はじめに
一ヶ月近く前になってしまうんですが、10/05(金)に東京:代々木の全理連ビルで開催された第5回iPhoneGames勉強会に参加してきました。参加理由は、なんといってもセガの開発者が発表に立つ、というのが一番大きかったです。…べっ、別に初音ミクのゲームだから参加したわけじゃないんだからねっ!
この日は有休を取ってCEATEC JAPAN 2012に行ってきた、その帰りに参加した形で、体力的にはヘトヘトだったんですが、CEATEC自体が個人的にはイマイチだったので、その分の期待を全てこちらに集中させた状態で参加した次第です。
OPトーク 株式会社HatchUp八反田氏
この勉強会自体は、HatchUpという転職支援企業の主催だったようです。かなり太っ腹で無料で懇親会に参加できるんですが、金曜の夜の勉強会は、発表者がビール飲みたいタイミングからビールが配られるというルールが適用されるそうです。勉強会の最中にビールが配られるとか有り得…、いや、以前クラスメソッドさんのところでもあったか。
iNeet アイニート井上氏 「iNeet -アイニートができるまで」
- 私、ニートです。
- スーツを着てますが成人式以来
- この先も着ることないんじゃないか。
- 緊張してます。
- メンバー
- 開発中
- よく怒られた←知識が無い
ニートが作ったニートのゲーム、なんだかマッチポンプな感じです。2chを宣伝に使ったあたりも、元ニートらしいアプローチですね。ちなみにオレもこのゲームDLしてみたんですが、イマイチ遊び方が分かんなくて全然やってませんw。
株式会社TKS2清水氏 「Cocos2d-xのススメ」
- TKS2会社紹介
- クロスプラットフォーム開発が出来る
- Cocos2d-xのメリット
- cocos2dとcocos2d-xでクラスやメソッドの扱いはほぼ同じ
- Cocoaを模したクラス・構造体が用意されている
- 拡張性無限大
- おなじみの外部ツールも使える
- CocosBuilder
- Texture Packer
- Physics Editoor
- Particle Designer
- Level Helper
- →中には使えないものも
- デメリット
- Cocos2d-xは1ソースで多くのプラットフォームに対応
- Cocos2d-xの導入は簡単(フォルダに億だけ
- 拡張、ツール利用もサポート
- OS毎の対応は必要
開発FWの話で、バリバリエンジニアリングなお話でした。クロスプラットフォームで開発できるのは魅力ですが、オレ、C++書いたことないんだよなぁ…。でも一度はトライしてみたい。
株式会社セガオンライン開発研究部 ミクフリック/02ディレクター田中氏 企画熊澤氏 「ミクフリック開発秘話」
- デモムービー
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- 自己紹介
- 田中氏
- 熊澤氏
- 楽曲選択
- ミクさん愛担当
- iPhoneのゲーム
- フリックが楽しいゲームを作りたい
↓
- ボクシングの企画
- →横持ちのゲーム、難しそう
- 売れそうなゲーム、頑張って作る価値無さそう
- 縦にしたけど、片手で遊べる?まだ難しそう
↓
- みんなが知ってるUIをゲームにしたら説明入らないよな
- →テンキー入力
- →底に突然ミクさん降臨
↓
- ボクシング+ミク
- フリック入力苦手
- 素人が出来ないよ
- →UIを洗練
↓
- ここで初めてメールを部長に出す
- →まぁ検証してみるか
↓
↓
- 更に検証
- 動画サイズとFPSは?
- 横動画を縦動画に使う
↓
↓
↓
- ドラゴンズレイヤーってゲームが
- ←たぶん使ってる
- →知ってる人? →年齢がバレるよ
↓
- プロトタイプ
- 同ビットレート時のCRIsofdec2のノイズ
- 社内使用実績、サポート等
- →CRIsofdec2を採用決定
↓
- 制作決定
↓
- スケジュール
- 制作スタート 1/6(金)
- リリース予定 3/9(金) mikuの日 → 2ヶ月しかない
- 超速仕様作成スタート
↓
- 画面仕様は田中のラフそのまま
- 判定部分は即仕様化 & 即特許申請(特許申請済み)
- DIVAの楽曲パラメタシートをベースをテーブル作成で時間短縮
↓
- 社内ミクチームメンバー
- DIVA-ACチームから指導
- ←ミクのゲームとしてどうあるべきか
- DIVA-ACチームがミクフリック専用にFull HD動画をレンダリング
- ←拡大縮小してもおかしくならい映像
- クリプトンから美しいイラストを提供してもらう
- KEI
- IKUSHIMA
- etc...
↓
- 大問題
- 処理落ち
- →原因
- 見込み(検証)で走っていた部分が全部引っ掛かる
- ゲーム部分の作り込みによるCPU処理増加
- エフェクトの半透明処理負荷
- CRI社の想定より大きめの動画サイズ
- →解決策
- 丁寧にやってった
- 描画周りのコード修正
- エフェクト調整
- ←ビジュアル的に落ちないもの
- フレームレートの見直し
- ←減らしても綺麗にみえる
- 動画サイズの見直し
- ←キャッシュサイズにちゃんとハマるように
- きたなくなって駄目じゃん
- ←ビットレートにがっつり回す
熊澤氏に交代
- コンセプト
- ホントは付けてきたかった:ミクのお面
- ←開発者でも手に入らない
- DIVAコンセプト
- 歌うようにゲームをプレイ
- 歌いながらゲームをプレイ
- 歌詞をフィーチャーしたかった
- 1ファン
- 開発チームの1メンバーとして
ミク文化の説明
→歌詞にフォーカスできてなかった
- 濁点は?
