ミッションたぶんPossible

どこにでもいるシステムエンジニアのなんでもない日記です。たぶん。

FC東京のシャトルバスに見た当事者意識を確認することの難しさ

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 先週日曜は雨の中、味の素スタジアム(以下「味スタ」)にJ1リーグ FC東京 vs 北海道コンサドーレ札幌の試合を観に行きました。まぁシーズンチケット持ってるんで、対戦相手や天気に関わらずFC東京の試合は必ず観に行ってるんですけどね。


 通常、雨天だと観客動員数は激減するんですが、この試合はJ1の2位と3位の直接対決。ロシアW杯中断前の天王山です。さすがに晴れの日同様とは行きませんでしたが、それでも24,000を超える観客が駆けつけました。内容は非常に緊迫しチャンスも多かったものの、結果はスコアレスドロー。首位:広島に大きく水をあけられる痛い引き分けとなりました。


 さて、本題は試合後の話、スタジアムからの帰路の話です。FC東京のホームゲームではいくつかの最寄り駅までシャトルバス(有料)が運行されます。我々もいつもの武蔵小金井駅行きのバスに乗ろうとしたのですが、我々が列の最後尾に並んだ直後から、最後尾の更に後ろで係員(バスの運転手と同じ制服)らしき恰幅の良い男性が大声で叫び始めました。


このバスは只今並ばれている方で満員です。バスの運行台数が限られるため、並ばれてもこれ以上お乗りになれません。
中央線(の駅)に向かいたい方は小田急をご利用下さい。


 バスの台数が限られる、だから全ての客を乗せることはできない。これはまぁ理屈としては分かります。

 好天であれば味スタまで自転車や徒歩で来場する人も沢山います。オレ自身も普段は自転車です。その人たちは、この雨天ではシャトルバスに頼らざるをえないでしょう。
 加えて、味スタは観客席すべてが屋根に覆われているわけではないので、雨天だとどうしても観客動員が通常より1万人程度減る傾向にあるんですが、この日の試合は上位攻防戦、観客数が好天時とそれほど変わらなかったのです。

 結果、シャトルバスが予想していた運行台数では足りなくなってしまった。上位対決の経験の少ないFC東京では、こういった事態の予測を立てづらかったのでしょうね。まぁしゃーない。




 問題は「中央線(の駅)に向かいたい方は小田急をご利用下さい。」の方です。なんのこっちゃ? この案内の意図を理解できず、係員に聞き返している人を何人(何十人?)と見かけました。

 味スタの最寄り駅は飛田給駅、もしくは西調布駅で、どちらも京王線です。となるとシャトルバスではなく路線バスのことを指しているのでしょうか?


 答えは、これから我々が乗ろうとしているバスにありました。よくよくバスの車体を確認すると、「京王バス」と書いてあったのです。なるほど、そういうことか。


 FC東京の試合終了後に味スタから発車するバスは、西武多摩川線の多摩駅行き、中央線の武蔵小金井駅行き・武蔵境駅行き・三鷹駅行き、吉祥寺駅行き、そして小田急線の狛江駅行きです。これらの殆どは小田急バスによって運行され、ここ数年で新設された武蔵小金井駅行きだけが京王バスが運行していたのです。(※多摩駅行きは小田急・京王の平行運行らしい)
 件の係員が指す、「小田急」とは、その他のシャトルバス……しかも、武蔵小金井駅の次に最も西の中央線駅の武蔵境駅行きに乗れ、と言う意味だった、ということなんでしょうね。




 この話の問題点は、「件の係員の当事者意識がどこにあるか」だと思っています。ご自身は京王バスで働いており、京王バスの係員として味スタのロータリーに立っている。そして京王のバスは武蔵小金井行きだけで、このバスが満員で乗れないなら他のバス=小田急のバスに乗って欲しいとアナウンスする。それはまぁ彼らの立場からしたらそうでしょう。
 でも、観客にその認識はありません。バスの運行をしている会社がどこかなんて欠片ほども興味が無いんです。FC東京のホームゲームを観に来て、FC東京の用意したシャトルバスに乗るのですから、すべてひっくるめてFC東京です。なんならその係員まで含めて「FC東京のスタッフ」だと思っている可能性すらある。それは今回のバスの係員に限らず、青赤横丁に露店を出している人もそうでしょうし、ビールの売り子なんかもそう思われているんじゃないでしょうか。


 だから件の係員も「今だけはFC東京のスタッフだ」「あっち(武蔵境行きのバス)もFC東京なんだから、その立場で分かる説明をしないといけない」と意識してなくちゃいけなかったんだと思います。極端に言えば「他のシャトルバスをご利用下さい」とだけ言えばよかった。ただ、元々の自意識(=京王バスの社員)が強すぎたために、「小田急」という案内をしてしまったのでしょう。




