ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

灼熱と寝不足とビジネスシンキングな夏のコミケ3日目 #c82

 

はじめに

 もう一か月近く経っちゃいましたが、8/12(日)は、東京ビッグサイトで開催された「コミックマーケット」の3日目に参加してきました。このブログでも何度か書いてきましたが、今回は会社の後輩が素っ頓狂なことを言い出したがために、まさかのサークル(出展側)参加。このオレがオタクの祭典でよもや出展側にまわる日が来ようとは...。



 上記がサークルチケット。1サークルにつき3枚まで配布されます。中にはわざと頒布せずに早期入場のためだけに使う人もいるようなので、1万円弱で優先入場券を買うようなもの、と表現できるかもしれませんが...。後輩もフライングゲットが目当てだったんですが、オレは「技術本を出す」ことを条件に協力を約束していたので、なにも頒布しない、などということは死んでも許さず。


 そのせいで我々「MFHUG」の3日目は、その前日から始まっていました。


準備


 普通、コミケで同人誌を頒布する場合、きちんとした印刷会社に依頼してちゃんと製本する「オフセット本」と、コンビニなどのコピー機で自分で冊子っぽいものを作る「コピー本」に分かれます。オレらは期限の都合もあって後者を選択、そして直前までまったく作業が進んでなかったので、直前まで作業をすることに...。つまり、前日土曜日の午後から我々の3日目は始まり、そのまま作業が終わらず、徹夜するハメになった次第でございます。...仕事でも軽くデスマ状態なのに、この上プライベートまで...。



 結局50部全部刷り上がったのは明け方4時。...もう始発が動く時間だっちゅうの。それから始発まで仮眠、シャワーだけ浴びて東京ビッグサイトに向かいます。


 ちなみに冒頭の写真は駅到着直後にリーダーに撮って貰ったオレ。技術本の頒布なんで、システムエンジニアのコスプレをしてみました。*1



 サークル参加者の入場時間は8:30〜9:30とのこと。なのでこの時間に来場する人は殆どサークル参加者です。周りはカート引いてる人でいっぱい。ちなみにスーツ着てるのはオレだけでしたw。





 コミケ参加3回目にして初の開場前入場。既にスゲー人の数。



 とてつもなく馬鹿っ広い空間に理路整然と安物の長机が並べられています。時間までは自由に動けるようで、準備が済んだ参加者は好き勝手に見回っているか、開場の瞬間を自分の席でじっと心待ちにしているようでした。

 広い会場内に3本だけ幅10〜15mほどの大きな通路があり、そこには既に大量の欲望にまみれた男どもが並んでいました。…これが開場前行列ってやつかぁ、まだ門が開いてもいないのに数千人がならんでるぞ...。




 自分たちのブースに到着。我々は東地区U11aという場所でした。さっそく設営開始。技術本なんですが、ヲタクの祭典なんでビミョーに萌え系狙ってみましたw。描いてくれたのは会社の同僚の元デザイナーな営業さん。この日は売り子も手伝ってくれました。イイトシしたオッサンなのに萌え絵とか描かせてサーセンw。ちなみに両隣もIT技術本を頒布される予定のようでした。普段はあまり単語さえ聞かないニッチな技術みたいだけど、売れ行きはどうなんだろ?自分たちの結果同様に楽しみです。



 東京ビッグサイトって、IT系のイベントでも何度か来たことがあるんですが、そういや天井なんて見たことなかったなぁ、と思い撮影して見た次第。ブースの中には入ると気持ちまで視点がいつもと異なるのか、いつもなら気付かないところまで色々見えます。



 9:30になると先ほどまで並んでいた猛者共が会場外に連れていかれます。どうやら有名どころのブースは会場外から購入するみたいです。列を会場外に作るから、会場内が混雑しにくくなるんでしょうな。


 目の前が急に広くなってスッキリ。お向かいの人はナニスルヒトゾ?




 更にもう10分ほどすると、ボランティアの人が大通りから参加者を退去させ始めました。「危険だから立ち入らないでくださ〜い!!」と繰り返し叫んでいます。大通りに通じる脇にの小道も全てロープで立ち入り禁止にするほどの徹底っぷり。...何が起こるんだ、一体?


開場

 ついに開場の10時。開場を告げる館内アナウンスと共に、広い広い会場内から一斉に拍手が巻き起こりました。そして次の騒動は、その後1分ほどでやってきました。



 ...なんだ?



 なんだなんだ?



 なんだなんだなんだなんだ!!!!?



