OSTで悩み事を持ち込まれた時にまとめ役の立場で気をつけていること
はじめに
この記事は「ファシリテーター Advent Calendar 2019 - Adventar」の4日目になります。
突然ですが、OST(オープン・スペース・テクノロジー)をご存知でしょうか? OSTに関する説明はWikipediaに任せますが、オレがちょいちょい顔を出す「アジャイル・ディスカッション!!」というアジャイル開発に関わるお悩みなんでも相談室的なコミュニティでは、このOSTで現場の悩みを持ち込んでもらい、みんなで解決する、という取り組みをしています。OSTではテーマを出した人がその話題の中心となり対話を回していくことになりますが、悩み事があってその相談のためにテーマ立てをしているので、往往にして対話の取りまとめよりは問題自体に考えることに重きを置くことが多く、そういった場合にオレのような第三者がファシリテーターっぽい立ち位置でヒアリングしたり対話を取りまとめたりすることがままあります。
この記事では、そんなOSTでファシリテーターっぽい立ち位置に立った時に、コツというかオレが気をつけていることを簡単に書いてみたいと思います。
agile-discussion.doorkeeper.jp
ひたすら穴・行間を埋める
問題を抱えている人は、当人が気にしていること・気づいていることから話を始めることが多いのですが、問題の原因がどこに埋まっているかは案外当人でも分からないものです。当然事情を知らない対話参加者はもっと分からないので、まずは冷静に全貌が見えるようにする必要があります。とにかく問題を抱えてる人にひたすら状況を聞き、全貌が見えるようにしていきます。聞き出した内容は全て書き出し、参加者から見て取れるようにします。
対話で出てきた情報のどこに穴があるかを察するのは、ある程度聞き役側に指標になるものが必要です。一般的なプロジェクト開発のスタイルだったり、5W2Hだったり、TOCのCLRだったり、なんでもいいんですが、「その人が話した内容は、状況の全貌を説明するに足りているか」を判断できるものがないと、どこに穴があるかは判断がつきづらいと思います。作業過程としては、出てきた情報を俯瞰して、なんとなく欠けている・抜けている、という気持ち悪さで察知して、そこを聞き出して埋めていくイメージですかね。この辺はちょっと感覚的なものになってしまうので、イメージが伝わりづらかったら申し訳ないです。
発想の連鎖を狙う・情報のトリアージを行う
ある程度状況を説明できるだけの情報が出揃ったら、そこから問題の解決方法を見出していきます。オレの経験上、情報さえ出揃ってしまえば9割がた問題の解決方法が既に見えていることが多いです。
もし情報が出揃ってもまだ解決方法が見えていない場合、ここからがOSTの本領発揮です。出揃った情報ひとつひとつを切り口にして解決策を出していきます。ひとつひとつやっていったら時間が足りないことの方が多いので、ある程度優先順位づけはした方がいいですね、より問題のコアであろうものを先に扱った方が良いです。
ひとつ発言が出たら、OSTのような状況で複数人で話し合っていれば、自然にそこから次の発想が生まれるはずです。行き詰まってしまったら、既に出ているアイディアを、別の情報に付け替えて考えるようなことをやってもいいかもしれません。
パワーワードを作る
これは理想で絵空事に近いですが、もし可能であれば「そのディスカッションの内容を一言で言いあらわせるパワーワード」を作り出せるのが望ましいとオレは考えており、常に取り組んでいます。
ディスカッションの内容は、板書があれば写真で共有することもできますが、意外に写真まで撮った板書を見返すことってないよなぁってのがオレの実感でして。それよりは、その場にいた人たちがその一言を聞いただけで話の概要をうっすらとでも思い出せるような強力なキーワードが何かあれば、わざわざスマホを取り出して写真を見なくても知識として再利用できるんじゃないか、と考えています。
例えば、「七つの傷」といえば「北斗の拳」、「ドライブシュート」といえば「キャプテン翼」、「48の殺人技」といえば「キン肉マン」といったような。ここまで短い単語である必要はないのですが、それなりに思い出しやすく口に出しやすい程度の短さの文章になっていた方が都合がいいです。
ちなみに、オレ自身このパワーワードを作り出すことができたのは、数え切れないほどファシリテーターを務めていても、せいぜい片手で数えられる程度だと思います。パワーワードが出てくるのはほぼ運なので、できたらいいな、くらいに考えておいた方がいいです。
終わりに
他の方に参考になる内容だったかどうかは怪しいですが、とりあえずオレはこんなこと気にしながらファシリテーターやってますよ、という話でした。
参考にならないまんまだとあんまりなんで、最後に、その名もズバリ「dialogue(対話)」という曲を紹介して終わりたいと思います。歌詞がとっても良いのでぜひ聞いてみてください。
それではみなさん、良い対話を。
- アーティスト:KEI
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2013/02/20
- メディア: CD