ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

“萌え”は疲弊したIT業界を救うかもしれない

はじめに


 みなさん、けいおん!!見てましたか? 先週の放映分で唯たち軽音部4人の卒業を以ってけいおん!!の物語はお終い、あとは2回の番外編を残すのみとなりました。最終回のあずにゃんの涙に心を鷲掴みにされた大きなお友達も多かったんじゃないでしょうか*1


IT業界の抱える病巣

 話はいきなり変わりますが、昨今のIT業界は精神に疾患を抱える人が他の業界に比べて非常に多いそうです。一説には業界に従事する人の10人に1人がうつ病の傾向があるとか。SEやPGなんかは始終PCの前に座って運動不足になり心と体のバランスを崩し易いし、納期には常に苦しめられ無理な要求を押し付けられ生活も不規則になり、心のゆとりが無いから対人もギスギスし出して更に精神を圧迫する。負のスパイラルから精神ダメージを受ける、それが体に影響を及ぼして体調を崩すのも良く分かります。
…自分で列挙しといてなんだが、ロクでも無い状況だな。


 オレもこの業界で10年近く飯を食っていますから、そういう人間を何人も見てきました。実際、自分の周囲でも心を病み、こころなしか以前より俯きがちな背中で去って行くのを見送ったのも1人や2人ではありません。これから語るのも、オレの周囲でそんな病を抱えてしまった1人のお話です。

とあるA君のうつ病物語

 この話の主人公、仮に「A君」としますが、彼も心のバランスを崩した1人でした。元々勤怠的にはだらしない方ではありましたし、彼の従事する案件も非常に多忙ではあったのですが、秋も深まり冬将軍の足音も聞こえてきそうなある日、突然仕事に来れなくなりました。朝起きられなくなり、会社に行く為に家を出ようとすると玄関で冷や汗が止まらなくなったそうです。当時彼と面談した責任者は「今まで見たこと無いほど青白い顔色をしていた」と言っていたと伝え聞いています。


 この状態になってしまうとそのまま退職となるケースが多いのですが、彼は会社の在籍をとても強く希望し、会社もそれに応え、かくしてA君は3ヶ月の休職に入る事となりました。


 そこからの周囲のA君へのサポートは目を見張るものがありました。直属の上司、案件の責任者、会社の同僚、ことがあろうが無かろうが頻繁にA君に連絡を入れ続けました、もちろん彼のプレッシャーにならないよう細心の注意を払って。オレも他の数人巻き込んで週一くらいのペースでネタメールを送ってたと思います。一番驚いたのが直属の上司*2。普段の仕事中は能面のような顔して声の抑揚無く話すのでロボットみたいで周囲から「話しかけるなオーラが酷くて声かけづらい」と恐れられていた彼が、A君の為に「今朝たまたま桜の木を見たら随分と蕾が膨らんでいました。春ももうすぐですね。」みたいな季節のメールをしたためていたのです、それも一通や二通ではなく、何通も。これにはみんなビックリ!


 そしてA君は復職しました。ただし、そんな周囲の温かいサポート一切関係無しに、自分で勝手に心の健康を取り戻して

治療薬は「アイマス」だった


 「THE IDOLM@STER」というゲームをご存知ですか? 詳細は以前別に書いた事があるので端折ります。A君はニコ動に無数にあるアイマス関連動画、通称「ニコマス」が好きだったのですが、休職中の有り余る時間のほぼ全てをそのニコマスにつぎ込み、動画を見まくってたそうです。結果としてよりニコマスにハマり、またタイミング良くPSP用ソフト「アイドルマスターSP」が発売されてプレイしまくった事で、心の支えと栄養をとりもどし、完璧なアイマスオタク…、じゃ無かった、プロデューサーへと変貌して会社に帰って来たのです。
 …オレも大抵の事には驚かないつもりでいましたが、さすがにこれには唖然としました。つーか呆れた。


 職場復帰したA君は、会社の配慮もあってリハビリ期間を設けながら徐々にSE・PGの仕事に戻り、半年後には案件に本格復帰して顧客会社に常駐出来るまでに回復しました。良かった良かった。


