レイトマジョリティにみるスマートフォンビジネスのチャンス
レイトマジョリティに聞く、スマートフォンに代えて思った・感じたこと| アクトゼロ|SMMやSEMを中心としたデジタルマーケティング会社
マーケティング用語に、新しい製品やIT技術を一般消費者が取り入れる度合いを示す言葉として「イノベータ 〜 アーリーマジョリティ 〜 ラガード」というものがあります。詳しくはオレがぐぢぐぢ説明するより記事中の解説を読んでもらった方が早いですね。例えば、ですが...
- 初代iPhone(iPhone2:日本未発売)を所有 ... イノベータ
- Google+のアカウントを所有 ... アーリーアダプタ
- Facebookを最近始めた ... アーリーマジョリティ
- Twitterを最近始めた ... レイトマジョリティ
くらいで捉えて貰えればさほど的外れにはならないかと思います。一般的には、アーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間に存在する文化的な壁(「キャズム」と呼ばれる)を超えるとその製品もしくはサービスが爆発的なヒットをする、と位置づけられています。
さて本題。
スマートフォンもめでたく「キャズムを超えた」製品・サービスのひとつとなりました。特にITに詳しくない方でもスマートフォンを持つ時代が到来しています。でもそれってユーザーにとって本当に良い事なんでしょうか?
冒頭の記事はいわゆる「レイトマジョリティ」層に属する利用者・・・31歳女性元ギャル・・・がガラケーからAndroid携帯に移行した際、どのように感じたかを詳細にインタビューしています。
インタビュイーが・・・ええと、IT分野に保守的で社交的な方だったので、明るくユニークなテンポでインタビューが進んでいきます。読み物としても非常に楽しいです。が、それ以上にスマートフォン市場のマーケティング資料として非常に参考になると思っています。
インタビューの主な内容を列挙すると以下の様になります。
- スマートフォンは流行に乗って買った
- ゲームは楽しい、インストールして遊んでる
- 絵文字が可愛くないのが気に入らない
- プリインストールされたアプリを使う、Googleは使える
- YouTubeで邦楽PVを見る
- 画像を資料としてWebから探して閲覧できる(上記記事の場合はネイルアート)
- クーポンとかグルメ情報とかに興味無し、行動範囲に入っていない情報は要らない
- Webから得た情報より友人知人を信頼する
- ソーシャルメディアは利用しない
- Webショッピングに興味ない
- アプリのアップデートをスパムと勘違いする
- 着メロや着うたが欲しいが、PCに繋いで楽曲を入手したりはしない
- もしかして、そもそもパソコン持ってない!?
- 携帯の使い方が分からない時は付属のマニュアルで調べる
- 着メロやDLコンテンツが買いたいが、買い方が分からない
- 買いたいものが買えないから利用料金がガラケーと比べて大幅に下がった
オレは以前から「スマートフォンは使う人を選ぶ」と言い続けていました。目的をきちんと持たないで購入してしまうと、あっという間に使い途を見失ってしまうんですね。事実iPadが日本に入ってきた時には使いこなせず途方に暮れる人が多かった様に思います。図らずもこのインタビューからもそれが証明されました。
が、一方で「ユーザビリティさえ大幅に改善すればレイトマジョリティ以降の層から金をむしり取るのは容易い」ということも証明された記事だと思います。「むしり取る」という言葉は聞こえが悪いですが、上記記事からは「モノは買いたくて買いたくて仕方ない。でも買い方が分からないから使えない。」という状況がよく伝わってきます。条件さえ整えてあげれば、この人物凄くいろんなものを買ってくれるんじゃないでしょうか?iTuneのそれと音質も使用範囲も圧倒的に劣る「着メロ」を、ガラケー使いが倍以上の金を払って購入しているのか、オレには全く理解できなかったのですが、その理由がなんとなく垣間見えたような気がします。
基本的に情報に対して完全受け身なんですが、とりあえず調べる手段として分かり易く与えてあげると自身で調べる努力は出来るようです。であれば、我々が無駄で持ちたくないと思っているマニュアル類を充実させるのも手段の1つなのかも。
どちらにせよ、スマートフォン普及に必要な対策の大半は携帯キャリア会社にゆだねられているようです。となると、Appleに制約されるiPhoneよりは自由度の高いAndroidの方が色々出来る余地が多いんじゃないかなぁ(OSのアップデートとかガン無視でやれば良い訳でw)。我々SIerやサービスプロバイダーは、それらを如何に補助するかが今後重要な鍵になってきそうですね。なんにせよ、日本モバイル業界においては「スマートフォンのガラケー化」は今後ますます進みそうです。
しかしこのインタビュー面白いなぁ。もっといっぱいこういうケーススタディ入手できないかしら。
それでは