僕がボカロ関連楽曲しか聴かなくなった理由
はじめに
商業音楽がボカロ音楽に勝てない理由 - はてなポイント３万を使い切るまで死なない日記
Webの妖精*1、kawangoさん*2のちょっと面白いブログエントリを拝見しましたが、それに関連してオレも思うところがあるので、ダラダラと書いてみます。
実はオレもボカロ関連楽曲しか聞かなくなった1人です。正確には人間のメジャーアーティストもそれなりに聞きますが、最近は圧倒的にボカロ関連楽曲の比重が多くなったという表現が正しいでしょうか。でも初音ミクやVOCALOIDに愛着があるかと言えば、まぁそれ程でも無い、と言うのが個人的な感覚。
じゃあ何でオレがボカロ関連楽曲ばっかり聞くようになったのか、ちょっと分析してみました。
嗜好
オレは音楽を聞くのは好きですが、割と好みのジャンルはいいかげんです。ベートーベンからマリリン・マンソン、宇多田ヒカル、ACIDMAN、BOOM BOOM SATELLITESと幅広く聴きますし、モーニング娘。*3やPerfumeでも曲が気に入ればちゃんとお金を出して聴いています。あと、サッカー関連で話題になった「FUNKY MONKEY BABYS」とか「Superfly」とかは、それをきっかけに他の曲も聴いたりしています。
ただ逆に言えば、どんなに有名だったり話題だったとしても、自分で一回聴いて気に入らなければお金を支払うつもりは無い。損した気分の割に対価を払った以上気軽に捨てられなくて、結果音楽プレイヤーに入りっぱなしになり聴き続けて苦痛を感じる、そういうのはできれば回避したいのです。
VOCALOID以前
実家にいた頃(十数年前)は平安堂*4で売上ランキングの上位から順に全部借りてきて家族分カセットテープやMDを作るのがオレの役割でした。お金は両親が出してくれてたのでさほど気にしなくて良かったのですが、それでもたまに気に入らない曲が混ざるのが凄く嫌だった。回避策としてCDTVを毎週必ず観てランキングに入る曲をチェックし、レンタルする曲をフィルタリングしていました。上京してからも就職するまではテレビ観てる暇もありましたし、友人から勧められたものを聴いたりも出来ました。フリーター時代も職場に音楽が四六時中かかってたので、音楽情報には不足しませんでした。
現在の時間の余裕
結構忙しいです。週末は社の勉強会か味スタかという感じだし、平日も残業している事が多い。基本的にテレビは深夜しかみません。お酒飲んで帰ってきたらテレビだってつけないで寝ます。おかげで今話題のAKB48は誰一人顔を認識できません。マツコデラックスだって長友が被害(?)に遭わなきゃ存在さえ知らなかったし。家でも調べ物とかは始終してるから、PCだけは常に立ち上がっています。
現状まとめ
簡単に言うと、単に時間がないせいでメジャーシーンの音楽情報に昔ほどリーチ出来なくなってしまっていたんです。「年を取って自分に合う曲が少なくなった、趣味が狭くなった」とかではなく。土曜も飲んで帰る事が多いからCDTVもJAPAN COUNT DOWNも見なくなっちゃいました。ネットを探せば売れてる曲名は調べる事が出来ますが、視聴までできることは殆ど無いですよね。iTunes Music Storeは一応視聴出来ますけど、ほんの数十秒分しか聞けませんしサビを外してあるので良いのかどうかイマイチ判断出来ない。
では何故VOCALOID関連楽曲は聴けるのか？
聴ける聴きたい、というよりは、楽曲の視聴が出来る仕組みがあったから、というほかありません。
RSSの恩恵
オレの現在の主な情報源はRSSです。こないだ「RSSは死んだ」「いや死なない」みたいな議論がありましたが、それは一旦置いといて。
オレは、はてなの「注目の動画」というフィードを購読しています。はてなブックマークで5つ以上ブクマされたYouTubeもしくはニコ動の動画がこのRSSで流れてきますが、普段殆どの時間をPCの前で過ごす為、これで流れてきた音楽系動画を一切選り好みしないで端から聞いていると作業用BGMには具合がちょうど良いんですね。そして、流れてくる音楽系動画のその大半が、ボカロ関連楽曲なんです。いくつか聴いてみて、その中で気に入った曲があれば、ニコ動であれば大抵作曲者がマイリストを作成してくれているので、そのマイリストのRSSを受け取るようにすれば良い。そうすれば気に入る可能性の高い楽曲がやってくる可能性がグッと高くなります。
メジャーアーティストの楽曲動画も無くはないですが、BUMP OF CHICKENなど圧倒的少数派です。どうしてもボカロ楽曲を聴く機会が多くなるんですね。
ランキング動画の恩恵
ボカロ楽曲は有志が週一のペースで週刊ランキングを作成してニコ動に上げてくれています。これならテレビの音楽番組と違って特定の時間に縛られず、好きなタイミングでチェックする事が出来ます。テレビのランキング番組だってビデオ録画すりゃあいい、と思うかもしれませんが、いちいち録画するのは面倒ですし、見る為にテレビや起動の遅いHDDレコーダーを起動するのも億劫。オレの場合PCは常時立ち上がっているので起動の手間は要りません。あとまぁ我が家特有の事情で、HDDレコーダーは妹がアニメで占有してて録画できるタイミングを見計らうのが難しい、というのもありますが。
ロボットボイスを超えたメリット