 今回の件は、事前の申し合わせ等、本当にちょっとしたことで防げただけに、とても残念だなぁと思いました。
 と同時に、ある程度訓練してないと、都度立場を意識してその通りに振舞うのは結構難しいことなのかな、とも思いました。オレのような客先常駐の多いシステムエンジニアだと、その都度名乗るべき社名や看板が変わったりするので、都度立場を確認してから行動するのは当たり前だと思ってたんですけど、そういや普通の会社に勤めてる人にはそんなことはないんですよね。なかなか勉強になりました。




 余談ですけど、この武蔵小金井行きのバス、実はまだもう1台残ってたりとか、その後駅まで送り終えた後のバスがもう一回味スタに戻ってくるなどして増便したらしい(バス運転手の無線に聞き耳立てた)とか更に色々あったっぽいですけど、まぁこの辺はイージーミスの範疇ですし、しゃーないっすね。ちょっとずつ改善点を積み重ねて、良いスタジアム体験が提供出来るクラブになってくれればいいなぁ、と思います。

 強く、愛されるチームをめざして。

大学の先生を招いて法律に関する座談会を開催しました。

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はじめに

 4/29(日・祝)に四谷:HRインキュベーションをお借りして、法律に関する座談会を開催しました。今回は国士舘大学の法学部で刑法を中心に研究・教育されている方にお願いをして、その方に参加者が好き勝手にフランクに質問する、という形式で開催しました。



動機

 元々、この大学教員の方(以後「先生」と呼称)とオレは、とあるバーの常連で、飲み友達です。先生は法学部で法律、特に刑法の運用を専門に扱っています。もちろん大学の先生なんで、大学の運営自体にも深く関わっています。たまにバーでバッタリ会っては、彼から直近テレビを賑わす事件の見解を聞いたり、または大学運営の仕事の愚痴を聞いたりするのが、オレの楽しみの一つでした。

 つい先日バーで会うと、先生はいつになく疲弊している様子。話を聞くと、どうも仕事が上手くいってないとのこと。書いている論文がお師匠さん(=教授)からダメ出しの連発でほぼ書き直しになったり、新入生の迎え入れで面倒な雑用が押し寄せたり、出たくもないゼミで学生のへたくそなプレゼンのレビューをやらされたり、改心の準備をした授業で学生が堂々と居眠りしたり。う~ん、大学の先生ってのは大変なんだなぁ。

 話を聞いていると、体力的にしんどい、というよりは、精神的な疲弊感が強いように感じました。どうにか気分転換できないもんだろうか? お酒は今まさに飲んでいるので、それ以外の方法で。


 そこでオレから、ふと思いついた企画をその場で持ちかけました。「いつも大学の講義でやっているような話を、もっとフランクな形式で、社会人相手にやってみませんか?」と。単位目的の学生と違い、社会人……というよりは興味のある人を呼べば、学生より熱意を持って話を聞いてくれるはず。きっと教える事に対して気持ちよく臨んでもらえるのではないか。また、論文で煮詰まっているようだったので、好き勝手自分の話したいことを話す場があれば、喋りながら新しい発想が出てくるんじゃないか。そこまで行かなくても気分転換にくらいはなるんじゃないか。そんな風に考えたのです。


 その案に先生もその場で快諾してくれたので、発案から5分で開催確定しました。話が早いと気持ちが乗るってもんです。



前日までの準備

 企画がスタートした晩の翌朝、オレの友人の中から刑法……というよりは、猟奇殺人とかサイコパスとかに興味のある2人をピックアップし、「こういう企画を考えてるんだけど、興味ある?」と聞いてみました。簡単なユーザーインタビューのようなもので、同時に最低限の参加者(=ユーザー)の確保するための作業でもあります。2人とも即座に「ぜひ参加したい!」と言ってくれたので、改めてこの企画にGoを出しました。


 続いてイベントの立て付けを決めます。

 オレは最初、超小規模でやるつもりだったので、先生+オレ(企画者)+賛同してくれた2人+α、せいぜい4~6人程度での座談会を考えました。この人数なら温泉にでも行って合宿方式でやっても面白いかな、と思いましたが、さすがに初対面同士でそれはやりすぎだろ、と思いなおし、個室の居酒屋で飲みながら座談会(ディナーショー?)の形に、と考えました。

 ところが、そのアイディアを打ち明けたところ、賛同者の一人が「せっかく貴重な機会なのにお酒飲んだら忘れちゃう!お酒飲まないで話を聞きたい!でも酒は飲みたい!」とか訳分かんないこと言い出します。飲みたくないけど飲みたいって、なんだそりゃ?

