ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

ピンチをチャンスに。不況だからこそ積極的な採用活動を。

先日も書きましたが、サブプライム問題を起因とした世界同時不況の影響は企業にとっては深刻な状態です。一方、その企業に入ろうとしている就職活動中の学生にも同じことが言えるようで、内定取り消しなどネガティブな紙面が連日ニュースを賑わせています。


内定取り消しから訴訟を起こし、企業から謝罪金を受け取る学生もいるようですが、個人的には賛同し難いですね。オレはしがない中間管理職に過ぎませんが、もし人事権があるなら「未来の可能性」しかない新入社員よりは、既に実績のある既存の社員や派遣(パートナー)さんを優先します。
「業績に対する事前説明が無かった」とほざいてるのなんて、もう寝言にしか聞こえませんね。だって自分が働こうとしている会社でしょう? ちょっと大袈裟ですが、就職は結婚に例えることが出来ると思います。相手の健康状態を知らないで結婚するのがどれだけリスクか、考えたら分かりそうなモンでしょう。この場合、結婚直前に相手から「やっぱり私の体が危ないから結婚は辞めよう」と言われたのが、今回の内定取り消し騒動だと思っています。だったら、結婚直後に未亡人になるところを回避できたのだから、内定を取り消した企業にお礼こそ言いこそすれ、ましてや訴えるなんて開いた口が塞がりません。正直身の程を知って欲しい。


こんなことを書くと当事者の皆さんからは怒られるかもしれませんが、私も「失われた十年」のど真ん中、就職氷河期に就職活動を行った経験があるので、少なくとも他の世代の人よりは発言する権利があると思っています。




とまぁ学生に辛らつな発言をしましたが、企業側から見た時に、特にオレの所属するような中小企業にとっては実は厳しいだけじゃないのかなぁ、と思ったのが以下の記事です。

 一方、学生にとっては深刻だ。奈良市同志社女子大学3年、加藤綾子さん(22)は「採用が少なくなっており楽観視できない。少しでも多くの社を受けるしかない」。証券会社に内定していた先輩が採用取り消しにあい、就職浪人すると聞いたという関西外語大3年の女子学生(21)は、「正直、どこでもいいから就職したい」と打ち明けた。
 また、大阪産業大3年の江島奈津子さん(21)は「親に『留年だけはやめて』といわれた。家計に余裕がないのもわかるし、絶対に内定を取らなければ」と話した。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090203/biz0902032341017-n1.htm


内定取り消しにあった人達というのは、つまり「一度は他の企業に実力を認められた優秀な人材」、と言えるんじゃないかと思います。それが今回の不況で企業も泣く泣く諦めざるをえなかった人材です。

この「泣く泣く諦めざるをえなかった」というのは全くの憶測ではありません。オレの所属会社でも新卒採用を過去に一回だけ行ったことがあるんですが、その為の広告費やらなにやらで、1千万くらいの費用がかかったそうなんです。その時に採用できたのはほんの数人でした。一人当たりにかかった費用は…。
そこまでしてやっと仮確保(内定)まで辿り着けたのに、企業体力が無い為に断念せざるをえなかった。この時の費用は丸損です。丸損なんですけれど、入社後にお給料を払い続けられるかどうか怪しい以上、損切り(言葉、悪っ!!)せざるをえなかったんじゃないかと思います。


逆に言えば、内定取り消しを受けた学生は、その費用に見合うだけの価値があると一度は見られたことがある人材です。いわばお墨付き。たぶんほとんどは大企業から内定貰ってとっとと就職先を決めてしまっていたような学生で、中小の企業では今までは望んでもなかなか手に入らない人材だったんじゃないでしょうか。


そんな人材が「正直、どこでもいいから就職したい」なんてことを言ってくれているんです。こういう学生を狙い撃ちできたら、結構優秀な人材確保が出来るのでは?


まぁ実力はともかく、精神面がどうかという問題は残ると思います。「どこでもいい」と言って入ってきた人材がどこまで頑張ってくれるか未知数、というか、好景気になったらすぐに辞めちゃうかもしんないですし。あと、我々IT系企業の場合、適正がモノを言うところがあります。他の会社で優秀だからこちらでも優秀とは限らないでしょう。
オレの所属会社の場合、面談の時点で常務が相当しっかり入社希望者を脅すらしいのである程度防げるでしょう。…というと誤解が生じるかもしれませんが、もちろん恐喝とかそういった意味ではないです。業界のマイナス面(学習量の多さ、就業時間、勤務状況、etc)も伝えて「本当にこの会社でやっていけるの?」ということを散々確認するというステップがあるそうです。こんな風に、なんらかの形で精神面の弱い人をふるいにかけることが出来れば、この大不況のメリットをしっかりと享受できるんじゃないか、とオレの素人考えでは思っていたりもします。
もちろん、その人事採用活動に、その後の新人教育や雇用維持に耐えられるだけの企業体力があることが前提条件なんですけれどね。


オレはRIAを担当するグループの長なんですが、既存メンバーはみんな技術者然とした人物ばかりでデザインセンスが底辺這ってます。だから単にプログラムや設計に優れたIT系特有の人材の他にも、色彩感覚とか絵心のある人がいてくれると助かったりするんですよ。情報デザインを勉強してきた美大生とか採れて、プログラムも勉強してくれたらいいなぁとか本気で思うんですよね、やっぱり。セカンドファクトリーさんとかクラスメソッドさんみたいな感じの体制が作れるのが望ましい。

オレの不手際もあってRIAの事業は社内でもまだ軌道に乗っていないので、普通であれば図々しくも「そんな人材を採ってください」とは流石に上に言えないんですが、火事場泥棒的にそんな人材が来てくれないかなぁ、などという儚い想いもなんとなく持ってみたりする今日この頃だったりします。