ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

XP祭り2014に参加してきました。 #xpjug


 9/06(土)はXP祭り2014に参加してきました。
 今回は当ブログ初のリアルタイム更新に挑戦していました。なので、あんまり細かい内容は書かない(書けないの)で、写真中心でお伝えしようかと思います。
 


 受付でもらった資料。いきなり不穏……。


A-1 オープニング【まんざい】

 XP祭りご意見番、福井さん・小井土さんによるXP雑感。遅れて参加したので途中からしか聞いてないのですが、入ったらいきなりケーキの作り方について喋ってました。……どういう流れでそういう話になったんだろ?


A-2 XP祭り実行委員からみなさんへ

 実行委員の佐野さんから、XP祭りは新しいスタッフを募集してますよ〜、というお知らせ。月1回の活動で準備して行ってるみたいです。ぶっちゃけXPのことを知らなくても問題ないとか。ミーティングの後は飲み会とかもあったりして楽しいそうなので、良かったら参加してみて下さい。


 ……オレ? オレは無理かなぁ、Jリーグと日程被ると参加できないしw。





 川口さんによる「XP祭りとは?」という解説。XP祭り十数年の歴史の中で初の試みなんだそうです。ゆるいなぁw。内容としては、XP祭りの歴史と、XPの解説が中心。話し方は川口さんらしくユルい感じですが、解説の内容自体は非常に真面目でした。



 アイスブレイクでXP祭り参加経験数とアジャイル経験年数の会場アンケート。川口さんの仕切りが悪いせい軽快なトークで爆笑の巻き起こっていました。


A-3 XPの俺 / XP再考を再考する【基調講演】


 関さんによる基調講演。XPをもう一度見直す、という内容でした。


 個人的にはcheck vs testingの話が興味深かったです。ざっくり説明すると、checkが既に分かっていることを確認するためのもの、testは問題をあぶり出すためのもの、みたいな話だったんですが、その概念で言うと、今一般で言われている「学校のテスト」は全部checkじゃなくてtestだなぁとか思いました。和製英語の「test」の意味が、どこかで本来の意味からかい離しちゃったのかもしれませんね。





 質疑応答の様子。関さんの話の中で、複数バージョンを同時に開発する、複数プロダクトを1チームで作る逸話があったんですが、それはあくまでビジネス側のニーズで複数バージョンを同時に作りたいという要望があったからこそのことで、開発チームから望んでそうやってるわけじゃないよーみたいな話もありました。単に講演を聞いているだけだとそういう背景は聴講者には分かりませんが、質問してみるとちゃんと背景が見えてきておもしろいなぁ、と思った次第でした。


休憩時間


 受付付近にはスポンサー提供の本がずらりと。イベントの最後で参加者にプレゼントされるそうです。大盤振る舞いだな!


 こちらは世にも珍しいアジャイルの同人誌。売上は東日本大震災の支援金として送金されるそうです。オレも一冊買いました。


A-4 野良LT【オープンジャム】



 ここからは複数セッションが並行開催される形式になります。聴講者は6〜7あるセッション・ワークショップの中から好きなものを選んで参加することになります。
 ちなみにオレは、飯食って帰ってきたら午後の開始時間に大幅に遅刻してしまったので、参加しやすそうな野良LTに参加。聴講者も少ないし、発表も予想以上にユルい内容でした。てらひでさんのは終了後の画像が不穏だったし、レッドさんのはブルーワーカーの実演(?)販売だなありゃw。



C-5 『組織パターン』で未来をあぶり出す【講演】



デブサミのおっかさん」jこと、翔泳社取締役の岩切さんのセッション。突然複数部署を兼任することになったものの、右肩下がりの出版業界、暗く元気のない社内、色んな課題をみんなで共有して解決したい、という思いから「未来会議」というタイトルで全社体制で組織パターンのワークショップに取り組んだ、というお話でした。なんと201もの問題点が出てきたそうで、現在はそれらを端から解決して行っている最中だそうです。中には、社内業務システムの刷新、なんてヘビーなものもあって、一歩前には進んだものの、これからも苦労の絶えない様子が窺えます。それでも、ひとつ大きな手応えを得られたようで、満足そうな表情をされていたのが印象的でした。




