ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

「エロ」が電子書籍化を加速させる!ような気がする

         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|  あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//| 『オレはまっすぐタクシーで帰ってきたと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ  思ったらいつのまにかエロ本を買っていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人  な…何を言ってるのかわからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ  おれも何をされたのか
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉  わからなかった…
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ    頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \  スケベ心だとか気の迷いだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ  そんなチャチなもんじゃあ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }  断じてねえ
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


 というわけで、土曜の早朝、目が覚めると二日酔いで自分の布団で、なぜか一冊のエロマンガ雑誌が枕元にありました。いやぁ、タクシーから降りて近所のコンビニに行ったことはうっすら覚えてるんだけど、購入の過程は全く記憶になく。金払わずに持ってきてないことは同じく手元にあったレシートが証明してくれたのでホッと一安心ですが、何やってんだろうなぁ、オレ?
 たぶん日中アキバBlogの記事を読んだので、それをなんとなく覚えていて目についたんでしょうな。それにしたって記憶に全く残さずにエロ本買ってくるとか…、酒の力とは恐ろしいですね。



まるごとヤスイリオスケ其の弐 「おっぱいぷるんぷるんでおなじみ!新作もあるヨ!」 : アキバBlog


 まぁ買っちゃったものはしゃーないんで、仕方なく、仕方なく!目を通してみたんですが、この雑誌が普通のエロ漫画雑誌とずいぶん異なる構成でした。


 まず漫画を描いている人が1人しかいません。「ヤスイリオスケ」さんという漫画家のものだけ。しかも新作は殆どなく、旧作、彼の既刊コミックスから抜粋して掲載しているようです。そもそもの狙いが氏の既刊コミックスの販促を目的としているようでした。エロマンガには珍しく連載形式になっており、その中で人物紹介を行っている話やキーポイントになっている話を上手く抜粋し、続きが気になるように仕組んでいるようです。なるほど、こういう広告の方法もあるのか。


 そして最大の違いはCD-ROMが付いていること。ブラウザから専用サイトにアクセスし、紙面に掲載されているID/PWを入力すると、氏のファーストコミックスが全て無料で読めるようになっています。Flashビューワーで閲覧する方式でしたが、ちょろっと試したら簡単に画像だけ抜き取ることもできました(犯罪なので良い子も悪い子も止めましょう)。WindowsAndroid、どちらかで閲覧可能になっています。Macだと自動起動が走らないだけで、index.htmlを直接叩けばMacでも問題無く動作させることが出来ました。


 個人的に本編以上に興味深かったのが、裏表紙に相当する紙面に大きく掲載された、動画サイトの広告です。カラーで鮮やかに印刷されたその広告は、いわゆるAVの動画データを同サイトで購入出来ること、PCやAndroidから閲覧可能なこと、なにより、ヤスイリオスケ氏の漫画がAV同様に購入・閲覧出来ると謳っていました。当該のサイトを実際に閲覧したわけではないですが、おそらく、このCD-ROMからアクセス出来たサイト同様にFlashビューワーから閲覧出来る形で配信されるんじゃないかと思います。今確認したら、ニコニコ静画でも同じ様にFlashビューワーを使ってるみたいですし。



 よくよく考えたら、アダルトコンテンツ、特にエロマンガって、電子書籍に凄く向いたコンテンツですよね。
 みんな基本的にコソコソ隠れて読むわけで、普段は隠し場所にも困るし、処分するにも困る。ベッドの下から引きずり出してきたところを突然戻ってきた母ちゃんに目撃されたり、魔が差して河原に捨てた日にゃあ、後日小学生や中学生に拾われてうっかり二次利用されちゃったりすることもあるわけです。ちゃんと資源ゴミの日に捨てるにしても、ジャンプとマガジンの間にサンドイッチして見つからないようにしとくとか。そういえばこないだの燃えないゴミの日に、うちのマンションに大量のエロDVDが捨ててあったんですよねぇ。リビドーに燃えに燃えた後には燃えないゴミ扱いとは、なんとも因果な存在ですな。…あれ、話が逸れたぞ?


 でも、電子書籍なら本物の書籍と異なり、隠すのはそれほど難しくありません。今の時代、PCだけでなく携帯電話(スマートフォンタブレット)からでも閲覧OK。deleteキーを叩けば即座に消えますから、処分に困ることもありません。そもそも購入時に人の目を盗んでコソコソする必要さえ無い、専用サイトでクレジットカードなりWebマニーなりで支払えば誰と顔を遭わすことなくいくらでも購入出来ます。FlashだろうがPDFだろうがePubだろうが、電子書籍化すればエロ本に関わるあんな問題もこんな問題も全部解決!