確かにVOCALOIDってどんなに頑張ってもロボットチックなところは払拭できないしそれが嫌いと言う人も多いですが、「ながら」で聴いてれば案外聴けるものだし、聞き慣れれば普段から聴いててもさほど気にならなくなります。
逆の効果もあって、例えば人間の歌手の場合、まずその人の声質というか歌い方や声が自分に合うか合わないか、みたいなところが少なからずあると思いますが、その点VOCALOIDの場合、聴く曲はポップだろうがロックだろうがボサノバだろうが般若心経だろうが全部ミクやその他聞き慣れたVOCALOIDの声です。調教*5の善し悪しはありますが、とりあえず歌手の評価は置いておいて、曲や詞、楽曲そのものを評価する事が出来ます。もしその曲が気に入って普段も聴きたいと思ったら人間が歌ってくれるのを待てば良い。
「歌ってみた」の恩恵
そのVOCALOID楽曲が非常に良いものだったとして「ながら」じゃ無い時、例えば電車の中とか移動の最中で音楽聴く以外のことが出来ない場合でも聴けるか、と言えばまたそれは別の話。これは人によりけりでしょうが、「ながら」で聴いてるときと違ってちゃんと聴く時にはVOCALOIDのロボット臭さはやっぱり聞き慣れたオレでも受け入れづらいです。そんなときはひたすらその曲の「歌ってみた」動画が出てくるのを待ちます。自身のマイリストにボカロ楽曲を放り込んで数ヶ月放置し、暇な時にタグ検索して気に入った「歌ってみた」を探し、あとはMP3に変換して音楽プレイヤーに入れて常時聴く事が出来るようになる訳です。プロ顔負けの歌い手さんも多いですし、実際にプロになっちゃった人もいるので、メジャーの楽曲とそう変わらないレベルの楽曲を手に入れる事も難しく無いです。それが分かっているからでしょうが、最近ニコニコ動画運営も「歌ってみた」の人たちをフューチャーしてますし、実際人気が出ているその分析については、冒頭のkawangoさんのエントリをお読み頂ければより分かるかと思います。
単なる「ただ乗り」ではない
・・・と書くと、「なんだよ結局ただで曲手に入れたいだけじゃねえか！」と思われるかもしれませんが、それはちょっと違います。オレはVOCALOIDの作曲者なり歌い手なりがCDを発売すると、頻繁に聴く人のは極力買うようにしています。じゃあそのCDは頻繁に聴くのか、といえば、申し訳ないですがあんまり聴かないです。前にkoizukaさんもTwitterで呟いてましたが、曲を聴く為にというよりは、その人たちを応援する為に購入している側面が強いのです。ただで曲をネコババしてるような気持ち悪さを払拭したい思いもあります。このあたりは「対価をあえて支払う事で得る自己満足」みたいなものもあるんじゃないでしょうか。
VOCALOIDばっかり聴くようになったまとめ
早い話がネットだけで楽曲を十二分に評価できて、自分の納得いったものにだけ対価を支払う事が出来る、それに必要な情報が勝手に向こうから入ってくる。オレのように時間は無いけど何かしら良い曲を探したいと思っている人間にちょうど良い仕組みがあって、それによって一番供給されるのがボカロ関連楽曲だった、ただそれだけです。メジャー楽曲を毛嫌いしている訳ではなく、情報源からオレが離れてしまった為、自然と疎遠になってしまった、そんな感じです。
メジャー音楽業界にお願いしたい事
繰り返しになりますが、オレは「VOCALOID万歳！」「ミクーッ！俺だーッ！けっこ(ry」とかいう類いではないので、メジャー楽曲も出来る限り聴きたいと思っています。ただ申し訳ない事にオレが勝手に忙しくなってしまったので、そちらが用意している旧態依然とした情報発信だけではもうオレの時間を割く事もましてや財布を開く事も出来ないのです。とりあえず最低でも以下のことは行って頂きたい。
実は既にそういう仕組みがあって「なんだオメー知らねぇのかこんな○○○って方法があるのによこの情弱がッ！」というナイスな情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらぜひ教えて頂けると非常にHappyだったりします。宛先は@takigawa401もしくは本ブログのコメント欄までお願いします。
最後に
ついでなので、最近良く聴く初音ミク曲を紹介。良い曲だと思うしミクのままでも十分聴き易いと思うんですが、殿堂入りするほどの勢いが無いんですよねぇ。できれば歌い手さんに歌ってもらえるくらい人気になって欲しいなぁと思います。ちなみに、この曲はiTunes Music Storeで購入する事が可能です。宜しかったらそちらもどうぞ。
*1:って二つ名をどこかで見かけた気がします。
*2:気付いたらいつの間にかTwitterアカウント無くなってましたね。
*3:最後に聴いたのは「そうだ! We're ALIVE」な気もしますが・・・。
*4:長野県の大型書店。元善光寺支店はオレの青春の一部でした。
*5:VOCALOIDを人間の歌声に近付けるように調整する事。卑猥な意味ではない。
*6:余談ですが、このsupercellのPVは妹も制作に関わっていました。たった一日、しかもSONYのWebサイト限定で公開されていないので人の目に殆ど触れられず残念がってましたが、こうやって残ってみんなに見てもらえれば彼女もうかばれることでしょう、死んでないけど。