- →いらね
- リズムに乗れない
- 両手でやらせたくない
- リズムに乗せて歌詞を楽しんで欲しい
- うつくしく
- アプリが1G寸前に
- 「ミクさん可愛い」の為に
- ミクへの感謝
- 可愛く綺麗に
- ユーザには我慢してもらってでも
- おどろかす
- セガらしくない
- →エンディング後にいきなりゲームが始まる
- しかも殺しに行ってる
- エンディング後いきなり「消失」
- よかったこと
- アプリサイズが大きいにも関わらずDLしてもらえた
- エンディング後「消失」を笑ってツイートしてくれた
- 楽しんでエンディングまで来たほど嵌って高難易度
- さらに楽しんで頂く為に
- ユーザは必ず制作側の予想を超えてくる
- お仕着せの難易度だけでは飽きが早い
- →Break the Limit
- 全歌詞入力モード
- 無理な難易度
- スコアアタック
- 死なないシューティング
- オレだったらクリアできるぞ!→会場1人挙手
- 展開編
- もう1つの問題→海外対応
- 全世界同時配信
- フリック入力→日本特有
- しなくていいんじゃない←クリプトン「ぜひやっていただきたい」
- 海外ユーザの声
- 初のミクゲーム!
- シンプルで純粋なリズムゲーム
- カタカナひらがなの練習になる
- ボカロファンにお勧め出来る!
- →15%が海外ユーザ
- 海外に許容してもらえるのはミクの力
- そして02へ
- 画質向上
- ミク以外で遊びたい
- 追加楽曲
- 間奏中の暇解消
- 難易度追加
- 更に高得点を狙えるゲーム
- フリックキーの入力成績表示
- カラオケモード
- etc
- →好評配信中
- 統括
- 初期コンセプト、アイディアからぶれないこと
- →開発薦めてくうちに枝葉が出てくる
- ←セガは全部入れてるようにみえるかもしれないけどちゃんと精査しながらやってる
- ←開発中は難しい
- 面白いと思ったところを徹底的に伸ばす
- 入力が気持ちよいように作る
- ミクファンに、ユーザにどう楽しんでもらうか
Q&A
- セガ内でゴーサインがでる基準
- ビジネスなんで
- リリースして社員も一緒に幸せになれるか
- 企画しました
- IP作れます
- 採算撮れるか
- →部長が
- 感覚的なゲームは伝わり易い
- サカつくのようにシステムが難しいゲームは精査が長い
- その後審査に時間が1ヶ月
- iPhoneアプリのリジェクト対策
- IP(コンテンツ)の力が強いアプリだが、クラックの対策は?
- まったくしておりません
- iOSのアプリは脱獄して、やっぱりやられちゃう
- 対策はコスト割れ
- 盗りたいやつは盗れば良い
- どうせそんなヤツは買わない
- オレ達のミク愛は買ってもらった人には伝わる
- 違法な人を止める為にお金を費やすのは意味がない
- 選曲基準?
- 一番重要視した
- 開発が好きにやれるわけじゃない
- ニコ動やYouTubeの再生数
- クリプトンやP(プロデューサー)とのバランス
- Pにひいきを作らない
- ボカロの文化をくずさない
- 02はライブの楽曲を基準に
たぶんこの勉強会のメインコンテンツ。iPhoneアプリ「ミクフリック」の政策裏話を、セガの開発チームの方々自ら行ってくれました。このくらい初音ミクがバンバン出てくるプレゼンもなかなか無い気がする。運営の人に話を聞いたら、IT業界と全然関係ない人や、ミクフリックのトップスコア保持者なんかがこれ目当てで参加していたそうです。すげえな、初音ミクw。
懇親会
…には翌日の社内イベントの準備があって出れませんでした。無念…。
総評
スタートアップの話(ニートの成長物語?)、バリバリのプログラマブルな話、そして企画・管理の話、三者三様の話が聞けました。ゲーム業界というのはオレからすると完全に異文化に該当するんですが、同じようにプログラム書いてドキュメント書いているようでも、やっぱりその実は全然異なるものだなぁと改めて感じました。
この勉強会自体は、やっぱりセガさんの「ミクフリック」の発表の印象が強かったです。会場入った瞬間から初音ミクの楽曲が流れるわPVは流れるわで、とてもITの勉強会とは雰囲気が異なるものでした。…と思ってたら先日参加した別の勉強会はもっと酷かったんですがw。
セガの方たちの話を聞いていて、一番印象に残ったのが、お二人とも「初音ミク」でも「ミク」でもなく、「ミクさん」と呼ぶんですよね。オレ、ネタやギャグじゃなくて「ミクさん」って呼ぶ人初めて見ましたわ。すげえなこの人たち!彼らの思い入れと愛によってあのゲームは作られているんだなぁとつくづく感じました。ゲーム開発っていうのは、そういう「思い入れ」が入れやすいものなのかもしれませんね。
一方で、苦労する点が性能だったりするところは、ゲームもSIも変わらんなぁ、と失笑ちゃいました。
あと、iOSのキーボードをそのまま使うとApp Storeからのリジェクト対象になる、というのは知らなかったので勉強になりました。そういうノウハウがきちんと蓄積できてないと痛い目見そうですね、普段オレはiPhoneであまりゲームをしないんですが、ゲームアプリからも、もうちょっとノウハウ集めをした方が良さそうな気がしてきました。