ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

FC東京のシャトルバスに見た当事者意識を確認することの難しさ

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 先週日曜は雨の中、味の素スタジアム(以下「味スタ」)にJ1リーグ FC東京 vs 北海道コンサドーレ札幌の試合を観に行きました。まぁシーズンチケット持ってるんで、対戦相手や天気に関わらずFC東京の試合は必ず観に行ってるんですけどね。


 通常、雨天だと観客動員数は激減するんですが、この試合はJ1の2位と3位の直接対決。ロシアW杯中断前の天王山です。さすがに晴れの日同様とは行きませんでしたが、それでも24,000を超える観客が駆けつけました。内容は非常に緊迫しチャンスも多かったものの、結果はスコアレスドロー。首位:広島に大きく水をあけられる痛い引き分けとなりました。


 さて、本題は試合後の話、スタジアムからの帰路の話です。FC東京のホームゲームではいくつかの最寄り駅までシャトルバス(有料)が運行されます。我々もいつもの武蔵小金井駅行きのバスに乗ろうとしたのですが、我々が列の最後尾に並んだ直後から、最後尾の更に後ろで係員(バスの運転手と同じ制服)らしき恰幅の良い男性が大声で叫び始めました。


このバスは只今並ばれている方で満員です。バスの運行台数が限られるため、並ばれてもこれ以上お乗りになれません。
中央線(の駅)に向かいたい方は小田急をご利用下さい。


 バスの台数が限られる、だから全ての客を乗せることはできない。これはまぁ理屈としては分かります。

 好天であれば味スタまで自転車や徒歩で来場する人も沢山います。オレ自身も普段は自転車です。その人たちは、この雨天ではシャトルバスに頼らざるをえないでしょう。
 加えて、味スタは観客席すべてが屋根に覆われているわけではないので、雨天だとどうしても観客動員が通常より1万人程度減る傾向にあるんですが、この日の試合は上位攻防戦、観客数が好天時とそれほど変わらなかったのです。

 結果、シャトルバスが予想していた運行台数では足りなくなってしまった。上位対決の経験の少ないFC東京では、こういった事態の予測を立てづらかったのでしょうね。まぁしゃーない。




 問題は「中央線(の駅)に向かいたい方は小田急をご利用下さい。」の方です。なんのこっちゃ? この案内の意図を理解できず、係員に聞き返している人を何人(何十人?)と見かけました。

 味スタの最寄り駅は飛田給駅、もしくは西調布駅で、どちらも京王線です。となるとシャトルバスではなく路線バスのことを指しているのでしょうか?


 答えは、これから我々が乗ろうとしているバスにありました。よくよくバスの車体を確認すると、「京王バス」と書いてあったのです。なるほど、そういうことか。


 FC東京の試合終了後に味スタから発車するバスは、西武多摩川線の多摩駅行き、中央線の武蔵小金井駅行き・武蔵境駅行き・三鷹駅行き、吉祥寺駅行き、そして小田急線の狛江駅行きです。これらの殆どは小田急バスによって運行され、ここ数年で新設された武蔵小金井駅行きだけが京王バスが運行していたのです。(※多摩駅行きは小田急・京王の平行運行らしい)
 件の係員が指す、「小田急」とは、その他のシャトルバス……しかも、武蔵小金井駅の次に最も西の中央線駅の武蔵境駅行きに乗れ、と言う意味だった、ということなんでしょうね。




 この話の問題点は、「件の係員の当事者意識がどこにあるか」だと思っています。ご自身は京王バスで働いており、京王バスの係員として味スタのロータリーに立っている。そして京王のバスは武蔵小金井行きだけで、このバスが満員で乗れないなら他のバス=小田急のバスに乗って欲しいとアナウンスする。それはまぁ彼らの立場からしたらそうでしょう。
 でも、観客にその認識はありません。バスの運行をしている会社がどこかなんて欠片ほども興味が無いんです。FC東京のホームゲームを観に来て、FC東京の用意したシャトルバスに乗るのですから、すべてひっくるめてFC東京です。なんならその係員まで含めて「FC東京のスタッフ」だと思っている可能性すらある。それは今回のバスの係員に限らず、青赤横丁に露店を出している人もそうでしょうし、ビールの売り子なんかもそう思われているんじゃないでしょうか。


 だから件の係員も「今だけはFC東京のスタッフだ」「あっち(武蔵境行きのバス)もFC東京なんだから、その立場で分かる説明をしないといけない」と意識してなくちゃいけなかったんだと思います。極端に言えば「他のシャトルバスをご利用下さい」とだけ言えばよかった。ただ、元々の自意識(=京王バスの社員)が強すぎたために、「小田急」という案内をしてしまったのでしょう。




 今回の件は、事前の申し合わせ等、本当にちょっとしたことで防げただけに、とても残念だなぁと思いました。
 と同時に、ある程度訓練してないと、都度立場を意識してその通りに振舞うのは結構難しいことなのかな、とも思いました。オレのような客先常駐の多いシステムエンジニアだと、その都度名乗るべき社名や看板が変わったりするので、都度立場を確認してから行動するのは当たり前だと思ってたんですけど、そういや普通の会社に勤めてる人にはそんなことはないんですよね。なかなか勉強になりました。




 余談ですけど、この武蔵小金井行きのバス、実はまだもう1台残ってたりとか、その後駅まで送り終えた後のバスがもう一回味スタに戻ってくるなどして増便したらしい(バス運転手の無線に聞き耳立てた)とか更に色々あったっぽいですけど、まぁこの辺はイージーミスの範疇ですし、しゃーないっすね。ちょっとずつ改善点を積み重ねて、良いスタジアム体験が提供出来るクラブになってくれればいいなぁ、と思います。

 強く、愛されるチームをめざして。