ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

スマートフォンでソーシャルゲームを作る上でのいくつかのポイント


はじめに

 先週末にこんなエントリーを公開したんですが、まー全く反響がありませんでした。う〜ん、割とホットな話題かなぁと思っていたんですが、どうも時流を読み間違えましたかね。ともかくせっかく調査したので、その総まとめ的なものを書いてみたいと思います。


 その前に前提条件。現状、スマートフォンでプレイ可能な無料ソーシャルゲームは、目的に応じて主に2つに分類されます。

  1. 宣伝広告が目的なもの
  2. アイテム等の購入による別途課金が目当てなもの


 1 の場合、なんらかの宣伝プロモーションの為にゲームを開発し、無料配布します。そのアプリにソーシャル機能、例えばTwitterに得点を呟く、などの機能を持たせ、更に拡散を促し、製品サイトに誘導、最終的に対象製品を購入してもらうことを目的とします。例えば先日話題になった「マミのドキドキ ティロ・フィナーレ」はPSPゲーム「魔法少女まどか☆マギカ ポータブル」の、「ジョジョの奇妙な花闘」は花札ジョジョの奇妙な花闘*1」の宣伝を目的としていました。たまたまかもしれませんが、どちらのゲームもバンダイナムコが提供元ですね。ゲーム会社がよく使うプロモーション手法なのかもしれません。



 2 の場合が今回のテーマです。無料でゲームを始める事が出来、他のプレイヤーとのコミュニケーション機能を持つ、なによりアイテム等に課金する事でゲームを優位に進める事が出来るもので、提供元企業はこのアイテム課金により収益を上げる事を目的とします。


 この 2 のケースに当てはまるゲームを分析した結果から導き出された見解を、「スマートフォン」をプラットフォームとした場合について、以下にまとめてみます。おそらくソーシャルゲーム開発各社はとっくに把握していることばかりでしょうが、その他の方々に何かの参考になれば幸いです。



1.ネットワークに繋がらなくてもゲームが出来る事が重要


 前述のランキングですと米国の会社のアプリが1位2位を独占しました。これはゲーム性が優れているというのももちろんありますが、何より「ネットワークに繋がらなくてもゲームが出来る」という点が大きなウェイトを占めました。スマートフォンソーシャルゲームを遊ぶシチュエーションは、大体において「暇つぶし」です。ところがネットワークが繋がりにくくてゲームが始められないケースは往々にして起こり、起動もしくはボタンを押してから次の操作を待つまでの間に暇が潰れてしまった、という事が頻繁に起こりました。あまりに繋がらない、繋がりにくいゲームは、それだけでプレイを諦めてしまうものもあります。


 オレが各社のゲームをプレイして感じた印象ですが、フューチャーフォン用のゲームをスマートフォンに移植して遊ばせるのがGREEとモバゲー、PCゲームをスマートフォン用に移植するのがハンゲーだと思っています。前者はUIは貧弱で比較的電波の弱い環境でも動く、後者はリッチな画面を提供し非常に楽しいUIを提供する代わりに通信に時間がかかり、失敗するとゲームプロセス自体の起動からやり直さないと行けない。どちらも一回一回の操作にサーバ問合せが発生するのは一緒です。


 その点、米国提供のソーシャルゲームがサーバ問合せを必要としなくてもゲームの大半をプレイ出来たのは、そもそもiPhone用にきっちり開発してきている事。あと、これはお国柄というか、米国のモバイル通信環境の現状が現れているんじゃないかと思います。おそらく、米国は日本よりモバイル通信環境が整っておらず、電波が届くエリアが圧倒的に狭いんでしょう。だから「電波が届かないからゲームがプレイ出来ない」という事態があっちゃいけない、そもそもゲーム自体を続けてもらえないんだと思います。


 その点日本は日本全国どこでもそこそこ電波が繋がります*2し、フューチャーフォン主体であれば繋がること前提にアプリを作るのは当然です。


 ところが、スマートフォンの場合、電波が繋がらないところでもある程度の機能が要求されます。というか、スマートデバイスにおいてオフライン機能が求められるのはエンタープライズでは常識中の常識、その為にスマートデバイスを採用する企業が多い位です。当然ユーザーはスマートフォンアプリにはオフライン機能を要求します。電波に繋がらないとアプリが起動出来ないなんてあり得ない!!