 発行元にもメリットは多いです。元々アダルトコンテンツは種類(作品数)が通常のコンテンツより非常に多い代わりに、ひとつ当たりの販売数は割と少なめです。流通が不要になり在庫を抱えなくて住む電子書籍は、コスト削減の大きな助けになるのは間違いないでしょう。



 なあんだ、いいことずくめじゃない!

 …とまぁ、そんなに上手く事が運ぶはずもなく。オレがパッと思いつく限りでも、いくつか問題があります。

 まずはDRM(デジタル著作権保護)の問題。WinnyなりShareのようなファイル共有ソフト、もしくは違法DLサイトで大量のコンテンツが違法にバラまかれていますが、それらを助長させることになってしまう危険性があること。例えエロだろうと、正当なコンテンツであり、正当な対価が得られる状況に無ければ、そのマーケットをシュリンクさせてしまうことになります。

 オレはいわゆる電子書籍・電子出版にはあまり詳しくありませんが、コンテンツ保護に関しては完璧を目指す事がかなり難しいんじゃないかと思っています。Flashは前述の通り、ちょっとWebの知識があれば中で扱う画像を抜き取るのは簡単ですし、PDFはたしかパスワードロックとかかけられた気がしますが、パスワードごと流通されたら役を為しません。ePubもHTMLの延長のような仕様に見えますから、あまりコンテンツ保護的には強くないんじゃないかと勝手に予想しています。


 他には決済の問題。きちんとした書籍であれば、Amazonのように有る程度信頼の置けるサイトで販売されていますが、アダルトコンテンツは、出元の分からない怪しいサイトが販売していることが殆ど。そもそもネットで決済することに懐疑的な人が未だに多い中、更にそんな怪しいサイトで、なんてとんでもナッシング。ひとたび使えば身に覚えのない謎の高額請求がくるんじゃないか、そんな恐怖感を受けるのも仕方ありません。


 後は、まぁ消費者の意識というか気分というか、要は「形のないデータだけの存在より、ちゃんと『本』という形で手元に置いておきたい」という人は少なくないと思われます。アダルトコンテンツの場合は、前述の通り逆に所有を避けたい人が多いでしょうが、それでもマニアやコレクターは多少いるでしょうし。


 発行元も、それまでの流通業者や印刷業者との繋がりをバッサリ捨てて電子書籍に全振りするのは、会社のしがらみ的に難しいでしょう。



 個人的にこれらの解決策を考えてみたんですが、発行元が何社か共同で電子書籍販売の専用サイトを立ち上げて公開するのが、一番確実なんじゃないかなぁ、と。決済に関わる不安感は、発行元が直接管理する事で多少なりとも緩和されるでしょうし、少なくとも巷に星の数ほど有るアダルトサイトよりはマシなはず。本当は大手書店の方が信頼感が高いでしょうし、そう言う意味だと既にDMM.comエロマンガのDL販売を行っているようですが、こちらは既にアダルトサイトとしてイメージが定着してますので、なかなか難しいでしょうね。そういえば一時期DMM.comって、テレビCMバンバン流してたけど、あれって今も続いているのかな?


 それでもDRMの問題は残ります。ただ、これはそもそも完璧を求めること自体に無理がありますし、仮にそれに近付いたとしても、すぐ盗む側も対応策を講じてくる。イタチごっこの連続です。

 それよりは、冒頭のヤスイリオスケ氏の漫画のように、宣伝目的で活用する無料配布のお試し品として捉えてしまった方が、より有効に前向きに電子書籍化に踏み出せるのではないでしょうか?




 昔、家庭にビデオデッキが普及したのは、お父さん達がアダルトビデオ見たさだった、なんて説も効いた事があります。それと同じ役割を、電子書籍スマートフォンなら果たせるんじゃないか、そんな風に考えました。「人の行く 裏に道あり 花の山」なんて言葉が株式の世界にはあるそうですが、あまり人の目に立ちにくいジャンルだからこそ、世界を変える大きな潮流を作れる気がしています。



 …さて、それはそれとして、このエロ本、どーっすっかな? 来月また母ちゃんが上京してくるから、それまでに処分しとかないと。