検証

 さて、今回のケースから仮説を立ててみます。

「何かに夢中の人は心が折れにくい」

 「何かに夢中な時、心は傷付かない」という格言があったと思います。熱中出来る何かがあればそれを支えに生きて行ける。「今はしんどいけど、週末になれば◯◯◯がある」「仕事は忙しいけど家に帰れば◯◯◯があるからその為に睡眠時間を削ったくらいじゃビクともしない」みたいなのは誰でもあると思いますが、夢中になる、熱中している状態なら多少のことじゃ心は疲れないようになります。対象は十人十色、多種多様ですが、それがアニメやゲームであっても同様でしょう。

「“萌え”がうつ病対策になる」

 A君はアイマスで心の平静を取り戻しました。2言目には「やよい〜!」だの「貴音〜!」だのとウザいヤツになりましたが、それを除けば心身共に健康になったのは間違いありません。


 ギャルゲーにせよアニメにせよ、萌え系コンテンツには2つの要素があると思います。


 1つは熱、そのコンテンツ自体に対する中毒性と言っても良いかもしれません。話が面白い、魅力的だ、絵が綺麗、迫力がある、そういった人を惹きつける要素が人を高揚させ夢中にさせるのだと思います。夢中になれば心は傷付かない、これは前述の通りです。

 もう1つは愛、恋愛要素。コンテンツに出てくる異性に消費者が恋をし、キャラクターの一挙手一投足に魅了される。

 恋って、凄いパワーですよね*3。好きな相手の為なら信じられないないような力が出て、無理難題にも挑む事が出来る。うつ病なんか吹っ飛ぶも道理です。それをコンテンツの中のキャラクターに適用したらどうなるでしょう?


 例えばオレはFC東京中日ドラゴンズを愛してやまないですが、かと言って今野や岩瀬に恋してるかと言えば、そんな事は断じてありません。女性ならまた違うのでしょうが。

 恋人や家族は生きる支えや頑張る理由に当然なります。が、逆にプレッシャーになる事もありますし、生身の人間故に自身の意思や行動がこちらの行動や想いを阻害する事もあるでしょう。


 ところがコンテンツ内のキャラクターを彼女にしようが嫁にしようが、基本的には消費者の妄想の中で完璧にコントロール出来ます。好きな時に甘えてくれ、好きな時に叱ってくれる。イマジネーションの中ならセックスだって出来るでしょう。こんな都合の良さは生身の人間にはありえません。まさに次元を超越した存在です。


 萌え系コンテンツには、心を支える「熱」と「愛」、両方が備わっている、と言えるのかもしれません。それがアイマスだろうがけいおん!!だろうがラブプラスだろうが。


仮説まとめ

 まだオレの中でもケーススタディが1件しかない状態ですが、敢えて断言します。


萌えはうつ病を救う



→ 「萌えはIT業界を救う!!」*4










結論

 お前らアイマスやろうぜ!!*5








後日談

 ちなみにその後、A君はすっかり精神的には健康を取り戻して立派にPG・SEとして勤め、本物のプロデューサーを目指すべく会社から大きく羽ばたいて行きました。めでたしめでたし…って、(・3・)アルェ〜? *6

*1:やー、あん時のTwitterのTL「あずにゃああああああああん!!!」しか無かったモンなぁ…

*2:オレの上司でもあった

*3:オレ自身はここ数年とんとご縁がございませんが…、orz

*4:この薬の効き目には個人差があります。人によっては全く効き目の無い場合もございます。予めご了承ください。また、摂取のし過ぎは大変危険ですので、用法・容量を守って正しくご使用ください。

*5:オレはやんないけどな!! ←まさに(ry

*6:勿論冗談です。A君は結局色々と上手く行かず、その後一年半くらいで退職となりました。…みんな頑張ったんですけどね、なかなか上手く行かないもんです。ブコメを頂いたのでちょっと追記すると、退職理由はうつ病とは関係ありません。治療はまだ続けているようです。