな場面しか知らない一般視聴者が、「いじり」をコミュニケーションの一手法として勘違いするのは、まぁ分からなくはないですが、一般視聴者がそれをコミュニケーションの手段として気軽に使用するのはとても危険です。

 もちろん、一般の方でも「いじり」を「美味しい」と感じる人がいるのも事実でしょう。が、そんなの嗜好としてSとMが存在する*5ようなもので、やられた人によって感じ方は全く違います。本来関係性が出来ていない人に事前相談もなしに「いじり」をコミュニケーションの手段として用いるのは非常に危険だとオレは思います。

おわりに

 前述のように、件のスクショを無遠慮に貼っている人たちが、オレに対する悪意でやっているのか、好意による「いじり」でやってるのかは推し量ることができません。ですが、いづれにせよオレにとっては不愉快でしかないですし、それが仮に自身やコミュニティにとって不利益につながることがあっても、ここで明確に不愉快であるという意思を示すことが重要だと考えました。


 前述のように、件のスクショを全く使うな、とはオレは言っていません。オレ自身はネットミームとなってしまったのであれば、文脈はさておき、ある程度自由に使われるのはやむを得ないと思いますし、それを咎めることもしません。


 とはいえ、こちらの許容範囲を超えた使われ方をすれば、オレとしても抗議せざるをえません。今回こうして抗議の意を文章として公に書くことにしましたが、今後この事態が改善されないのであれば、個別にもっと強い態度・手法で臨まざるをえないと考えております。
 現状オレが不愉快と考えている人たちに、ここで意思を示すことで謝罪を要求しているわけではないですし、一方で関係性を元に戻したいと考えているわけでもないです。ただこの異常な事態を正常な状態に収めたいだけです。それだけ理解していただき、自らの行動を省みて社会人として正しい在り様を取ってもらえれば今はそれで充分です。


 半分死に体のブログではありましたが、本来こういうことを書きたくて作ったものではないので、今後はもうちょっと明るい話題を扱えればいいのになぁとは思ったりしますね。

*1:まだ読み始めなくても大丈夫、読んでくれてた方がそりゃありがたいけど

*2:詳細は見えないように伏せています

*3:フルフルでリモートに移行するのが怖かったので運営だけでも集まって即時意思疎通できるようにしておきたかった、というこちら側の思惑もあった

*4:てらひで、そういえばこの頃はまだ和服じゃないな

*5:蛇足ですがSMの場合もコントロールしているのはMの方で、逆にSがコントロールしようとすると関係が破綻する場合があるらしいですね。オレは割とノーマルなので詳しくは知らんけど