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ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

第4回企業内リーンスタートアップ勉強会に参加してきました。

勉強会

はじめに

 先週金曜日は楽天株式会社で開催された「第4回企業内リーンスタートアップ勉強会」に参加してきました。以前DevLoveのリーン・スタートアップ・ナイトに参加した縁もあって、幹事の及部さんにFacebookでお誘い頂いた次第。今までのコミュニティとはまた参加する方が異なる感じだったので、内心ビクビクしながらの参戦となりました。まぁそうは言っても見かけた事ある方もちらほらいましたが。



 まずは今回の幹事:及部さんから会場利用における諸注意。楽天の自販機は楽天Edyしか使えないという、アウェイをアウェイたらしめる最強の罠が潜んでいました。後から懇親会で「最初のビールがめちゃくちゃ美味い!」と言ってる人がいましたが、たぶん2時間水無しの喋りっぱなしだったんでしょうなぁ。



 続いて、この勉強会を主催されている和波さんからご挨拶。この勉強会は4回目、1回目こそ20名くらい来てくれたが、2回目は5名しか来ずにこの先どうなることかと心配されていたそうです。ちなみにこの回は40名強が参加されていました。「次は同僚や上司を連れてきて欲しい」と言っていましたが、大熊前監督の言葉を思い出しました。

 サポーターの1人が、誰かの手をつないでスタジアムに来てくれれば、観客は倍になる。
 両手をつないでくれれば3倍になる。
 俺達は誰かを誘いたくなるサッカーを見せなければいけない。


― 大熊 清(元FC東京監督)

講演


 そして本題。ソニックガーデンの倉貫さんから、TISという大企業で新規事業を興し、独立企業した自身の経験を踏まえて、スタートアップについてご講演頂きました。以下その際のメモ。


― メモ ―

  • TIS → ソニックガーデン
  • 企業内スタートアップ
    • 雑誌
    • テレビ(WBS)
      • スタッフ:「オフィスが小さい。さすがスタートアップの会社さんですね」
      • 今は渋谷に移転
  • 会場アンケート:「上場or100名以上の会社所属の方
    • →8割くらい
  • 企業内スタートアップ あるある7つ
    • 事業計画→体制作り
      • ゴールから逆算
    • 事業規模が違う
    • イムリミット
      • 制御出来ない
    • 他者からの嫉妬
      • あいつらだけ好きな事やりやがって
    • 既存事業とのシナジー
    • 前者部門は例外処理を嫌う
      • 企業内の制約
    • 本当にうまくいくなら独立してる
      • →利益相反
  • 書籍「リーン・スタートアップ」
  • 無駄の定義
    • 学びに繋がらないもの全て
    • 会社に無駄とリーン・スタートアップに無駄は違う
  • 「Pivot」という言葉を使いたがる
    • 本当は戦略だけに用いる
    • 軸足は残す、トラベリングにならない

Pivotの事例:SKIP

  • 売れない
    • →中小企業を止めて大企業に売りに行く、出展を止めて問い合わせ中心に
  • 売りにくい、手間がかかる
    • プログラムの全書き直し
      • マルチテナント
      • 従量課金
  • リーン・スタートアップに対する懐疑
    • スケールしなくても利益率が高い会社が作れるのでは?


―質疑応答 & 会場からの意見―

  • バスから始められない
  • 企画書作って稟議
  • 計画にこだわり過ぎる
  • 既存事業に対する評価
  • 新規事業の製品を既存ラインで売ろうとすると危険

ディスカッション


 続いてテーブル毎にディスカッションを行います。倉貫さんの発表の中にあった「企業内スタートアップを阻害する要素7つ」がディスカッションしやすいんじゃないかと和波さんから直前に提案があり、実際にその観点からディスカッションが始まります。
 我々のテーブルではオレも含め4名。大手ECサイトの方、ソーシャルゲームメーカーで新規事業の立ち上げを担当されている方、フリーランスの方、そして二次請けSIer所属という顔ぶれ。お一方はビジネスモデルジェネレーションの勉強会でもご一緒させて頂いた方でした。以下ディスカッション中のメモ。


