ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

2/18(日)、柏レイソルvsアルサッド & サントスFCvsFCバルセロナ、横浜国際総合競技場【クラブワールドカップ2011】



 本日も再び横浜国際総合競技場へ。FIFAクラブワールドカップ2011の3位決定戦と決勝戦を見てきました。そういえばいつの間にか日産スタジアムから名前が戻ってたみたいですね。知らんかった。

会場までの道



 盛り上がっていたのは駅前からでした。上の写真は新横浜駅前ですが、怪しい外人がバルサグッズを販売してました。うちの母が物欲しそうな顔してましたが、パチモンであることは明白なので全力で止めさせた次第。



 まだ正午だというのにすでに居酒屋の呼び込みが!もう飲めるようなことを言ってました。商魂逞しい。

入場後


 前回に引き続き、公式ニットマフラーのために開場前に現地入り。やっぱり場外のグッズショップでは売り切れてました。人気があるとか無いとか以前に関係者の見積の甘さが際立ちます。タカアンドトシ明石家さんまみたいな騒がしいだけの芸人を起用したり、メッシを怒らせたり、日テレにスポーツイベント主催させるとロクなことが起こらないですな。


 仕方なく13:30まで待って開場と共に入場。列の先頭に並んでただけあって観客席一番乗りでした。スタッフしかいない。



 まだ3時間もある…だと?




 観客席にはオレ独り。オンリーロンリーグローリー。




 開場後、場内のグッズショップに直行した母。なんとまだ公式ニットマフラーがまだ残っていたようで念願の品をゲット!大変ご満悦の様子です。ちなみに、この30分後に同じショップを覗いたらもう売り切れてたとのこと。良かったね母上。



 しっかし、ホントに誰もいないなぁ。バックスタンドは陽当たりがよくてとても暖かかったです。



 クラブワールドカップのロゴ。普段掲示されているはずのスポンサー広告はこの日は外されているようです。



 観客席と異なりコンコースは食事やグッズを求める人で賑わってました。まぁキックオフまでは時間あるしね。



 15時くらいになると陽が陰り、それに伴って気温も一気に下がりました。あっちゅう間に寒くなったぞ。



 防寒している間に両チーム選手登場。アップがはじまります。



 ビッグフラッグを持ち込んでいた柏サポーター。気合が違います。



 キックオフ直前。選手入場。



 一心同体の横断幕が柏レイソルの選手を鼓舞します。

柏レイソル(開催国王者) vs アルサッドSC(アジア王者)


 柏 0(PK:3x) - 0(PK:5) アルサッド



 この試合に勝った方が3位でしたが、残念ながら柏レイソルは浦和、G大阪に続くことができず、4位で世界頂点への挑戦を終えました。



 アルサッドは前の試合、FCバルセロナ相手に完全にドン引き&カウンター狙いの戦術を採用していたので本来の戦い方がわからず、試合前の評価がまったくできない状態でした。実際蓋を開けてみると、やや引き気味&ドリブル突破を中心としたカウンターサッカーであったことは確かなんですが、前の試合より明らかにポゼッションしていこうとする様子が見てとれます。とにかく攻撃陣のスピードが非常に早く、ドリブル突破で柏のDFを何度も突き破ってゴールに襲い掛かってきました。最後の最後で食い止めたのはやっぱり菅野、奇跡のようなファインセーブを何度も連発していました。彼は今すぐ代表に呼ばれていいんじゃないかな。



 一方の柏はサントス相手の時と同じように繋いで走るいつものスタイル。ポゼッションで圧倒します。フィニッシュ直前までは行けるんですけど、肝心のフィニッシュが枠にほとんど飛ばない。北嶋においては何点失ったことやら…。田中順也も惜しいシュートが何本かあったんですが、バーを叩いたりGKのファインセーブに遭ったりとなんとも運のない感じ。


 結局90分では決着がつかず、大会規定によりPK戦に突入します。




 どちらも厳しいコースに強いシュートを放ち、GKが対応できないゴールを連発します。唯一失敗したのが柏の林陵平。おそらく事前に研究されていたんでしょう、モンテレイ戦と全く同じコースに放ったシュートは相手GKに完全に読まれ、綺麗に止められてしまいました。その後に外す者もおらず、最後にアルサッドの5人目がシュートを決めて試合終了。