 そういえばGREEDeNAも世界展開を目指して準備を進めていたと思いますが、日本よりモバイル通信環境が整った国なんてまず無いでしょう。であるならば、スマートフォン向けのソーシャルゲームアプリにオフライン機能は絶対必須です。もちろんソーシャル機能を用いる場合にはネットワーク無しにと言う訳には行かないので、ゲームの根幹の部分、例えば探検ドリランドなら洞窟を潜っていく部分、怪盗ロワイヤルだったらミッションをこなす部分はオフラインでプレイ出来るようにすべきです。


 同様にサーバレスポンスが速い事も求められます。ユーザーから見たら電波が弱いのかサーバレスポンスが悪いのかは正直分かりません。なにせ電波状況を確認出来るアイコンを隠してしまうゲームが多いので*3。サーバ増強は各社頭の痛い問題である事は十分理解しますが、これがしっかりしてるのとしてないのとで印象が雲泥の差ですので、頑張って頂きたいところです。



2.ゲーム自体はそれほど面白くなくても良い


 ランキング記事にも書きましたが、率直に言って、ゲーム自体が面白いものはひとつもありませんでした。まず、時間で行動ゲージが貯まるものが多いので、どうしてもゲームとしてやっててタルくなるんですね。ガンガン進められない。だからこそこの点も課金ポイントのひとつになっているんですが。あとは無料で配布している都合、ゲーム自体をそれほど練り込めないんでしょうね。スマートフォンがゲーム機として操作性が悪い、というのも理由の一つだと思います。


 ただ、じゃあそれがゲームをやらない理由になるか、というとそんな事は全然ありません。前述の通り、スマートフォンでゲームをやる目的は「暇つぶし」それもちょっとした待ち時間、電車の通勤時間など5分10分といった細切れの暇をつぶす為のゲームです。面白くない、つまらない、と感じる前にワンプレーが終了しちゃえばOKで、がっつりハマッて時間が足らなくなるようだと逆に困るんです。電車の中の様に揺れる環境でプレイすることも多いので、吊り革に掴まりながら片手でプレイ出来るのが理想ですし*4、逆に複雑でテクニカルな操作が面白いゲーム(ex:マリオ、ぷよぷよ)は敬遠されてしまいます。


 今回オレは12本のゲームを調査対象としましたが、ゲーム性がつまらない事がゲーム自体の評価を下げた事は殆どありませんでした。それよりはネットワークやUIの方がよっぽど気になった。ゲーム性は、ソーシャルゲームではそれほど重要ではないと思った方が良いかもしれません。話題になったりそれなりに売上を上げようと思ったら、そこそこ面白くある必要はあるでしょう。



3.ソーシャル機能はゲームの離脱を防ぐ


 ソーシャルゲームの一番の売りは「他のプレイヤーと繋がる」ことです。探検ドリランドであれば協力し合ってモンスターを倒す、怪盗ロワイヤルであれば戦ってお宝を奪い取る。この他プレイヤーと交流を始めると、義理もあってなかなかゲームを止められなくなります。向こうから毎日やってきて何らかのコミュニケーションをしていく訳で、サボると向こうに貸しが溜まってしまう。なので頻繁にログインしなくちゃ行けないし、ゲームに飽きても止めにくくなる。ログイン率を上げる意味でも、ゲーム自体の離脱率を下げる意味でも、ソーシャル機能は非常に有用です。如何にプレイヤー同士の繋がりを強くしていくかがソーシャルゲームメーカーとしては力を入れるポイントになるでしょう。


