#devlove0521 全員スクラムマスター。 に参加してきました。
はじめに
昨晩は東京:初台の株式会社エムティーアイで開催されたDevLoveとMTIの合同イベント「全員スクラムマスター。」に参加してきました。勉強会参加希望者全員がスクラムマスター、かつ、勉強会の内容がほとんどダイアログ(テーブルごとのディスカッション)というこれまた非常にハードルの高い参加条件でしたが、なんと50人の参加枠はあっという間に満席。世の中にスクラムマスターってそんなにいるのか…。
かく言うオレはウォーターフォール代表(笑)なので、スクラムマスターどころかちゃんとアジャイル開発が出来ているわけでも無いんですが、なんとかなるだろとばかりにエイヤと飛び込んでみた次第。全然関係ないんですが、京王線で新宿から各駅停車で初台を目指そうとしたら、いきなり初台通り越して笹塚に着いてしまうというアクシデントも。…京王線って二路線あるんですね、「飛田給トマンネ」思い出したわ。
オープニング
まずは会場をご提供頂いたMTIの方からご挨拶。スクラムマスター同士でディスカッションし、抱えてる問題・悩みを共有して話し合いましょう、という本会の主旨説明がなされました。
続いて、株式会社MTIのCTO、古賀氏よりご挨拶。今後も会場提供等で協力したい旨と、できればMTIに馴染んで貰って一緒に働ける人が出てきてくれたら、との事。スマートフォン関連事業が強い会社さんですので、興味のある方はチェキラ!
オープニング最後はDevLove船長:@papandaさん。この会の進め方と、DevLoveコミュニティの概要説明…だったんですが、DevLoveを知らないという方が1人しか手が挙がらず、思いっきり省略。本当にさわりだけを、わざわざその人の近くにいって説明していました。この時点ではまだ酔っ払ってない。
Sprint1 「MTI流アジャイル弟子ノート」 @niwa303
MTIにお勤めの@niwa303さんのプレゼン。まだMTIに入社されてから4ヶ月しか経ってないとのこと。元々エンジニア志望で入社されたものの、上司の方の勧めもあってスクラムマスターに転身したそうです。MTIさんの特徴として、会社を挙げてアジャイルへの取り組みをしていること、スクラムの資格を取ることを支援していること*1、オフショア(中国)*2を積極活用していることなど。スクラムマスターはどうしても人材が不足する為、現状1人で4チーム以上見なくちゃいけない、というかなり無理ゲーな状態なようですが、それでもどうやって上手く回していくかというお話をして頂きました。プレゼン時のメモは以下。
― メモ ―
- MTI = モバイル向けサービス
- いろんな会議、凄い情報量 → 覚えることが沢山
- プロジェクトのそれまでの経緯
- アジャイル
- 会社ルール
- チームメンバーの特徴
- 事業戦略
- →立ち向かう
- 先輩からのアドバイス
- CSM研修
- 大物コーチ
- 動く
- 話す
- 笑顔
- 壁の存在
- オフショア
- 4チーム
- オフショア
- JIRA & Skype
- 会話が途切れる
- オフショア:「はい分かりました」←でも分かってない
- 気を遣う
- →やってみたこと
- 会話が途切れる
- →ゆっくり、はっきり、短く(聞き取れない状態を防ぐ)
- オフショア:「はい分かりました」←でも分かってない
- →日本:「説明して下さい」
- 気を遣う
- →同じチームという意識
- スクラムマスターやるなら向こう(オフショア先)に行かなきゃ!
