中断していた2014シーズンJリーグが今日から再開します。我々が4年間待望した2014ブラジルW杯は、数多くの名勝負を、ドイツの優勝が最後に飾って幕を閉じました。一方、勝利を確信していたはずの日本代表は1分2敗、グループリーグ敗退と、非常に残念な形で幕切れとなりました。
3戦とも見ていた人なら、サムライブルーの戦いぶりに色々物申したいことはあるでしょうが、それでも最後のvsコロンビア戦は、結果や点差はともかく、内容についてはこの4年間の集大成とも言える様なものだったんじゃないでしょうか。それでも、FIFAランキング1桁台の国の本気には手も足も出ない。
これが今の日本サッカーの立ち位置で、実力です。受け入れましょう。
日本のブラジルW杯は終わってしまいましたが、さりとて日本のサッカーが終わってしまった訳ではありません。次のロシアW杯までたった4年しかない。もちろん今回の敗戦について議論も反省も必要ですが、口先ばかりの議論だけではなく、具体的に「次」に向けて進まなくてはいけません。
そんな今だからこそ、是非読んで欲しい本を紹介したいと思います。
- 作者: 川端暁彦
- 出版社/メーカー: 東邦出版
- 発売日: 2014/03/07
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る
目次
第1章 96ジャパンが示した育成の現在地
第2章 半96、あるいは反96の選手たち
第3章 高卒ルーキーに見る雇用のミスマッチ
第4章 鈴木ジャパン、4度目を期す男たち
第5章 大卒のリアルと、ドイツ行き
第6章 大卒ルーキーは当たり年なのか
第7章 鮭の放流、帰り着く稚魚たち
第8章 可愛い子には旅を勧める
最終章「日本のサッカーはもっと強くなれる」
巻末収録 J1・J2・J3クラブ別“新卒補強"診断
本の概要
簡単に言うと「2014シーズンからJ1〜J3の、Jリーグに新規加入したルーキーをひたすら紹介している本」です。ここに出てくる選手の大半は、かなりのJリーグマニアでも殆ど知らないような無名の新人ばかり。それを独特の表現で魅力を分かりやすく解説してくれています。
Jリーグの各クラブチームには、「下部組織」と言われる育成世代のチームを持っている場合が多いです。U-15(中学生世代)、U-18(高校生世代)といったそれらユースチームで活躍しそこからトップチームに上がっていった選手、ユースでは見出されずに大学に進学し、そこで開花してトップチームに返り咲いた選手、ユースチームには入らず(入れず)高校サッカーで実力をつけ、Jリーグに入る選手、実に様々です。
全国に数十万といるサッカー小僧のうち、ほんの一握りだけがJリーグの門が開かれる。海外の強豪クラブへの加入、日本代表、W杯出場、サッカーにおける華やかな道は、全てその先に続いています。
一方で、毎年Jリーガーの1割程度が何かしらの理由で引退しているのも事実です。その多くが20代前半の若手で、場合によっては一度も公式戦に出場することが出来ずにチームを去ることもあります。ミスマッチ、チーム事情、不慮の病気や怪我、理由も様々です。
それがプロスポーツの厳しさだ、と断じてしまえばそれまでですが、Jリーグは設立してからまだまだ20余年、仕組みとして必ずしも上手く回ってない部分も往々にしてあります。
また、本来Jリーガーであっても良い実力を秘めているのに、スカウトの目に留まらず、一般職を選んでしまう選手を数多くいます。「大器晩成型」「遅咲きの選手」と呼ばれるような選手が、特に日本はすくい上げるのが苦手なのだそうです。本来輝くはずだった可能性をむざむざ見過ごしてしまっている、というと、非常に残念な話ですが、防ぐことが難しいのも事実です。
この本には、そんなJリーグの裏事情も合わせて説明されています。
今回のブラジルW杯を観て、日本代表は弱い、まだまだ世界には届かない、そう感じた人は多いでしょう。
では、我々が日本代表を、Jリーグを強くするには、何ができるでしょうか?
極論を言えば、我々のような普通のサポーターがJリーグ・日本代表を強くするために出来ることは、たったひとつ、「お金をサッカーに落とす」ただこれだけです。
声援は確かに選手の力になるでしょう。でも、それだけでは生きて行けません。資本経済の中で生きて行くには、先立つものが必要です。
この本は、非常に読む人を選びます。Jリーグのチームが好きで、スタジアムに何度を運んでいる、クラブハウスにも応援に行ったことがある、子供や友人がクラブユースに参加している、そんな人で無ければ、この本を読んでも、ただただ退屈でしょう。日本代表に名を連ねるような選手は一人も出てきません。Jリーグの試合でも公式試合に出てない選手ばかりです。
ですが、この本に紹介されている選手のいづれかは、4年後のロシアW杯の代表選手に名を連ねているかもしれません。いや、それ以前に、2016年のリオデジャネイロ五輪の代表として選抜される選手の中に、彼らの多くがいることでしょう。
4年後の日本サッカーの為に、貴方が何かをしたいと思っているのであれば、是非この本を読んでみてください。そして考えてみて下さい、4年後のロシアW杯でサムライブルーが躍進する為に、何が出来るのかを。
前述の通り、我々のようななんでもないただのサポーターに出来ることは「お金を落とす」ことだけです。でも、お金の落とし方は我々にも選ぶことができる。
スタジアムに足を運ぶのも、グッズを買うのも、サポートクラブに入るのも、スタジアムで飯を食うのも、サッカーチームに子供を入れるのも、車で子供の送り迎えをするのも、飲むビールや食べるお菓子、遊ぶテレビゲームをサッカーのスポンサーのものを選んで買うのも、きっと何処かでサムライブルーに繋がるはず。
日本のサッカーを強くする為に何をすべきか、この本はきっと考えるきっかけになるはずです。もしブラジルW杯を観て面白い・楽しいと感じたならば、是非この本を読んで欲しいと思います。
追記
この本を読んだからといって、ルーキーウンチクをたれ過ぎると鬱陶しがられるので、ほどほどにしておきましょー。