 オレはやった事無いのですが、「ブラウザ三国志」という、とてもIT業界で人気の高いPC向けソーシャルゲームがあります。これはまず独りでプレイするのがそもそも困難で、何人かずつで同盟を組んで大戦するのが常のようです。スマートフォン向けゲームよりもっと強力なソーシャル機能を持ち、プレイヤー同士の繋がりの強さがゲームの勝敗を大きく分けるとのこと。

 このゲームを会社の後輩がやっていた*5ので話を聞いてみたのですが、100人程度の同盟に加盟していて、やっぱり多少なりとも課金をしているとのこと。どのように課金を行うのか聞いてみたら、「相手軍勢に攻め込まれ自分が負けそうな時」という回答が返ってきました。どうも「自分が負けて相手に突破されると、同盟全体を危機に晒してしまう、だから課金してでも食い止めないと行けない」という強烈な仲間意識から課金をせざるを得ない状況に追い込まれていくんだそうな。…うわぁ。

 ブラウザ三国志と言えば、はてな界隈だと小野和俊さんとかドワンゴ川上量生さんとかが有名ですが、まぁ彼らはポジティブに合戦に勝つ為に相応額を投入しているからまぁ良いでしょう。そうでない、あまり課金せずに楽しみたい人たちでも、プレイヤー同士の繋がりをプレッシャーに変えて課金に促していく力がソーシャル機能には存在し、それを上手に実装する事でソーシャルゲームメーカーは現在話題になっている様な莫大な収益を上げているものと思われます。オレの後輩の場合「如何に課金しないで耐えるか」をゲームの一部として楽しんでいる様なので、それはそれで面白いのかもしれません。

 まぁブラウザ三国志の話は他の人から聞いた話なので、オレの主観を一方的に挟むことはあまり宜しくないかもしれません。もし近くに同ゲームをプレイしている人がいたら、話を聞いてみて下さい。たぶん我々非ソーシャルゲーマーが想像し得ない世界がそこにはあるはずです。



4.課金目的は前向きなものが良い


 オレが前述の12本をプレイしていて「課金しても良いかなぁ」と思えたのは「探検ドリランド」と「キャバとホスト」だけです。この2本だけが「課金した時に何が起こるか分からない」状態だったんです。


 「何を言っているんだお前は」と思われた方もいらっしゃると思うので、もうちょっと説明します。


 通常ソーシャルゲームでは「ゲームを優位に進めるため」に課金をします。その上でユーザーのコレクター精神を煽って、収集癖を加速させる仕組みを設けています。
 この時、「ゲームを優位に進める」ことを目的にした課金は、結果がどうなるかが想像がつきやすいんですね。自分は強くなる。相手は弱くなる。敵はバカスカ倒せるし、シナリオもガンガン進む。でもただそれだけ。ソーシャルゲームは終わりが無いのが常なので*6、これが永遠と続きます。ひたすら強いヤツが出続けてきて、こっちも金突っ込んでドンドン強くなる。永遠とこれを繰り返し続けます。…楽しいか、これ?

 今回課金したいという欲求に駆られなかったゲームには、課金した後にやってくる強さの無限ループしか待ってないのが見えてしまうゲームもあり、それらは「課金してまでゲームをやりたい」という気分にはなれなかったのです。この状態だと負けたり死んだりした時も「確かに悔しいけど、課金して強くなったって○○○な展開しか待ってないしなぁ。」となんとなくでも見えると正直課金する気持ちどころかゲーム自体のやる気がそがれちゃう訳です。