- →向こうから来日
- リアルに会話すると凄く親しくなれる
- 人材交流大事、実際に会って交流する
- 4チーム
- いきなり実戦
- しかも4チームを担当
- →イベント・会議が多い
- 朝会(15分)×4
- 月金みっちり
- 細かい要求は把握しきれない
- うっかりすると+1チーム
- →メリハリ大事(by @nawoto)
- 制御できない事はどうしようもない
- →目的 = 改善
- →やってみたこと
- 細かいところは気にしない
- 聞く、引く(引き出す)、訊く(尋ねる)、貼る(共有する)
- 期限設定まで一緒に考える
- 巻き込まれない、引いて見る
- 指示はしない、一緒に考える
- いっぱいいっぱいにしない、余裕を持つ
- 完璧にできなくてもサポートがある
- →経験の蓄積スピードが速い
- 成長・スキルアップを体感
- 新たな壁、絶賛格闘中
- 新入りから見たMTIアジャイル
- オフショア
- 多くのプロジェクトが並行進行
- 成長
- 大事なポイント
- コミュニケーション
- 見える化
- (メモできませんでした、orz)
- いっぱいいっぱいにならない
- アジャイルオフショア = 同じチーム、一緒に出来ると自分が信じる
Sprint1 ダイアログ
ここで一回目のダイアログ。参加者はこの勉強会申込時に扱いたいテーマを書き込んでおり、それらからいくつかピックアップされたお題が正面スクリーンに映し出されます。各テーブルで話し合う内容は、そのお題を扱おうが、直前の@niwa303さんのプレゼンの内容を扱おうが、それぞれ自由。我々のテーブルにはMTIでスクラムマスターをされている方がいたので、プレゼンの内容を踏襲する形でMTIさんのスクラムへの取り組みや、オフショア開発の様子を伺う形となりました。
― メモ ―
- 巻き込まれないことが大事
- 客観的に見れない
- 対立構造を解決する
- →3すくみのような対立構造になったりしないのか?
- ならない
- スクラムマスターはフワッとした存在
- 権限が無い
- 障害を取り除く
- パワーバランスを取ろうとすると失敗
- 出る会議を減らす
- あえて知らないようにする
- 会議には出る、でも交ざらない
- 直接は聞かない
- ボード等で確認
- スクラムマスターはチームを掛け持ちするものなのか?
- 掛け持ちはNG
- 兼任は健全な状態じゃない
- 必ずしも実現はしない
- でもベターなと手としてどうするか?
- チームから色々言われる
- 楽そうに見える
- アウトプットを出してないから
- 炎上しないように見える化
- 細かいところまでチェックするか
- 把握はするがチェックはしない
- 敢えて知る?知らない?
- →どっちでも。その人次第。
- 中立的な立場
- 問題点に対するアプローチ
- 日本とオフショアの位置づけ
- 普通のチームと一緒
- 単に立地が離れているだけ
- 統計
- 取らない
- ベロシティの統計は取る
- ふりかえり
- みんなで
- POも参加
- →POまで参加して大丈夫か?
- PO次第
- 対等の関係が作れるか
- →オフショアも含めて
- Skypeの音声チャット
- 日本語は分かる
- 必要なら書く(チャット)
- 50チーム中:80-90%がスクラム
- オフショア側に企画の人間はゼロ
- スクラムマスターはいる
- 開発者は全てオフショア?