 「PKはサッカーではない」はオシム元代表監督のジェフ千葉監督自体の言葉ですが、全くその通りでPKの結果は気にしなくて良いと思います。柏が世界3位に届かなかった理由、それはフィニッシュの精度でした。それ以外は互角以上に戦えていた。それは今後の彼らの課題であり、Jリーグ全体の課題と言えるでしょう。
 ひとまずは柏レイソルの選手には「お疲れ様でした」と言いたいと思います。…とはいえ、水曜には天皇杯が待っているんですが。この3週間で6試合か…さすがに過密スケジュールもここまで度が過ぎると問題ですね。

入れ替え


 3位決定戦終了直後から決勝戦に向けて早速準備が始まります。消火用ホースで散水してましたけど、パススピードを上げるためですかね?



 なんと山本昌邦アテネ五輪代表監督(現サッカー解説者)が目の前の席に!我々が座っていたのは教会割り当ての席らしくて、市場には出回らず関係者にのみ販売するようです。とは言え、知り合いのツテとかで簡単に買えるようで、うちの母も職場の人のおかげでこの席を入手したとか。
 ちなみに山本さんはiPhone4ユーザーみたいですね、他にもガラケーも使ってたみたいですが。スタジアムみたいにソフトバンクのウンコ回線がロクに繋がらない(簡単にパンクする)場所に頻繁に行き来することを考えれば非常に賢い選択だと思います。




 会場はバルサファン(サポーターと呼ぶには“にわか”が多すぎる、マナーもすごく悪いし)が多かったんですが、応援自体はサントスの方が熱狂的でした。さすが南米、盛り上がり方が違う。

決勝戦セレモニー






 そうこういう間に決勝戦のセレモニーが始まります。う〜ん、気合入ってるなぁ。





 そして両チーム選手入場。

 実はここでオレのiPhoneの電池が切れてしまったので、あとは母の撮影したものを拝借しました。一眼レフいいなぁ、この画質の差を見て来季開幕までには購入することを決意しました。それまでにカメラ選んどかないと。




 バルサの試合前集合写真撮影。Tシャツはたぶん震災向けメッセージなのかな?




 試合直前のバルサ選手の様子。…母ちゃん、サントスの選手も撮ってやってよ。

サントスFC(南米王者) vs FCバルセロナ(欧州王者)


 サントスFC 0 - 4 FCバルセロナ



 正直ビックリしました、まさかここまでレベルが違うとは。サントスだって柏とやった時にはそのポテンシャルをあますところなく発揮しており、柏を圧倒していたはず。そのサントスがまさかの子ども扱い。自分の目が信じられませんでした。
 確かにバルサは前の試合でドン引きの相手に戦っていたことから、本来の実力を見ることなく試合を終えてしまっていました。それを差し引いても、互角の素晴らしい試合になるんじゃないかと思っていた。それがあまりにも一方的な「FCバルセロナ セクシーフットボールショウ」を披露し続けたのです。



 サントスとバルサでは戦い方がずいぶん異なりました。基本的に1vs1で守るサントス、複数人で1人のアタッカーを囲みボールを奪うバルサ。前線からはプレスをさほどかけずFWに余力を残そうとするサントス、前線からしっかりプレスをかけハーフライン以前まででほとんどボールを奪ってしまうバルサ。個人技で相手DFを突破しようとするサントス、高い個の技術力をベースにダイレクトパスとワンツーのリズムで相手を切り崩すバルサ


 おそらくですが、個々の技術力はほぼ互角だったはず。もしかしたらネイマールのような一部選手はバルサのそれを上回っていたかもしれません。しかし、個々の技術に頼らずモダンなサッカーでより高い組織力を見せたのはバルサでした。


 両ウィングがオフサイドラインギリギリで張り、中央をMFとFWの細かいパス回しで翻弄する。DFが釣られれば素早くサイドに配球して再び手薄になった中央に戻す。もしくは中央から絶妙のタイミングで飛び出してそのままゴールを脅かし、こぼれ球を狙ってサイドにいた選手が一斉にゴールに襲い掛かる。



 相手の注意を一方で引き付け、もう一方で攻撃の種を仕込む。まさに手品のようなサッカーであり、「ファンタジーサッカー」「セクシーフットボール」を名乗るに相応しいプレイでした。