 一方で「探検ドリランド」と「キャバとホスト」については、「課金したときの何かを見てみたい」と言う気持ちにさせるだけのものがありました。

 「探検ドリランド」はコインを買ってガチャでハンターカードを引く、というソーシャルゲームの王道タイプの課金方式です。強いカードが出れば当然ゲームは有利に進めることができます。ですが一方で「カードを集める事自体が楽しい」んですよね。これは前述の「コレクター精神を煽る」というものに該当します。個人的にはビックリマン世代どストライクなので、必死こいて母にチョコねだったり大量にシール無くして泣く泣く長きにわたる収集に終止符を打ったことなど様々な幼少の思い出が蘇ってきました。あれは青春と呼ぶには幼すぎたなぁ…。ちなみにドリランドに課金しなかったのも、この幼少期のビックリマンシールを大量紛失したときのトラウマがフラッシュバックされてカード収集の奈落に落ちるのをすんでで踏みとどまった次第です。

 「キャバとホスト」は箱庭ゲームなので、課金でアイテム買うだけじゃなくて自分で店舗をレイアウトしなくちゃいけません。なので「単純にアイテム買ったからといって良いものができるとは限らない」という、これこそ「最終系が見えないゲーム」です。センスの良いプレイヤーの店に行くと、とにかくきらびやかで様々な趣向が凝らしてあって見た目にも楽しい。単にアイテム買ってきて並べただけだとこうはならないよな、というのがパッと見で分かります。対して自分の店舗はそもそもセンス以前にまだアイテム集めの最中なのでそれどころではなくみすぼらしさもMAX。少なくとも自分のセンス云々のところまでは行きたいなぁ、と思ってしまう訳ですよ。前エントリーを書いた直後にこのゲームはアップデートし、他プレイヤーから貰える友情コインからのガチャと課金ガチャが追加され、ソーシャル機能と課金機能の両面が強化されました。



5.ゲーム慣れしてない人をターゲットにした方が良い


 前にGIGAZINEの記事で、ソーシャルゲームメーカーの人が「課金すれば絶対に面白い」と言っていたのを読んだこともあって、今回の調査では本気で課金するつもりでいたのですが、残念ながらそこにまで至る事はありませんでした。課金しなかった最大の理由、それは「自分ルールを設けてそれ自体もゲームの一部として遊んでしまった」からです。


 例えば、ですが、オレはONE PIECEやブリーチをコミックスで買っている*7んですが、これらを普通の本屋で買う事はありません。Book Offなどの古書店で極力買っています。別に金が惜しいからではなく「その方がゲーム性があって面白いから」です。
 新品で買うのは、絶版書籍でも無い限り現代日本ではさほど難しくありません。その気になれば全巻まとめてネットで注文して家まで配達してもらうことも可能です。でもそんなの全然面白くない。ONE PIECEもブリーチもジャンプで一回読んでる訳だし、急いで読む必要はどこにもありません。一方で古書店の場合には目的の本が無い場合も結構多い。人気作品なら尚更です。そういうのを見つけて買うのが楽しいんですよね。金額も制約を設けて「250円なら買うけど300円なら買わない」というルールを設けてやると、300円で見つけたときの悔しさと200円で見つけたときの嬉しさがより倍増されて非常に楽しいです。
 出版業界の方には、全然貢献しない購入方法で大変申し訳ない。本は技術本とかビジネス本とかは新品で買ってるので、それで勘弁して下さい。あと、のだめカンタービレは我慢出来ずに新品で買いました。あの時のゲームに負けた悔しさと漫画の面白さの合まった感情は他人にはどうお伝えしてよいか分からないですね。