- チーム規模次第
- 大:半々
- 小:すべてオフショア
- 技術サポート等は日本から行う
- CI・TDDはやってくれる
- 指導と依頼(こういう人材を育ててほしい)
- CTOが現地で面接
- 全然違うものが出てきたりはしない
- 毎日コミットしてくれる
- →正直日本のSIerよりは技術力は高い
- ×:オフショア=ベクトルが交わらない
- ○:同じパートナーだから
- アジャイルが出来ている理由
- 受託じゃなくてサービスの会社だから
- 受託:自社と顧客を説得(後者が難しい)
- サービス:自分の会社だけでOK
- 予算:POが決める
- スクラム = 人を動かさない方が良い
オレがスクラムど素人だったこともあって、MTIさんの実態を聞きながら「スクラムではそれってありなの?」みたいな質問の投げ方もさせてもらいました。やっぱり1人で4チーム掛け持ちするというのはスクラムでも健全ではないし、でも能力のある人は限られるので、その中でどうやって上手く回していくかは気になりました。面白かったのは、チームを上手く回していくために『あえて深入りしない』ように心がけていること。スクラムマスターは客観視して平等にチームを眺め、ファシリテートしていくことが一番重要だというのがみなさん心掛けていらっしゃるようでした。
オフショアの話は以前にも聞いたことがあったのですが、やはり大事なのは「日本もオフショアも関係なく『ひとつのチーム』として働くこと」のようです。この辺はSIerのゼネコン体質意識があると絶対成し得ないでしょうね。逆にそれさえ出来ていれば、オフショア開発であってもアジャイルは導入できる、ということは、MTIさんが証明してくれたと思います。
Sprint2 「私がスクラムマスターを止めた理由」 @TAKAKING22
休憩明けは楽天の@TAKAKING22さんによるプレゼンからスタート。@TAKAKING22さんは、個人的には「7人のアジャイルサムライ」や「リーン・スタートアップ・ナイト」でもご一緒させて頂いた他、うちの会社のフットサルクラブにも参加して頂いているので、既知の仲。プレゼンされるところを見るのは初めてなので、非常に楽しみにしていました。
@TAKAKING22さん自身は新卒で楽天に入り、3年目。非常に若いです。その中で昨年@daipresentsさんと一緒のプロジェクトに参画することで、アジャイル開発を初体験。以降自分がどうやってアジャイルを導入していったのかを話して頂きました。
― メモ ―
- 会場から挙手
- スクラムマスターやってる人:4-5割
- 変化
- チームで働く
- 障害
- 人は選べない
- バスに乗らない、乗せたくない人
- 乗せないことがそもそもできない
- 切符を切る人ならできる
- 誰もいないバス
- 役割は決められない
- 座席固定
- 人事権がある人
- 役割→新しい滝
- 懐疑主義と悲観主義は違う
- 自分で試して改善していく
- 同じ方向を見て進む
- 迷わず行けよ、行けば分かるさ
全然どうでもいいことですが、最後の「迷わず行けよ、行けばわかるさ」は一休宗純和尚が原典なんですよね。なので「一番最後に『バカヤロー!!』が付いた時だけアントニオ猪木だ」とオレはいつも訂正して回ってます。…ホントにどうでもいいことだった。
Sprint2 ダイアログ
メンバー変わって、2回目のダイアログ。我々のテーブルでは@TAKAKING22さんが挙げていた「あなたのスクラム道とは?」というキーワードからディスカッションが始まります。
― メモ ―
- あなたのスクラム道とは?
- 邪道
- アジャイルをやることが目的ではない
- 「守」にこだわり過ぎる
話は紆余曲折は合ったんですが、最終的には「王道のスクラム・邪道のスクラムって何さ?」という話題が中心になりました。
@TAKAKING22さんの話は、確かにスクラムとしては邪道だったかもしれないけど、アジャイルの本質である「お客さんに動くものを届ける」という観点から言うと、様々なプラクティスを試しながら今できることをやっているんだから、アジャイルとしては超王道なのではないか。
じゃあ「邪道のアジャイル」ってなんだ? 某大手SIerが始めた「上手い・早い・安い」を売り文句にしたアジャイルがそれなんじゃないか。アジャイルマニフェストにある原則を、あのアジャイルは忘れてないか? などなど。
