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どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

iOSの規制緩和とPackager for iPhone の開発再開

 半年ほど前に米国AdobeSystems社が発売したFlashCS5に実装された機能「Pakager for iPhone」は、本来Intel MacXCode/C,C++,ObjectiveCで開発出来ないはずのiPhoneネイティブアプリを、Flash/ActionScript3で開発できる様になる、という非常に画期的なものでした。Flashアプリやその開発者はiPhoneのそれと比較にならないほど多く、それらの資産がiPhoneに流れ込んでくるとWebやスマートフォンの在り方が一気に激変するのではないかと注目を集めます。
 が、実際にはそうはなりませんでした。米国Apple社はiOS*1の開発規約を変更し、Appleの指定した環境・言語以外で開発されたアプリは一切認めない、としたのです。iPhoneiPadのブラウザではAppleの規定で以前からFlash(SWF)が動きません。これにより両社の間柄は非常に険悪になり、もうそのまま仲違いしてしまうんじゃないかと思われました。


 ところが、9/9にAppleは突然iOSの開発に関する規約を見直す発表をします。その中には「XCode/C,C++,ObjectiveCで開発されたアプリでなくてはならない」の項目が削除されており、実質的にFlashベースでiPhoneのネイティブアプリ開発が認められたことになります。実際、過去にリジェクト扱いとなっていたFlashベース開発アプリに対して、AppStoreが一斉に審査が再開されているようです。Adobeもこれを受けて、Flash開発環境に再びiPhoneアプリのパブリッシュ機能を設けると発表。これはFlasherにとっては朗報!と思えるニュースです。ちなみに、Appleの今回の決断は、fladdictさんこと深津さんが詳しく分析されているのでそちらをご覧下さい。


iPhone開発規約の変更にともない、Flash for iPhoneは復活するか? 雑感 | fladdict


 が、いいことばっかりでもないようです。Flashベースの開発が行われていたのはiPhoneOSがまだ3.xの頃の話、それが急に再審査が始まったとして、当然iOS4のテストなんかしてない訳で、それがちゃんと動くかどうかは・・・。こちらの方もそれで当惑しているようですね。


Packager for iPhoneで作成して、Appleから放置されていた「DanboPush」が、いきなり出ちゃってた! | お知らせ | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)


 実際のところ、FlashCS5の同機能はiOS4には対応しておらず、当面は使い物になりません。Adobeがどういう形でこの状況をクリアするかは疑問ですが、しばらくは静観していた方が良さそうな感じです。





Packager for iPhone の開発再開について - akihiro kamijo
Appleの方針変更により、Adobe Flash Professional CS5の「Packager for iPhone」で作成されたiPhoneアプリが復活 | iPhone | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)
Adobe、Appleの方針転換により「Packager for iPhone」の開発を再開すると発表 | iPhone | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)
iPhoneアプリ審査での111の禁止項目(意訳) | fladdict
アップル、iOS向けアプリ開発規制を緩和--App Store審査ガイドラインを公開へ - CNET Japan
アップルが iOS 開発者規約を変更、開発ツール制限を緩和。審査ガイドラインも公開 - Engadget 日本版
アドビ、FlashのiOS向けアプリ作成機能を開発再開 - Engadget 日本版
iPhoneデベロッパー規約変更、「素晴らしいニュース」とGoogleがコメント - ITmedia エンタープライズ
Adobe、iPhone向けFlashアプリ変換ツールの開発再開 Appleの規約変更受け - ITmedia エンタープライズ
アップルの方針転換でiPhoneでのFlash変換アプリ復活へ、アドビの株価も急上昇 - Publickey

*1:当時の呼称はまだiPhoneOSだったと思います