ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

5/4(水)、vs東京V、味スタ【東京ダービー】


東京V 0 - 0 FC東京


 3年振りの東京ダービーはピッチ内外共に大波乱の試合となりました。


 試合立ち上がりこそFC東京は順調に攻め上がりヴェルディゴールに迫りますが、徐々にヴェルディ優勢に。FWにロングボールを入れられるとそこを起点に攻撃を構築され、ドリブルでDF陣を切り裂かれ、なんとかシュートを枠内に打たせないのが精一杯、いいように攻められます。前半終盤には最終ライン(FC東京から見れば最前線)からも好き勝手にボールを回されてしまい、完全に試合を支配されました。


 折り返して後半8分、なんとロベルトセザーがシミュレーションを取られ、イエロー二枚目で退場。1人少ない戦いを強いられます。


 ところがここから試合運びは好転、FC東京のペースで展開します。リトリートする事なくしっかりとボールを回し、鈴木達也がドリブルで縦横無尽に駆け巡ると徐々にシュートの本数が増えていきました。おそらくはヴェルディ側が前半ハイペースで飛ばし過ぎて後半バテたことも要因の一つでしょう。しかしフィニッシュが精度を欠き、ゴールにあと一歩及びません。


 アディショナルタイムにはヴェルディGK土肥が負傷退場、交代メンバーを既に使い切っていた為、平本がキーパーユニフォームを着込み、急遽終盤土壇場で10人vs10人の戦いとなります。が、それでも互いにゴールは奪えず、スコアレスドローで試合終了となりました。


 試合に関しては、特に後半、退場者が出た割にリトリートもせず懸命に自分たちのサッカーが出来たんじゃないかとオレ個人は思っています。ただ、ヴェルディ側から見ると「FC東京は引いて守りを固めてた」という印象を持たれています。また一方でFC東京側の選手達も記事を読む限り「ヴェルディは引いて守ってた」と思っているようです。オレにはヴェルディの選手は若干バテたかFC東京の圧力に耐えるのに必死でなかなか自分たちのペースが作れなかった程度にしか見えず、決してリトリートしていた訳ではないと解釈しています。双方が双方とも相手は引いて守ってたと言い、ピッチ外から見ていた素人のオレには双方ともアグレッシブサッカーをやっているように見えました。この辺の感じ方の違いは非常に興味深かったです。


 個別の選手で言うと、退場したロベルトセザーやペトロジュニオール、高松はコンディションもまだまだ、チームにもフィットしていない印象でした。オレの最近のお気に入りの鈴木達也は相変わらずのハイパフォーマンス、できればゴールをバシッと決めてもう一皮剥けたところを一日も早く見てみたいです。あとはこの試合は特に森重の活躍が目立ったように感じました。彼の若さであの上手さはやはり非凡ですね。どうしてもファウルを多く貰う傾向があるので見ててヒヤヒヤするシーンもあるんですが、最終ラインに無くてはならない存在だけに、ファウルには十分気をつけて欲しいところです。





 さて、この試合は冒頭でも記述したように、本当にピッチ外でいざこざの多い試合でした。


 試合開始前には垂れ幕の扱いを巡ってFC東京のゴール裏サポーターと警備員が揉め事を起こしています。随所でサポーター同士(FC東京東京ヴェルディ関係無く)の言い争いが多発しました。
 オレ自身も試合終了時にゴミをピッチに投げ入れた男性と怒鳴り合いのケンカを行ってしまいました。行動を起こしたオレの気持ち自体は正しかったと思いますが、そのせいで周囲の方々、特に子供さんたちを不快にさせてしまったことは大変申し訳なく思い、深く反省しています。

 極めつけはこちらの事件。Twitterでは、サポーターのひとりに警備員が突き飛ばされ階段を転げ落ちた、という目撃情報もありました。公式と噂、どちらが真実とかはあまり重要ではなく、そういうことが起こってしまったというそれ自体が非常に大問題です。それらを「ダービーマッチらしい」という一言で片付けるのは、コアサポーターの傲慢でしょう。


 この試合は東京ヴェルディ主催の試合でした。しかしさまざまな不手際もあってFC東京サポーターにとってはフラストレーションの溜まる試合だったことは間違いありません。入場待機列にはゆうに5,000人以上は並んでいたと思います。にも関わらず開門する箇所が非常に少なく、入場者の列は試合開始でも場外から消えることはありませんでした。また、二階席の開放も遅く、アナウンスも十分になく、食事の販売はほとんど行われず、とても28,832人もの大観客を迎え入れる体制が整っていたとは言い難いです。


 ですが、これは本当に運営側の不備でしょうか?