 ぎゃあああああああ、なんじゃこりゃあああああ!!!!!



 まるで激流!人が横に流れ落ちる滝のようでした。怒涛の勢いで目の前の大通路を人が流れ過ぎていきます。ボランティアが「走るな!」と頻繁に声を張り上げている甲斐もあって、走っている人はさすがにいませんが、走ってないだけで猛烈なスピードで大量の人が通り過ぎていきます。彼らはおそらく全員が徹夜でこの真夏に並び続けていたはずですが、この瞬間には彼らの表情から疲労など微塵も感じ取れません。怒号と拍手と地鳴りのような足音。目に見えない土埃りが舞い上がっているようにも感じました。これがコミケか…。



 大通路に通じる小道はすべて封鎖、よってこちらでも渋滞が。確かにこの中に巻き込まれたら危険だわ…。




 ただ、それもわずか10〜15分の間で、元の平穏に戻りました。欲望は壁際に集中しているらしく、みんな会場外の列へと流れていきます。


 この頃、我々「MFHUG」の頒布物の最初の一冊が売れました。やー、けっこう嬉しいもんですね。



 ちなみに東京ビッグサイトは11時くらいに夕立(ゲリラ豪雨?)に遭い、今度こそ本物の滝のような、まさにバケツをひっくり返したような豪雨に見舞われました。彼らは戦利品を雨から守れたんでしょうかねぇ?土砂降りの雨の中、仁王立ちしているデブのボランティアのおっさんがなかなかに格好良かったですw。


自由行動

 リーダーが欲望にまみれたお買いもの目当てだったので、こりゃ今日はずーっと店番かなぁ、と思ってたんですが、目的の品はあっさり手に入ったらしく、雨が上がった11時半頃に戻ってきたことと、彼が前々日も徹夜*2でバテてたので、休息がてら店番をしたいとの申し出が。おかげでオレは午後まるまる自由時間になりました。


 コミケは頒布する品のジャンルに応じて割り当てられるブースの位置が決まります。アニメ・マンガ・ゲームの男性向け成人誌(つまりエロ本)が3日目の主なコンテンツで、我々のような技術本を頒布するサークルは「その他」にジャンルされます。そうすると、隣数軒くらいは同じIT技術本だったりするんですけど、ちょっと離れると全然違うものを売ってるんですよね。アクセサリーだったり石鹸だったりお香だったり時計だったり。書籍であっても、料理のレシピ本やアイドル分析、日本酒の解説、鉄道、文芸、実に様々です。これらが実に多様で、人の興味の範囲の広さに驚かされました。
  あまりに面白かったんで、自由時間の殆どを自サークルの周辺ばかりをうろうろ見て回ってました。その中でも特に興味を持ったものを何冊か買ってきましたが、そんなに高くないので調子に乗ってあれもこれもと手を出していたら、ついつい買いすぎちゃいましたw。お酒関連が多いのは多分気のせいです。



 もちろん当初の目的であるコスプレの撮影も忘れずに。自由時間たっぷりだったんで炎天下で心置きなく撮ってきました。成果物は以下からご覧ください。



 コスプレ広場から移動した際に撮影した午後の空の様子。まさにピーカン、あの雨はなんだったんだw?



 今回初出展のGoogle。企業ブースでGoogleのロゴを見かけるのは違和感がありますなw。ちなみにガチャかなんかをやってるらしくて、長蛇の列ができていました。



 「武器屋」と書かれた謎のブース。秋葉原のあの「武器屋」なのかな?



撤収


 みんな大きな荷物を持って帰路に着いています。お目当ての品は買えたんでしょうか。


 我々は16時まで粘って、最後のコミケ終了を告げる館内放送と会場からの大きな拍手を耳にしてから会場を後にしました。…正確には、国際展示場駅までの道が大渋滞していたので、帰路に着けたのはさらに1時間ほど後でしたが。



 終了後に東京ビッグサイト前で記念撮影。リーダーが見るからにぐったりしています。お疲れ様。


 この後オレは新宿歌舞伎町のオクトーバーフェストへ。そこで勉強会で知り合った方と合流し、最後の一冊をお譲りしました。コミケ終了から2時間遅れて、我ら「MFHUG」コミケ初参加にして50部すべて完売しました。お買い上げ頂いた皆様、本当にありがとうございました。