 岩切さんのセッションは、パワポではなく、なんと手書き。旦那さんのやっとむさんが手元のiPadで手書きの紙を映し、それをスクリーンに投影して喋る、という一風変わった(岩切さん定番)手法で講演されていました。


 最初映し方がよう分からんくてわちゃちゃわしたのはご愛敬ってことで。




 質疑応答の様子。ここは突っ込んだ話が多かったのでオフレコになりました。




C-6 人生で大事なことはXP白本の参考文献に教わった 〜本と本の間の見えない糸を辿り、XPをより深く知る〜【講演】



 愛媛からいらした、XP祭り創始者のひとりでAgile459の発起人である懸田さんのセッション。通称「白本」とも呼ばれる「XP入門」の本と、その著者であるケント・ベックが参考文献とした本へのコメント、そして本自体の内容から、XPが背景に持つ哲学を読み解こう、というのが講演の主旨。
 オレの認識では、XP入門はいわゆるプラクティス集に近いものだというものだったので、こうやってその根底にある哲学を探っていくという試みは非常に新鮮でした。


 以下、懸田さんにご紹介頂いた本。全部読んだことあるって人は凄いと思う。



B-7 なぜアジャイル開発はうまくいかないのか? 〜ソフトウェア開発の本質とエンジニアの生き方【講演】


 ソニックガーデン代表取締役の倉貫さんのセッション。多くの聴講者が「納品の無い受託開発」の話を聞きに来たんじゃないかと思うんですが、予想に反して「納品の無い受託開発の話はしません!」と冒頭でバッサリ。代わりに、「なぜアジャイル開発が上手くいかないか」というテーマで、ご自身の半生的な内容を講演頂きました。


 オレ自身は倉貫さんの講演は何度も聞いていますし、今回の話もDevLOVE2012の内容と共通している部分もあったので、「やっぱりすげーな倉貫さん」とは思ったものの、特別目新しいことはありませんでした。ただ、それはあくまでオレの話で、今回連れてきた後輩にとっては非常に良い刺激になったんじゃないかと思います。聴き終わった後の顔がピリッとしてたんで、それだけでも今日のXP祭りに参加した甲斐があったってもんです。




A-8 LT祭り

 XP祭り恒例のLT祭り。トーク5分打ち切り→インターバル1分 をなんと14回繰り返すという聞く方も喋る方もタフマラソンなイベントです。


 ちなみに銅鑼と銅鑼娘の手配が間に合わず、PCからの電子音で代替となりました。

デザインスタジオというアクティビティの紹介:平松 欣也さん

僕がスクラムマスターをクビになった訳:石井 智康 (@zambiker)さん

俺の「機能横断的チーム」 に近づくためのあれこれ:渡邉 太一さん

忍者式テストをやってみた:中島 滋 (@ledsun)さん

俺の事業部:木下 史彦さん

チームや組織を良くしようとしている皆さんへ〜課題解決型イベント「Scrum master’s Night」のお誘い〜:長岡 実さん、知花 里香さん

ももたろう:てらひで (#terahide27)さん

アジャイルソフトウェア開発の道具箱〜永和システムマネジメント勤続10周年記念講演:伊藤 浩一 (@koic)さん

8年目の活動報告:よねざわ まことさん

○○したら受託開発が180°変わった:原田 敦 (@harada4atsushi)さん

メトリクスによる「見える化」のススメ: エッセンシャル・リーン:伊藤 宏幸 (楽天)さん

モデリングもしないで”XP”とは何事だ:原田 巌 (@iwaoRd)さん

アジャイル病を患ったおっさんビギナーが現場でトライしたこと:すなだ (@orinbou)さん


 知人も何人か登壇していたので、楽しんで聞いてました。てらひでさんが何故か英語で喋ってるのと相変わらず不穏な画像が出てきたりするのとでハラハラしてました。またTHE HiroのLTは「滾りますよね?」のところでTHE Hiroのドヤ顔にイラッ☆としました。砂田さんのLTは面白かっただけに最後まで聞いてみたかったなぁ、オオトリにふさわしい内容だったんじゃないかと思います。