― メモ ―

  • 組織がでかくて、プレゼンが多い
    • 6つくらい(ECサービス会社)
    • 上の人に通す為にプレゼンを作る
      • プレゼンが多過ぎて事業を始める前に疲弊しちゃう
    • 2つくらい(ソーシャルゲームメーカー)
      • 撤退ライン
        • ガイドラインがある
        • Pivot案があれば存続出来る
          • 通常はまず出ない
  • アプリコンテスト
    • Androidアプリ(SIer)
      • 優勝しても世に出ない
      • 発表したとしても協賛企業の名前だけ。自社の名前は出さない
    • ビジネスプランコンテスト(ソーシャルゲームメーカー)
      • 必ず世に出す
    • クラウドアプリコンテスト(ECサービス会社)
      • 草の根的開催
      • 上役を呼ぶなどちょっとずつ拡大させている
  • 新規事業の立ち上げ
    • リソースを寄越してもらえない
    • 新人しか回してもらえない
      • 上役:「優秀な人はゲーム」
    • 外部から探す
      • 常駐してくれたらいいけど
      • 発注する為に余計な手間が発生する
      • せっかく内部に優秀な人がいっぱいいるのに…
  • スタートアップの成功事例
    • 新人教育を事業化
  • スタートアップにデザイナーは要るか?
    • 必要
    • スマホデザイナーは少ない
      • Flash上がり
      • Web系は多い
      • UI・UXを考えられるか
  • 10%ルール
    • Googleは止めたらしい
    • 活用し切れない
    • 新人「残業した場合ってどうするの?」
  • 上場前と上場後で集まる人が違う
    • 前者:攻めに向いている
    • 後者:守りに向いている
    • →分けて配置した方が良い
  • 小さなサービスのサンドボックス
    • 売上ゼロ(30万くらい?)、1年で5個
    • モチベーションは上がる?下がる?
      • 上がる
      • 他部門は徹夜もしてる
        • そういう周囲の目があるとテンション下がる
    • →個室にした方が良い
    • →社長直下
  • 新しいサービスはどこから来る?(ECサービス会社)
    • 様々な部門から
    • トップダウン
    • 事業部からがメイン
      • データ分析→どうやったらマネタイズできるか検討
  • スタートアップが上手く行っている会社は?
    • サイバーエージェント
      • すぐ会社化する(事業部化ではない)
        • 嫉妬が無い
        • 他との比較が無い
        • モチベーション
      • →大手メーカー(ex:トヨタ)が部品メーカーを中小企業として抱えている、採算取れないと吸収


 我々のテーブルでは、立場が全く異なる人が揃っていたので、それぞれの会社の状況を他の人が質問する形で進みました。意見が非常に多岐にわたったので、なかなかまとめにくいんですが、意外と面白かったのは先進的な会社さんでも最大の障害になるのが「同僚の目」であるということ。自分たちが新しいことにトライしていると、他の人から嫉妬の目を、直接的には無いにせよ向けられることがあり、それがモチベーションを削ぐ原因になるそうです。「人」の敵はやっぱり同じ「人」なんですねぇ。

 社内コンテストも、草の根的に行っていると有効活用できないことが多いようです。最初から役員クラスを巻き込んで行かないと、なかなか状況を打破できないみたいですねぇ。この辺は、うちの会社の勉強会やLT大会も、形は違えど同じ状況なので、非常に共感出来ました。




発表


 各テーブルの内容をそれぞれ簡単に発表して行きます。…オレらのテーブルだけは、オレがメモした内容を一通り喋ったせいもあって随分発表が長くなっちゃいましたが。


― メモ ―

  • 上司の事業に対する評価基準
    • 既存指標に囚われ過ぎる
    • 失敗を認めてくれない
  • 行動したいと思っても同じ思いの人がいない
    • →洗脳を如何にしていくか
  • 開発リソースの奪い合い
  • 承認プロセスが多い
    • ex:1000万なら課長決裁、5000万なら部長決裁
    • 予算額が多くなるとハードルが多くなる
  • 戦略無くして開発が始まる
  • 軸が無いのにPivot
  • 固く作ってしまう(開発フェーズ)
  • 失敗を許せる?許せない企業
    • 計画の間違いに気付いたら → 過ちを認めると会社の中で死ぬ
      • 計画に無いKPIが出てきたり
  • 方向性とゴールを決めるのが大事
  • 自分の立場を考えてモノを言ってしまう
  • 計画の実行に満足してしまう
  • 既に会社からスタートアップを任されていて、上手く行っている人
    • 全くリーチ出来ていない市場へのアプローチ
      • 7つの問題がすべて解決出来ている
        • 7つの中では「出来る事なら独立してる」が一番引っ掛かった
        • 会社のブランドや人脈を利用したい
      • チーム内でスタートの合否を判断
      • スタート出来れば止めるタイミングはリーダーが決める
        • 区切りのタイミングで(ex:四半期毎)
    • ポータルサイト
      • →「儲けてれば好きにやっていいよ」