 例えが長くなりましたが、どうも今回の調査でも「どれだけ課金せずにプレイ出来るか」というルールをいつのまにか自然に設けてしまったらしく、それが制約となってなかなか課金に踏み出せずにいました。たぶんですけど、こういう自分ルールを作る人はコアゲーマーには結構多いんじゃないかと思います。「幼女リディアでメテオを覚える」「はぐれメタルだけでパーティを編成する」「太鼓の達人の2人プレイを独りでやる」「ナイフだけでバイオハザードを全面クリアする」自分だけの制約を設けてより難しいモードを勝手に作り上げてしまうのは、大体通常のプレイで飽き足らないゲームマニアには、取り立てて珍しくない事です。かつてオレもゲームマニアでしたので、その習慣が時折ひょっこり顔を出す事があります。今回の場合には課金がそのターゲットになったのでしょう。おそらく、オレ同様にかつてゲームマニアだった、もしくは現在もゲームマニアであるという人間には、その習性が邪魔してソーシャルゲームの課金に踏み出すことは少ないかもしれません。もっとも、前出の小野和俊さんや川上量生さんらのように、課金を制約とせずに更に上のレイヤーで戦うような超ド級のゲーム廃人の場合はまた別なんでしょうが。



 なんにせよ、ソーシャルゲームで想定ターゲットとするなら、ゲーム慣れしていないライトゲーマーの方が課金してくれる確率が高いと思われます。あとAppleのゲームセンター連携しているとiTunesから精算できるので、ユーザー的には課金に対するハードルが低くなるはずです。尤も、ソーシャルゲームメーカーにとっては馬鹿高い手数料を取られるので極力避けたいんでしょうな。スマートフォンであっても、フューチャーフォンのように通信料金と一緒に課金出来るのが理想なのかもしれません。



ぼくのかんがえるさいきょうのそーしゃるげーむ


 さて、ここまで長々とソーシャルゲーム、とりわけスマートフォンでプレイするタイプのゲームの特徴を並べてみましたが、そこから「儲かる/人気の出るソーシャルゲームになりえるであろうゲーム」をオレなり考えてみました。


「魂=社会的信用」を売るゲーム


 ソーシャルゲームは月に何万も課金するヘビーユーザーがおり、そのせいで運営会社が社会的信用を落としている傾向があります。当人も満足してるし会社も儲かってるんだから放っておきゃあいいのに、と個人的には思わなくもないですが、まぁいつの時代も妬み嫉みはつきものです。だったら「金の代わりに何かを売り渡す事で、課金同等の効果が得られれば、批判が回避出来るのではないか?」と考えました。


 オレはこれを「魂を売り渡す」と表現しています。ソーシャルゲームにおいてリアルマネーの代わりに魂を売り渡すとはどういうことか? 簡単です。「ソーシャルメディアにおいてプレーヤーの信頼を著しく失墜させる様な内容の投稿を勝手に行ってしまう」のです。
 最近頻繁に、飲酒しただの窃盗しただの自慢げにソーシャルメディアで発言して炎上→アカウント削除するケースが目立ちますが、それに匹敵する発言を、TwitterFacebookmixi、なんでもいいんですが、勝手にプレイヤーのアカウントを乗っ取って投稿しちゃうんです。当然ハッシュタグのような救済措置も一切なし。プレイヤーはその対価として、アイテム等をゲーム内で得る事が出来ます。得られる対価はその投稿先メディアの投稿数やフォロワー数に応じて増減します。これなら捨てアカウントを使おうとしても無効化することが可能でしょう。もちろん何度も繰り返し行うことが出来ますが、その都度得られる対価は下がっていきます。一度汚れた魂が高く買い取ってもらえると思うなよ!


 個人的には社会的信用とお金では天秤にかけることは出来ないと思います。が、よくソーシャルの実態を知らずに批判している様な輩には「課金しなくても済む方法があるよ」と言い逃れにはなるんじゃないかと勝手に思ってます。この要素を盛り込んでブラックな内容のゲーム作ったら結構面白いと思うんだけどなぁ、と一時期真剣に考えていましたが、全く何も思いつきませんでした。ゲーム考えるのって難しいっすね。