総評

 前日から当日終了するまでは忙しさと疲労であまり実感を持って色々振り返ることができなかったんですが、翌日以降、日常に戻るとあの時の様々な光景がフラッシュバックするようになりました。仕事をしていても、耳鳴りのように耳の奥に東京ビッグサイトの雑踏が響いていました。なにかすごい体験をしたんじゃないか、どこかでそんな気もしています。


 今回一番大きかったのは、自分が「作る立場」「売る立場」に立てたこと。拙いとは言え、自分たちの作ったものをお金を出して買ってくれる人がいる、自分が手渡しで品物を渡してお金を受け取る、今までコンビニやスーパーのような販売員のアルバイト経験がなかったオレにとって、非常に貴重な体験だったと思います。
 その後自分が周囲のサークルを見て回る時も、どういうところに気を使って自ブースをレイアウトしているのか? どんな思いで頒布物を作っていたのか? 年齢は? 性別は? 服装や顔つきは? 買う人たちはどんな人か? 色々なところに注意が向くようになりました。百聞は一見に如かず、百見は一行動に如かず。自分で行動してみないとわからないことはまだまだあるな、と改めて思い知らされた次第です。


 また、今回我々のサークルに割り当てられた場所もよかった。結果としてオレが見て回った他サークルはほとんどが、コミケで主流のアニメ・マンガの二次創作とは異なる「その他色々」に分類されていたのですが、その「その他色々」の幅が広いこと広いこと。現代の消費者のニーズは多様化している、とは常々聞いていましたが、漠然とイメージしていたものがこうやって具現化されるとやはりそのバリエーションの多さ、マニアックさに圧倒されます。
 彼らの多くは、それらが大好きで、誰かに伝えたいと思うほどのめり込んでいて、赤字でもいいから物を作りたい・売りたいと思うほどの熱意を持っている。その熱量の多さがひしひしと伝わってきました。これらを見るまでは「金を損するようなリスクなんか侵さないで、Webサイトとかブログとか電子出版とかでいいじゃん」と思っていたのですが、それじゃ満足できないから彼らは長い時間をかけて準備して、遠路はるばる東京ビッグサイトまでこの炎天下にやってくるわけです。しかもお金は減る一方だし。
 人の持つ興味の熱量と強さ、それらを垣間見ることができたという意味でも、非常に貴重な体験でした。


 あ、あとついでですが、今回の頒布本作成を通して、後輩(=リーダー)の実力がなんとなく測れたのも結果的に良かったかなぁと思います。実は彼とは一緒に仕事したことがないんですが、うわさで聞く限り、仕事にも熱意をもって取り組んでいるようだし、上司からの評判も悪くない。「仕事ができる新人」という認識でした。
 で、実際に作業をすると、やっぱりオレから見ると抜け・漏れがよく見えるんですね。まぁ当たり前っちゃあ当たり前なんですけど。今回の頒布本作成は、ほぼ実業務の環境構築マニュアルもしくは実装マニュアルの作成に相当するんですけど、今まで一度も経験したことがなかったんだなぁってのがよく分かりました。おかげでオレから仕事のやり方をちょこっと教えることもできましたし、当人も色々反省点があったようなので、今回取り組んだことは、そのまま仕事に生かせるんじゃないかなぁと思います。



 オレのコミケ参加はこれが3回目でした。
 一回目はなんとなくダラッと見て回っただけ、二回目は他人の買い物の使いっ走りとして奔走し、三回目でサークル参加。それぞれ別の視点で同じイベントを3回体験してきましたから、それぞれ得るものは異なったのですが、敢えて比べれば今回の3回目がダントツに面白かったです。コミケってイベントは、興味が無い人から見れば、ただ人が混んでて暑い・臭いだけのウンザリするイベントのようですが、興味を持って注視すれば本当に街の店頭では有り得ない、とんがった興味深いものがいっぱい転がっています。そしてそれは一日かけても見て回れないほどの圧倒的な量です。それらをどうやって見つけるか、どう楽しむか、どう自分の中に吸収するかは、自分の視野の広さと、好奇心の強さ、積極性が必要なんだなぁと改めて感じました。




 …さて、今回我々「MFHUG」はコピー本の頒布となったわけですが、「どうせやるならオフセットだよなぁ」ということで、冬コミでのリベンジを早くも決意した次第です。サークル参加に当選できるかどうかは不明ですが、今度こそちゃんとしたクオリティの技術本を用意していきたいものです。


 半年後の12/31、どうなることやら?*3



*1:こんなんでも一応本職です。

*2:リーダーは2日目も徹夜して並んでたらしい、アホやw。

*3:FC東京天皇杯ももう無いしね、orz