 もっと拮抗した、ひりつくような勝負が見たい、サントスに反撃の狼煙を上げてほしい、そうは願いながらも、一方でこの官能的なサッカーをもっと見ていたい、たった90分で終わってしまうのが惜しい、そう思わずにはいられませんでした。



 サントスも何度が反撃を試みましたが、ゴールには届かず。終始ボールを支配され、バルサのセクシーフットボールショウをお膳立てすることしかできず敢え無く崩れ去りました。FWと中盤以降の選手がもっと近い位置でプレイできていたらもっと勝負ができていたかもしれない、どこかでそんな風にも思いましたが、それはあくまで憶測にしかすぎません。



 もちろん優勝はFCバルセロナ。王者にふさわしい、圧倒的な強さを見せつけた試合でした。



 表彰式の様子はバックスタンドからは残念ながらよく見えず。プジョルクラブワールドカップトロフィーを掲げるとピッチからは盛大な花火が何発も打ち上げられました。




総評


 今大会、印象に残ったのは実はFCバルセロナの主将:プジョルでした。バルサの選手はみな洗練された動きで鋭いパスワーク、可憐なドリブルテクニック、なによりモダンに組織された戦術で、非常にクレバーにスマートに躍動していました。その中でただ一人異彩を放っていたのがプジョル。熱い魂、魅せる漢気、強い闘争心、スポーツマンシップに溢れた気遣い。動きが大振りで一見無駄にも見える動作が目を釘付けにしました。擬音に表わすと…


 ドタドタドターーー!!!
 バタバタバターーー!!!
 うおおおおぉぉぉぉ!!!
 だいじょうぶかぁーー!!?
 おぅしおぅしナイスファイトじゃあ!
 なんでファウルなんじゃあああ!!


って感じでしょうかw。日本だと動きだけ見れば名古屋グランパス闘莉王のようでもありますが、闘理王みたいに上がりっぱなしじゃないし、もっとプジョルの方が相手選手に細かい気遣いをしている感じですね。まさに「ザ・リーダーシップ」といった印象です。男性で彼のファンは多いんじゃないでしょうか?オレも一発で彼のことが好きになりました。ぜひまた生で彼のプレイが見たいですね。


 その次点で申し訳ないですが(別に申し訳なくもないか)、やっぱりメッシのプレイはすごかった。一瞬バックダッシュして次の瞬間八方自在に再加速するあの動きは凄いですね、慣性の法則を無視してる。彼くらいの体重だからこそギリギリできるのかもしれません。どんな体幹してるんだろ?
 

 バルサのあの圧倒的な強さは、もちろん選手ひとりひとりの強さに寄るところも非常に大きいんですけれども、なんといっても戦術のウェイトが非常に大きかったと思っています。できるだけ個の力に頼らないチーム作りを目指しているのかもしれません。うちの母に言わせると「カンテラ(下部組織)からずっと教え込まれてきているからこそあのパスワークができる」とのことで、それも間違いなくその通りなんですけど、それだけじゃ説明できない。たぶん似たようなレベルの選手であれば誰が入っても(多少のパターンは違えど)同じようにプレイできる、そういうサッカーを目指した、その結果なんじゃないかと思います。


 翻って日本のサッカー:Jリーグを見ると、バルサっぽい要素を取り入れているチームが多く見られます。今季王者の柏もしかり、そして「繋いで繋いで繋ぎ倒すパスサッカー」を目指す我がFC東京もその一つです。バルサのプレーに梶山や高橋秀人を重ねてみることも少なくありませんでした。バルサのあの戦術は、日本人に向いているはずです。オシムの言っていた「日本化」とは違うのかもしれませんが、あれも一つの指標になるんじゃないかと思います。

 ただ、同じことをやってたらバルサには、スペインには勝てない。彼らはハイレベルな組織戦術に加えて世界最高峰の個の技術の粋でもあります。その時あのサッカーを倒すのに必要なのが本物の「日本化されたサッカー」なんでしょう。


 バルサのサッカーは圧倒的な力ゆえに魅了され、戦う相手にとっては恐怖の対象には違いないのですが、今日見たあの試合は間違いなく日本サッカーにとって希望だった、オレはそう確信しました。日本サッカーがあそこまで辿り着くのが、今から楽しみでしょうがありません。