オレ個人としては、アジャイルは「開発をより良くするためのTips」という解釈なので、確かに@TAKAKING22さんのやってきたことが邪道には全然見えなかったんですよね。かといって王道かと問われると自信持って答えることも出来なかったんですが。その点テーブルにはよりスクラムに詳しい方がいたので、上記のような結論になったのだと思います。
ちなみにこの時点で@papandaさんは完全にただの酔っ払いでした。なにやってんだかw。
@TAKAKING22さんのお師匠様。ディスカッションの様子を聞いていて「良いことをやってるのに、伝わらないのがツライなぁ」という感想を一言。
懇親会
懇親会は東京オペラシティ1FのHUBで行われました。エライ盛り上がってたなぁ。
DevLoveというよりはスクラム道みたいな勉強会だった、という話が話題に上がりました。確かにそうかもしれません、まぁオレはスクラム道を一回しか見たことないけどw。必ずダイアログを入れるのがDevLoveの面白いところでしたけど、そうは言ってもこれまでプレゼン:ダイアログ=8:2くらいだったのが、4:6くらいに一気に増えた感はあります。(ニコ生で見た「きのこ本対談」もダイアログが長かったけど) ディスカッションが中心だと勉強会初心者や口下手なエンジニアだとハードルが高いでしょうが、今回は「全員スクラムマスター」、全員がファシリテーションする気満々の人たちだったので、非常に上手く回ったんじゃないかと思います。
今回のイベントの発起人である@matsukazさんから伺ったんですが、「横から見ていて非常に面白かった」とのこと。それぞれが勝手にディスカッションを始めて勝手に盛り上がるし、テーマも各テーブルでバラバラ、ディスカッションの進め方もテーブルごとに異なっていたんだそうです。同じものを見て、同じ内容を聞いて、同じ「スクラムマスター」というテーマで集まったにも関わらず、どのテーブルもディスカッションの内容が被らない。なかなか予想し難い事象なんじゃないでしょうか。それだけに得難い経験になったと思います。
じゃあ、これが「全員プロダクトオーナー」だったらできたのか?という思考実験もあったんですが、おそらくPOの中には、自分がPOというロールだと分かってないままにやってる人も多いんじゃないか、だとしたらそもそもイベントに人が集まらない可能性があるね、という話をされていました。ユーザー部門で担当としてアサインされた人がPOを務めることもあるでしょうし、そういう人がITの勉強会に出てくることはないでしょうね。もっとITの重要性やアジャイルが啓蒙されれば、もしかしたらそういう将来もあるのかもしれません。
あと、前述のアジャイルを取り入れ始めた某大手SIerの話も上がりました。「上手い・早い・安い」は間違ってるよな、というのは完全に笑い話扱いで、「でもそうは言ってもこれがきっかけで『アジャイル』が一気に認知され始めた気がする」「まだバズワードの域だけど、知らないより知ってる方が良い」みたいな意見もちらほら。彼の会社のアジャイルもまだ始まったばかりですから、もう少しして動きが外から見えるようになれば、また新しい議論のタネになっていくのかもしれませんね。
総括
スクラムマスターじゃないけど最後まで乗り切ったぜヒャッハー!
…まぁ冗談はともかく、今回オレ自身は「分からない事を聞く」ことに徹底したんですが、そのおかげで多くの事を学ぶことが出来ました。…一方で、議論の足手まといになってないか、はちょっと心配ではあるんですが。XPとスクラムの関係性を間違えて覚えてたので、詳しい方に教えて貰えたのも大きかったです。(少々恥はかきましたがw)
最近はディスカッションメインの勉強会参加が多いので、さすがにこの形式にも慣れてきました。自分の理解度に応じてディスカッションへの参加の仕方はそれぞれ異なるんですが、じゃあ黙ってる・他者の話を一方的に聞くだと何の実りにもならないし、知識が無いなら無いなりに、何らかの形でディスカッションの輪に交ざれることもだんだんわかってきました。なので、あまり怖がらないで多くの方にこういう勉強会に積極的に参加して欲しいですね。
そうは言ってもベースとなる知識が最低限必要なのも事実で、そういう意味では「アジャイルサムライは全部読んできてね」「リーン・スタートアップは完読してあるよね」と応募の段階で分かり易い単位で基準を設けて貰うのは、参加する側としても分かり易くていいんじゃないかと思いました。