 確かに運営側にしかどうしようもないことが多数あり、それをコントロール出来てなかったという意味において、東京ヴェルディ運営陣に落ち度が無かったとは言えません。ですが、彼らが最後にこれだけのクラスの観客を相手にしたのはもう3年も前なのです。そしてその間に経営陣も二転三転し、スタッフもおそらくは当時からの人間はひとりもいないでしょう。今までJ2規模の試合運営で最適化を模索し、運営費も少ない中極力切り詰めて試合を運営する為に色々と策を講じてきて、現在の彼らが有るはずです。


 そこにノウハウの全く無い中で突然やってきた2万人規模の大サポーター群。どうしてこんな事態を予測出来ましょう?どうしてまともに捌くことができるでしょうか?


 FC東京は全クラブ中3〜4位の観客動員数を誇るチームです。毎回平均2万人程度のサポーターを集められるチームは、全国広しといえども殆どありません。そのチームが突然J2に落ちてしまったら?J2では5,000人集めるのがやっとのチームが殆どで、2万人超えの観客動員数はほぼ未知の領域のはず。そういう経験しかないチームが「FC東京という異物」を相手にしなくてはいけないというのが、どれだけ過酷か、おそらくFC東京のサポーターには永遠に分からないのでしょう。だからこそあんな汚い言葉でヴェルディ運営陣をののしることが出来たのです。オレには正直、東京ヴェルディの運営陣を責める気にはなれません。オレが運営サイドだった場合、上手くコントロール出来た自信は皆無だからです。これがもし回避出来たとすれば、各チームを渡り歩いてきた辣腕マネージャみたいな人か、よっぽどの天才だけでしょう。それを「仕事だから、プロだから出来て当然」と訳知り顔で言う人には、想像力の足りない方だと哀れみの目を向けずにはいられません。


 これは、はっきり言ってしまえば「FC東京というビッグクラブがJ2落ちするという多大な罪」によって起こった悲劇です。そして、同じホームスタジアムがゆえにFC東京主催の場合とFC東京サポーターの動員数が全く落ちない、という特殊なシチュエーションにあった「東京ヴェルディのみに起こり得る悲劇」でもありました。


 FC東京のチーム&サポーターは、FC東京をJ2に落としてしまった、FC東京という異物がJ2に入り込んだ、それ自体が多大な罪だということを常に念頭に置かなくてはいけないでしょう。J2にとって「FC東京」はそれまでの基盤を崩す害に他なりません。「だから早くJ1に昇格を!」とか言い出すアホもいるかもしれませんがそれは放置するとして、今後どうやって「J2と共生していく」かは、当面のテーマになるはずです。



 余談ではありますが、オレ個人は東京ヴェルディというチームを、それほど敵視していません。ライバル視はしていますが、それは多摩川クラシコを共催する川崎フロンターレに持つ感情と殆ど同じです。
 もちろん、Jリーグ創設から今に至るまでのヴェルディというチームのやってきたことは知っていますし、それには少なからず怒りを覚えます。ですが、それはあくまで「読売新聞」と当時のヴェルディというチームに対してであって、読売新聞らの負債と贖罪を背負わされてなお懸命に彼らのサポーターの為に奮闘する現東京ヴェルディの経営陣やサポータに対してはそんな感情は毛頭なく、むしろ応援したいとさえ思っています。


 ダービーマッチはお祭りです。そのお祭りを盛り上げる演出は必要ですし、それには喜んで便乗しますが、過剰な態度を見かけると、正直良い気分がしないのは事実です。気に入らなければ反目もするでしょう。他のFC東京サポータがどうかは知りませんが、オレはこの姿勢は貫きます。