Linda3


 「リンダキューブ」と読みます。知ってる人は知ってるが、知らない人はたぶん全然知らない旧世代の名作。元々はPCエンジンのゲームだったみたいですけど、オレがプレイしたのはそのリメイク版であるPS版「Linda3 Again」でした。このゲームは今からでももう一回やってみたいなぁと思わせる、とても面白いゲームでした。が、恐ろしい事に、Hなシーンが全くないのに18禁ゲーム!なんです。なんで18禁かはたぶん下の動画見てもらえれば何となく理由が分かると思います。


Linda3 Again CM 30s - YouTube


 このLinda3、シナリオが3本ある*8んですが、共通する設定は「8年後に惑星に隕石が追加してくるので、それまでに主人公(ケン)とヒロイン(リンダ)は惑星中の動物をつがいで集めて箱舟に乗せて脱出すること」というもの。8年経つと収集状況の如何に関係無く自動的にゲーム終了です。モンスターは捕獲すると加工して武器や防具にすることも可能。プレイヤーがモンスターに対して強過ぎると倒した瞬間砕け散って何も回収出来ないという仕様もあります。


 例えば、ですけど、

  • 8年毎をひとつのシーズンと設定
  • モンスターやアイテムを集めさせてその数をランキング形式で競わせる
  • プレイヤー同士はモンスターやアイテムの交換が可能
  • 特殊イベント等を用意しサイコなシナリオを用意
  • 1シーズンが終わるとリセットされ(記録は残る)、新シーズンではモンスターやアイテム、シナリオが一新される

なんていう風にすると面白いんじゃないかなぁと。フィールドをうろつき回るのはソーシャルゲームの遊び方としてはダルいので、目的地だけ設定してボタン押していくだけで進む様にすれば良いんじゃないかと思います。


 シナリオがサイコスリラーなソーシャルゲームって、オレの知る限り今のところ無いようですし、意外に受けるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。



グリードアイランド


 冨樫義博氏の超人気作品「HUNTER×HUNTER」の中に出てくる幻のゲーム「グリードアイランド(以下、G・I)」です。もしこのゲームを実際にプレイした事があると言い出した人がいたら本気でビックリしますね。最近真面目に連載してくれているので嬉しい限りですが、今はアルカ編なので、G・I編を読みたい方はコミックスの14巻くらいからお買い求め下さい。


 本編「HUNTER×HUNTER」のあらすじはここでは省きゲームの説明だけすると、とある孤島にちらばるミッションを解いて100枚の指定ポケットカードを入手する事がゲームの目的。ミッションは、呪文カード30枚をコンプリートする*9、カードを全部破棄しないと行けない*10、仲間が13人以上いる状態で呪文カードでとある都市を訪れないとヒントさえ出てこない*11などなど、どれも趣向が凝らされています。元々のG・Iの設定を活かしつつ、ソーシャルゲーム向けに要素を足していけば、すぐさま活用出来る形になるんじゃないでしょうか。

  • 指定ポケットカード100種類をコンプリートする
  • 100種類コンプ→EDの度に全てリセット、指定カードとミッションを刷新して新たにゲームが始まる*12
  • カードをアイテム化(現物化)するとカードに戻せない*13
  • ゲーム中にあるものは何でもカード化できる*14
  • モンスターも倒せばカード化することが可能、倒しただけだと経験値にならない、強さに差があり過ぎるとカードにならず砕け散る*15
  • HUNTER×HUNTER」の最大の魅力のひとつである「念能力」もカードとして扱う

 最初は、我ながらよく思いついたよなぁ、とか自画自賛してたんですが、こうやって列挙するとどうもおかしいんですよ。話が出来過ぎてる。まるで「ソーシャルゲームに向いてるのを考えてたらG・Iがたまたまちょうど良かった」んじゃなくて、「最初から将来そういうゲームが人気になる事を見越してG・Iを描いた」んじゃないか、と。でもG・Iの設定が最初にジャンプで登場したのは2002年、なんと今から10年も前です。そんな事あり得るんだろうか…。


