ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

伝説の麻雀の鬼は真面目で共感できる人だった。 ・・・人を見抜く技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「人間観察力」 (講談社プラスアルファ新書) 桜井章一著



 ここ数年電車の中ではiPhoneにうつつを抜かしててちっとも本を読んでないので、今年はちゃんと本読もうと思っています。ビジネス書、技術書、小説問わず。まぁ毎回書評まで書くかどうかは分かりませんが。
 で、最近読んでいるのが上の本です。2009年出版と2年ほど経ってしまっているのですが、読んで非常に面白かったので紹介。


 「雀鬼」こと桜井章一氏は、裏世界の麻雀打ちとして名を馳せた勝負師、なんと引退までの20年間を無敗で貫いたそうです。きちんと桜井氏について調べてないので闇の麻雀打ちってどんなものか想像が着きませんが、やっぱりヤクザの代打ちとかそんな感じなんでしょうか、きっと大金どころか命がかかってたこともあるんじゃないかと勝手に想像したり・・・。
 今から10年以上前の学生時代、フリーで打ちにいくわ麻雀雑誌は山ほど買って研究するわアンタ何で生計立てる気だ!?と日々周囲からツッコミを入れられる様な麻雀にすげーハマっている先輩がオレの周りにいたんですが、その人から借りた(無理矢理貸してきた)雑誌で「雀鬼伝説」とかいうような名前で漫画化されてたのが桜井氏を知るきっかけでした。。


 オレはその彼自身の半生よりは彼が引退後道場(「牌の音」という雀荘)で教えている「雀鬼流麻雀」の方に興味があったんでですけど、これが凄くしばりが多いんですね。

  • 第一打字牌切り禁止
  • 聴牌(テンパイ)までドラ切り禁止
  • 引っ掛けリーチ禁止
  • 長考禁止
  • etc...

とまぁ麻雀なのに禅僧の修行か!?というくらい「欲」を抑える打ち方を教えてるんです。桜井氏は道場で「牌の捨て方」を真っ先に教えるとのこと。捨て方に欲が出る、だからそこから鍛錬するんだそうです。でも実際のところ禅僧の修行と同じなのかもしれないな、と思わせる内容がこの本の中にはありました。


 「闇の麻雀打ち」なんていう一般とかけ離れた生活を20年以上していたのに、本の中にはごくごく人として当たり前の、真っ当な人間としての心構えがつらつらと書いてあります。確かにそれは普通の当たり前のことばかりなんですけど、言葉の選び方や切り口はさすが雀鬼、普通の人の感性とは一風変わった、鋭く、常に瀬戸際にいたことを感じさせる内容です。その上で、「人には必ず癖が出る」「心の動きは体の動きで分かる」と機微を見逃さない心得のようなものが書かれています。勝負師として生きてきた氏の鋭い洞察が、日常にまで深く及んでいることが良く分かります。


 麻雀に興味のない方は敬遠されるかもしれませんが、文中には日常を麻雀に例えることが多少有る程度で誰にでも分かり易く書かれています。新書でサイズも小さく、そんなに厚い本でもないので是非ご一読を。