 上記メモには我々のテーブル分は入っていないんですが、案外似た様な意見が出ているなぁ、と感じました。「過ちを認めてしまうと社内的に死ぬ!だから如何に認めないかに走ってしまう」なんてのは非常に面白い意見だったと思いました。確かにそうだよなぁw。

 実際に社内でスタートアップを行っているという方も会場内に2名いらっしゃって、それぞれ現状を話して頂きました。お二方とも企業側から大きくバックアップを受けてのびのびやっていらっしゃる様子が伝わってきます。どちらも大企業なので、資金的に余裕があるというのと、また大企業故に今のうちに新しい種を作ろうとしているんでしょうね。




クロージング


 最後に倉貫さんから、「成功させるにはハートを強く持ち続けること。殆どの人がスタートアップを企業内でやると思うけど、自分の為にやるのか、それとも会社の為にやるのかで大きく異なってくる。失敗してもやりたい事があれば死なない。会社を利用してやる、会社の金をどれだけ使えるか、と考えるくらいが良い。」という言葉がありました。能動的で主体的に動かないと事業を新しく興すなんて難しいことは成し遂げられない、ということなんでしょう。また「社長や役員は同じ会社にいる以上、都合さえ付ければなんのかんの言っても会って話を聞いてくれる。でもベンチャーキャピタルや銀行はそもそも会ってくれない。社長や役員さえ説得出来ないようではスタートアップは難しい。」という言葉も。これはその通りですけど、案外言われないと気付かないもんですね。社長や役員の段階で及び腰になってたら話にならない、肝に銘じたいです。


 和波さんからも「本当に破壊的なイノベーションはリーンでは出来ないと思ってる。そういうのはアートの領域、一部の天才しか出来ない。まずは企業内から。」というお話もありました。自分に出来ることを、自分に出来る範囲で、熱意と情熱を持って取り組んで行くことが大事なんだと思います。



懇親会


 30名くらいの方がそのまま懇親会に参加。こちらもエラい盛り上がってました。どうでもいいですけどこの居酒屋さん、ビールが少なくなると即座に店員さんが注ぎに来てくれるんですよねぇ。えらい高待遇でビックリしました。あと若干飲み過ぎましたw。



総評

 以前参加したDevLoveのリーン・スタートアップ・ナイトは、どちらかというと、全員が本を読んできて、その理解度を深める、という類いの内容だったのに対し、こちらは「本の内容はどうあれ、スタートアップを行うにあたりぶつかる障壁は何か、どうやって立ち向かうか」をみんなで話し合う場だったと思います。倉貫さんというスタートアップの体現者がいらしたことも大きな要因なんでしょう。ディスカッションでも、それほど書籍は話題に上がらず。個人的にはDevLoveの方がややエンジニア寄りで、今回のは企画の方やビジネスの方に向いているのかなぁ、と感じました。


 あと、この勉強会は今回が4回目なのですが、オレ自身はもしかしたら第0回やその前身にあたるイベントに出てるかもしれませんね。渋谷の新南口の雑居ビルみたいなところで開催された勉強会で、発表者もなんも準備してなくて3人が10分くらいずつ話し、後は2時間ディスカッション、という非常にラフなスタイルでした。和波さんもいらっしゃったはず。…元々座談会形式の勉強会自体ノさんかが初めてで滅茶苦茶疲れたのに、直後に今野のG大阪移籍のニュースを見て立ち直れなくなったので、非常によく覚えています。そういえば今回の勉強会は、あのときのそれと非常に形式が似てたなぁ、と思いました。


 個人的に一番印象に残ったのは、倉貫さんの「社長や役員が説得出来ないようならVCや銀行なんか説得出来るわけが無い。」という言葉。当たり前のことなのに、それを完全に見落としていて、それにさえ及び腰になっていたのに気付かされたのには情けない思いがしました。今後は気合を入れ直して、社長ぶっ飛ばす!くらいな勢いで望んで行きたい所存です。押忍!

 



オマケ


 たまたま廊下で見かけた楽天さんの社内標語(?)。これもリーン・スタートアップ的ですねぇ。