 おそらく、ですが、冨樫義博氏は、現在のソーシャルゲームの活況をある程度見越していたんじゃないでしょうか。彼自身が相当のゲームマニアらしいし、洞察が優れていることは作品を通してありありと分かります。当時既に遊戯王などカードバトル系の漫画や、ポケモンの様にコレクションを目的としたゲームはありましたから、彼程の作家であればゲームの進化を推測するのもさほど難しくないのかもしれません。もっとも冨樫氏自身は、10年後ではなくて当時から2〜3年後に流行るつもりで「HUNTER×HUNTER」内で描いたんじゃないかと思われます。ちょっと時代の先を行き過ぎちゃいましたね。
 まぁ全ては憶測ですので、当人の言質が取れないことにはなんとも分かりかねますが、当ブログでは「冨樫義博は現在のソーシャルゲームの流行を見越していた」という無理矢理な結論にしちゃいたいと思います。





まとめ

冨樫義博マジすげえ!!!!!!













 …ちょっと主旨がずれちゃったので方向修正。以下のようなポイントを念頭においてスマートフォン向けにソーシャルゲームを開発する事が大事だと思われます。

  1. ゲームのメイン部分はネットワーク接続無しでプレイ出来る様にする
  2. ゲーム自体はそこそこ面白い程度で良い
  3. ゲームの離脱を抑止する事を目的にソーシャル機能を実装する
  4. 課金目的はコレクター精神や芸術的センスを競わせる様な要素に用いる
  5. ゲーム慣れしてない人をターゲットにする

 以上、最終的に5つになりましたが、そんなに的外れじゃないんじゃないかと思っています。個人でソーシャルゲームをリリースする方はなかなかいないと思うので、上記がどこまで参考になるか分かりませんが、何かのお役に立てたら幸いです。
 以下にGIGAZINEのCEDEC2011の講演全文書き起こし記事をリンクしておくので、そちらも読んで見て下さい。


これが5年間の技術的失敗と成功の歴史、GREEの成功を支えた技術者たちの闘いが今明かされる - GIGAZINE
「ngCoreはイケてる」「武器より防具が売れる」、「忍者ロワイヤル」を企画・開発双方の視点から語る - GIGAZINE
何万回も遊べる要素が不可欠、「基本無料時代」に稼ぐゲームの作り方 - GIGAZINE
「個人のセンスよりも数千万人のデータの方を信じる」、これがGREEの作り方 - GIGAZINE
オンラインゲームを「オカンでも説明無しで楽しめる」ように作るためにすべきこと - GIGAZINE


*1:受注生産のため、現在は販売を終了しているようです。

*2:ドコモであれば、の話。auは使った事無いので知りません。ソフトバンクは言うまでもなくウンコ以下です。

*3:正直これも大きなストレスポイントでした。電波状況、時刻、電池残量は絶対に隠さないで欲しい!

*4:だからこそスマートフォンを横向きに使わせるゲームはそれだけでダメ!

*5:彼はなんと「メガネケエス」ことau発のAndroid携帯電話「IS01」にLAN線繋いでやってました。ワロタw。

*6:ドリームプロデューサーには終わりがありましたが。あれにはマジでビビった。

*7:ブリーチは母が読むので買っています。オレの場合、「自分は読まないけど母が読むから仕方なく買う」という本や漫画がいくつかあります。

*8:実際には4つ目のシナリオDがあるそうで、これが圧倒的に面白いそうです。…オレやったっけなぁ?覚えてねーや。

*9:大天使の息吹

*10:奇運アレキサンドライト

*11:一坪の海岸線

*12:プレイヤー全体で100種類揃ったらリセットか、各プレイヤー毎に100種類コンプでリセットかは、そのゲームを作った人が考えればいいんじゃないかと。個人的には前者が原作準拠で好みです。

*13:原作のG・Iでも同様の設定です。

*14:そういや銀魂では長老や魔王を武器として所有できる、という話があったような。あれは酷かった。

*15:Linda3の設定をパクりました。