クロージング


 クロージングという名の献本のお時間。XP祭り初参加の方、若い方が優先的に本が貰えます。



 オレはこちらの本を頂きました。有難うございます♪




 本配ってる時間を利用しての告知タイム。色んなコミュニティの方がイベント告知を行っていました。



総評

 オレはXP祭りへの参加が今回で4回目か5回目になるんですが、色々な勉強会に参加した上で、改めてXP祭りというイベントを見ると、ま〜〜〜ユルいですね。「XP」という割と狭義のテーマをイベント名に冠しながら、それにこだわらずやりたい人がやりたいことを気楽にできる(実際XPと関係無いセッションが凄く多い)、初心者の人もベテランも気楽に参加出来る、良い意味でユルいイベントだと改めて感じました。そういえばオレが初めて参加した会も、子供が走り回ってたりと自由な感じだったなぁ。当時はIT勉強会の参加経験も少なかったのでよく分かってませんでしたが、ずっとこういうスタンスを維持し続けてきたんでしょうね。カラーが出てる、というのは素晴らしい事だと思います。


 XP以外の事ばかりやってる、とは言っても、今年は「XP」というキーワードに随分と回帰している印象を受けました。XPが分かってないと……少なくともXP入門を読んだ事がないと分からない講演が多かったと思います。勉強会は「分かる」「知る」ことも大事ですが、「分からない事が分かる」「悔しさを感じる」ことも参加の意義だと思います。雰囲気ではなく、内容に対して、ハードルの高さを感じられた人も多かったんじゃないでしょうか。「XP祭り」という名の面目躍如となったのではないかと思います。


 実は今回、オレはXP祭りに参加するかどうか非常に迷っていました。というよりは、今年のXP祭りは参加しないつもりでした。自身の仕事で置かれた立場や状態、色んなものを鑑みた時に、IT系の社外勉強会に参加することに意義を見出せなくなっていたのです。実際のところ、直前まで別の予定を入れていました。
 ただ、その予定が直前でキャンセルになり、予定も空いてしまったので、じゃあやっぱりXP祭りに行ってみようか、でも何をモチベーションに参加すべきか、後輩でも誘ってみて、行くって言ったら行ってみようか、などと考え、結果後輩が話に乗ってくれたので参加と相成りました。後輩に社外勉強会を見せる、というのが唯一のモチベーションだったかもしれません。


 それはXP祭りが終わった今も変わりません。もちろん、XPへの理解が深められた、良い話を聞けた、というのはありますが、いつも社外勉強会に参加した時に感じる様な高揚感や焦燥感、参加して良かった!という感動が、それほど無かったのです。


 一方で、後輩を連れてこれたことは、非常に大きな収穫でした。後輩はオレに言われたからなんとなく面白そうだと参加したに過ぎないので、XP入門も読んでないし、それ以前にアジャイルについてもほぼ全く知らない状態で参加しました。そういった状況からXP祭りに参加したので、やはり講演を聞いても分からないことが多い。
 そういった彼が分からないと感じた事について、感想戦と称して終了後の居酒屋で色々とオレから説明したり、オレや彼の感じた内容を議論したりすることができました。彼とはよく飲みに行くので、対話の場は不足してなかったはずなのですが、ここまで「XP」や「アジャイル」というキーワードで話せたのは初めてです。
 彼が今回のXP祭りを糧に、XP入門を読んだり、自身でアジャイルについて勉強してくれるかどうか、それは彼次第です。だから今回のXP祭り参加が彼にとって進歩なのかどうかは正直分かりませんが、少なくともオレに取っては、後輩に自分の持っているものを伝えることができた、という意味で、良いきっかけになったなぁと思います。


 最後に、XP祭りを開いて下さった実行委員会の皆様、登壇者の皆様、会場を提供してくれた早稲田大学に最大の感謝を。また来年も、みんながユルく気楽に参加できるXP祭りが開催されることを期待しています。ありがとうございました。