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ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

会社を辞めたので自転車で四国八十八ヶ所参りをやってみた。其之五:ロングライド、土佐へ

四国八十八か所参り

二十二番札所:平等寺

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 5時半起床。あまり寝られなかった割には眠気はない。辺りはまだ暗いが、7時には最初のお寺に着いていたいので、急いで野営を片付ける。一番面倒だったのがテントだった。組み立てるのは簡単だったが、たたむのはなかなか面倒。しかも、外側は夜露で、内側は結露でびっしょり濡れていた。タオルで拭き取るが、拭いた端からどんどん朝露で濡れていくのでたまらない。完全に拭き切ることはできなかったが、まぁいづれ乾かすことにして、まずは片付けを急ぐ。
 昨日の晩飯の残りの野菜スープを食べるも、やはり食欲がなく、しかし残すわけにもいかず、必死で食べる。油ものがなかったので、こちらの片付けは簡単だった。


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 片付けに手間取ったので、7時から15分ほど遅れて平等寺に到着。既にオレ以外にお遍路さんが何人か境内にいた。オレ以外はみな車で回っている様子だ。彼らがアホみたいに納経帳やら掛け軸やらを納経所に積み上げたので、オレはそれを待たされる羽目になる。車遍路の人は荷物の多さを気にしなくていいらしい。実に羨ましい。


二十三番札所:薬王寺


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 薬王寺に向う途中の標識に「美波」という町の名前を見つける。南ではなく美波。美しい字面だ。とっさに思い出したのは、またもやデレステの話で恐縮だが、「新田美波」のこと。確か父親海洋学者とあった。この辺りは海にも近いし、おそらくはこの町の名前からインスパイヤされてキャラクターを思いついたのだろう。などと考えていたが、後から調べたら新田美波広島県出身という設定だった。どうやら全く無関係らしい。


 くだらないことを考えているせいか、自転車の進むペースがちっとも上がらない。昨晩野宿したせいで疲れが取れなかったのだろうか? 理由を考えつつも必死で自転車を漕ぐ。平等寺から薬王寺までは20km強。途中に峠越えを挟んでいる。上り坂では昨日以上に自転車を重く感じる。結局、予定を1時間も遅れて薬王寺に着いた。


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 境内で20代前半とおぼしき若い男性から声をかけられる。自転車でお遍路をやっているんですか?頑張ってください。有難い声かけに元気にお礼を返す。明らかに空元気だった。

二十四番札所:最御崎寺

 次の最御崎寺室戸岬の先にある。距離にして78km。この旅最初のロングライドだ。このくらいの距離になると、峠を3〜4超えなくてはならない。5〜10km登りが続き、その後同じような距離をひたすら下る。この繰り返しだ。平地を走るわけでは無いから、かなりしんどい。気合いを入れていかねばなるまい。


 ところが、自転車のペースはどんどん遅くなっていく。自転車が重い。体が重い。最初はまた自転車トラブルかと思ったが、どうもそうではない。タイヤも問題無い。ギアにも異常は見られない。となると、オレ自身の体調に問題があるということだ。
 薬王寺を出て20kmほど走り、峠をひとつ下りきったところで、ついに一歩も動けなくなってしまった。とりあえず谷あいの集落にあるセブンイレブンに入り、食事と水を買い、駐車場で長めの休憩を取った。


 原因は水分不足だった。もしかしたら軽い脱水症状を起こしていたかもしれない。水分を1リットルほど経口摂取すると、体調はみるみるうちに劇的に向上した。どうやら昨晩野宿したせいで、普段以上に水分を補給できていなかったらしい。真冬ではあるが、坂を登ればシャツがびっしょりになるくらい汗もかく。空気も乾燥気味だ。しかし、喉が乾かなかったので自覚症状がなく、全く気づかなかった。


 以降、少しでもパフォーマンスが落ちたと思ったら即座に自販機を探し、スポーツドリンクを飲むことにした。そういうときは大抵は500mlをその場で一気に飲み干してしまう。しかし小便でトイレに行くことはほとんど無い。そのくらい自転車での旅では水分を消耗するということだ。
 自分の体調のことは、案外自分ではわからない。日常でも気をつけねば。


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 水分を十分に補給すると、また元のように走れるようになった。さすがに遅れは取り戻せないが、それでもひとつでも多く回りたい。峠をいくつか越えると、徳島県から高知県への県境に至った。ここからは坂本龍馬の生まれた土地:土佐だ。


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 天気が良いので見晴らしが素晴らしい。室戸岬に向かう国道55号をひたすら走ると、ずーっと海岸を眺めながら走ることになる。サイクリングが目的なら十分に楽しめる光景だろう。オレの目的はそうではないので、景色を楽しむのもそこそこに自転車を走らせる。


 最御崎寺室戸岬の先端……にある山の上にある。ここまで散々走らせておいて、さらに山の上だと!? アスファルトで整備されたヘアピンカーブだらけの急斜面を、ヒイヒイ言いながら自転車で上がっていく。


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 目的地は室戸岬灯台と並んで建てられていた。まぁ建てた順序から言うと灯台の方がはるかに後だろうが。先に室戸岬からの景色を堪能すると、続いて最御崎寺へのお詣りを果たす。実に予定から4時間遅れだった。

二十五番札所:津照寺

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 次の津照寺までは10kmと割と近い。先ほど上がってきた坂を一気に駆け下りて、そのままの勢いに向かう。30分ほどでたどり着くことができたが、この時点で時刻は16時を少し回っていた。この次の金剛頂寺までは5kmと近いが、かなり険しい山登りだというのは、ガイドブックで事前に頭に入れていた。おそらくこの時間からでは納経所の閉まる17時には間に合わない。今日はここまで。


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 ここで、致命的なミスをしていることに気がつく。この日の昼ごろ、休憩も兼ねて宿を予約していたのだが、宿の場所を盛大に勘違いしていた。金剛頂寺のその次、神峯寺の近くで取っていたと思っていたのだが、実際にはその先、高知市内に予約したホテルはあった。津照寺からの距離、実に80km。いっそキャンセルして野宿しようかとも思ったが、既に料金はクレジットカードで支払い済み、何より野宿から80km以上を走ったこの体で更に野宿をすることなど絶対に避けたかった。


 かくして、そこから更に80km、高知市までのロングライドが始まった。途中ライトの充電が切れたり、帰宅ラッシュの渋滞に巻き込まれたりと、いくつかのトラブルがあったが、思い出すのも辛いのでここでは省略する。予約したホテルにチェックインしたのは21時にさしかかろうという時刻だった。「疲労困憊」という言葉は、こういう時にこそ使うべきなのだろう。そんなくだらないことしかもう思いつかなかった。

この日の走行距離

  • 179.4km(+徒歩:4.1km)