ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

景気は本当に悪かったのか…。営業会議から見えたIT業界とホームレスの距離

前回のエントリーでも書きましたが、1/31(土)は会社の「四半期営業報告会議」でした。その名の通り、四半期に一度、営業状況を報告する会議で、休みにも関わらずこの日は各部署の長は強制的に出勤となるわけです。それは社内で一番小さなグループを任されているオレ(「マネージャ」という役職。他の会社の「課長」に相当)も同様。


会社の組織は
本部 ― 事業部 ― グループ
という組織構成になっていて、四半期営業会議では事業部単位で報告を行います。本来はオレのレベルであれば「自分のグループ分を書いて終了」のはずなんですけど、今回の会議で使う報告書の作成に関しては事業部分の取りまとめも上司(「事業部長」他の会社なら「部長」に相当)に一任され、普段より手間が大分増えたわけです。まぁそれまで担当案件がヒマだったから、勉強と考えれば任せて貰えるのは有難いので二つ返事で引き受けました。


途中、風邪で自分が一週間ほど使い物にならなかったり、自分の担当案件で障害が発生して対応に追われたり(しかもまだ解決してない)、と色々と不利な状況下で報告書作成は進められ、途中、上司にドラフト版が全否定されたり、Try & Errorのために出向(?)先の定時後に自社に戻って終電まで報告書に取り組んだり、他のグループの分までオレが書かなくちゃいけなかったり(案件が忙しくて戻って来れねぇとよ、ハッ)、やっと上司のチェックを通って完成したと思ったら翌日「後から読み直したら文章のニュアンスが気に入らなかった」とかで全部上司が書き直しちゃったり。゜。゜(ノД`)゜。゜


まぁ若干の苦労もありましたが、ともかく無事に完成し報告もつつがなく終わり、その後の打ち上げに繰り出すことが出来たわけです。



で、本題。


会議中に営業から、社員とパートナーさんの今後着任できる案件の見込みが報告されたんですが、これがあまりにも酷い。今月はかろうじて数人が「空き」状態で収まっているんですけど、これが4月になると、もしこのままで行けば、なんと89人、つまり

社員の2/3が仕事がなくて待機要員になってしまう

という壮絶な地獄絵図の近未来が待っている、という内容でした。


今回の不況が無くても、毎年3〜4月は仕事が少なくなる傾向があるようです。大体の企業はこの時期に決算期を迎えるので、直前まで来期の開発が見えないものなんだそうです。ただ、今年に関して言えば、それを差し引いても仕事が無さ過ぎるとのこと。
この辺の話はニュースとかではオレも聞いたことがありました。ITは作り掛けで放置する訳にはいかないので、始めてしまったらとりあえず最後まで作らなくちゃいけない、でも新しく予算を組み直した時に、システムに対して新しくシステム投資を考えるかと言えば大概の企業は「No!」を選択します。それゆえ、IT業界の不況は他より遅く、決算期を過ぎた3月終わり頃から本格的に始まる、と。


単純に一人にかかるコストが100万円/月だとして、89人なら一月で8,900万円、半年で約5.4億円。私の所属する会社も、もちろん内部留保は用意しているでしょうけど、この人数を長期間支えることはどう考えても無理です。もちろん、実際には4月までにもう少し案件の確保が出来るでしょう。それでも空き要員が増えてしまうことは不可避。この状況が続けば、…答えは明確です。社員のほとんどが路頭に迷うことになるでしょう。今まで会社では「リストラ」の「リ」すら出たことは無く、他人事だと思っていたかったんですが、この時に急にリアリティを帯びて自分の両肩にのしかかってきました。

それ以前の各事業部からの報告も、軒並み「計画に未達、今後も挽回は厳しい」というものばかりです。会議の議題も「どうやったらこの不況を乗り切れるか?」という、なんとも発展性の乏しい会話に終始することになりました。あ〜、やだやだ。


で、この話は会議終了後の打ち上げの場でも再度展開されました。営業担当からはいかに仕事が無いかが切々と語られ、事業統括(他の会社の「本部長」になるのかな?兼取締役な人)からも「なんか良いアイディア無いの?」とお願いされてしまう始末。オレはこの不景気の中でもあまり関係の無い会社に出向(?)しているのでその辺の空気が伝わってなかったんですが、思った以上に事態は深刻なようです。


打ち上げに同席した年配の人にはバブル崩壊を経験している人もいて、当時がいかに酷かったか、現在のIT業界に流れる空気がいかに当時に似ているか、を酒の勢いもあって熱く語る人もいました。彼曰く「今後みんなみたいな若い人が体験したことの無い酷い時代がやってくる。それに耐えるには、いかにプライドを捨てられるか、泥水すすってでも生き残ってやるんだ、という姿勢が大事だ。甘えはさっさと捨てろ」とのこと。
それに対してオレや一歳年下の副事業部長(他の会社だと「部長補佐」?)は、「かといって単価下げたら不況から復活したら苦しくならないっすか?」「なんでもかんでも手を出して専門性を失うのって、危険じゃない?」とブランドを意識したことを言ってみたりもしました。オレら世代は確かにバブルの隆盛も衰退もこの目で見てきましたけど、幼すぎて実体験として何も残ってないんですよね。なので、現在の延長でしか物が言えません。年配の方からすれば、それは非常に甘っちょろく見えるのだと思います。


まぁいくら真剣になろうと、酒の場でこの問題が解決することは無いわけで、結局のところ具体的な解決も無く話題はだんだん別のテーマに逸れていきました。


このテーマは以前からオレの直属の上司が取り組んでいました。EAIの案件は、オレの所属会社では珍しくユーザーと直接契約が出来る傾向があるんですが、開発自体が小粒で短期なものが多く、「一人=一案件」というセオリーどおりの体制で、開発のみを請け負うことを考えているとちょくちょく隙間が出来る危険があるのです。なので、できるだけ1ユーザー企業と細く長くお付き合いできるようなサービスを考えたり、5〜6人で案件を複数、平行進行できる層の厚い体制作りを目指しています。これは不況対策としてもなんとなく有効なような気がします。


あとは、ユーザー企業から探しやすい、声の掛けやすい状況を作ることだと思っています。
できるだけ露出を多くして、目立つようにしていくこと。株式会社ディノという会社がありますが、ここは自分たちの社内の勉強会の内容を動画やブログで積極的に社外に公開しています。外から見たら「自分たちはこの技術分野に自信がある」と言っているようにみえるんじゃないでしょうか? 実際はどうか分かりませんが、公表している技術内容を見て、ユーザー企業が声をかけてくれることは、十分予想できると思っています。
ならば、オレらもそれをやってみたらどうか? レベルはともかく、社内の勉強会はぼちぼち行われています。これを発展させて社外に公開できるようになれば、それほどコストをかけずアピールできるんじゃないかと思います。


オレで思いつくのは結局のところ、この程度です。即効性のあるものは何一つ思い浮かびませんでしたし、結論としては
「今やっていることをちゃんと頑張れ!」
という、ありきたりなものでしかありません。ただまぁ、オレは自分に現場営業が出来るとも思ってないので(過去に失敗経験有)、今まで以上に会社の中での技術方面の向上と人心掌握につとめていくしかないんだろうなぁ。不況対策、とか言い出すと負担ばっかりでしんどいだけなので、今まで通り「面白いことをやるため」に、と楽しんでやっていきたいとは思っています。