 しょうがないので、会自体を二部構成にし、第一部をノンアルコールの座談会、第二部を居酒屋での懇親会としました。まぁ無難ですね。二部構成にした都合、平日開催は不可能なので、土日祝日に候補日を絞る事になりました。

 せっかくリフレッシュしてもらうつもりの企画なのに、かえって疲弊してしまうことになってしまうのは本末転倒なので、先生には真っ先に「準備コスト0で!」をお願いし、イベントのために特別に準備はしないで欲しい旨を伝えました。とはいえ、大学の講義用に作成済みの資料が既に沢山あったので、そちらは権利的に可能な範囲で使用をお願いしました。

 座談会内の話題は事前にFacebookで非公開イベントを作成し、参加者から聞きたいことを予め書いて貰うようにしました。先生とイベント当日までに何回か対面で(※正確には、バーのカウンターに並んで)打ち合わせを行い、参加者の希望を眺めながら、どんな順番でどんなテーマを扱うかを決めていきました。

 第一部の座談会は5時間と長丁場なので、参加者から1人1,000円ずつ徴収し、お菓子とドリンクを用意することに。余ったお金は、懇親会時の先生の飲み代(=イベント登壇のお礼)とさせてもらいました。


 その次に日程の決定。まず先生の空き日程を聞き、その中から賛同者とオレの予定を調整。すったもんだの末、開催日を4/29(日・祝)に確定しました。
 合わせて会場探しも実施。これは元々ツテがあるHRインキュベーター(=オレの古巣の関連会社)の担当の方に相談すると、二つ返事で快諾をもらえました。この会場は就活生向けのラウンジがあり、ホワイトボードや50型超のディスプレイもあるため、設備にも不足無し。念のため立会いで社員の人にも1人イベントに参加してもらって、会場周りは万全の状態。


 ここで大問題が発生します。
www.itmedia.co.jp
 これの体験会に、オレが当選しました。しかも座談会イベントと日程・時間が丸かぶりな形で。


 初音ミクが大好きで、俺妹が大好きで、社長の武地さんとも何度かお話させていただいたことがあって、Gateboxもずっと応援してて、何度も何度も体験会に落選し続けて、やっと当選したのに!まさかの座談会イベントとの日程かぶり……orz
 座談会は調整に苦労した挙句の日程決定だったので、今更変更するわけにもいかず、企画発起人が欠席するわけにもいかず。血の涙を飲んで体験会への参加を断念しました。人生でこれほど自分のたしない幸運を呪ったことがあろうか!いや、無い!!


 最後に参加者募集。権利関係も若干あったので、イベントは非公開扱いとしました。そのため参加者の募集も口コミONLY。10人前後を上限と想定していましたが、日程がGWど真ん中とあってなかなか難儀しました。結局、賛同者の多大な協力もあって10名の方が参加してくれました。



当日の準備

 当日はお菓子とドリンクの買出し、事前に参加者から貰っていた質問の印刷(A4用紙に1つ一枚ずつ書き出して会場の壁に貼った)、若干のレイアウト変更くらいです。



第一部:座談会

 座談会中は殆ど先生が話の流れを作ってくれました。オレは一応司会進行という位置づけではあったんですけど、さすが普段から教鞭を取られているだけあって、オレの出る幕は殆ど無し。休憩時間等にちょっと気を使う程度で、後は他の参加者と同様に先生の話を楽しませてもらいました。



第二部:懇親会

 会場近くの居酒屋を懇親会場としました。いやぁ、さすがGW、全然店が開いてない(そもそも開店してない & 開いている店が少ないから客が殺到している)から、予約するのに苦労しました。(※予約したのはオレではなく後輩。多謝。)
 座談会からの流れの話もありましたし、先生の趣味が「怪談集め」だったので、その辺でも話が盛り上がりました。こわいはなしたのしいよねぇ(白目。


感想

 参加者や登壇者である先生の話を聞く限りでは、予想以上の大成功でした。

 参加者側からすると、やっぱり先生の話がバツグンに面白かったです。もちろんコンテンツの主旨=刑法の話自体が非常に面白く、自分たちの知らないことばかりでした。今回の機会が無ければ

  • 刑務所に入るのは確率だけで言えば東大より難しい
  • 食い逃げは詐欺罪
  • 刑務所が通常の福祉施設よりはるかに高いコストを払って福祉施設化している
  • etc...

なんてことは知りえなかったと思います。本来刑法はかかわりがあっては困るもので、でもメディアからは犯罪やトラブルの溢れるほど流れてきて、なんとなく身近なようなそうでないような法律であり知識でしたが、こうやって改めて専門家から話を聞くと、なるほど間違って憶えている部分が多々あったり、自分とそれほど遠くない存在なんだなと気付くことができます。
 参加者が前のめりで聞き、ガンガン質問していく様子を見ていると、自分だけじゃなくてやっぱりみんな興味のある話なんだな、と改めて確認することが出来ました。
 今回は、TOKIO山口メンバーの事件や経産省の事件といった、新鮮な時事ネタもテーマに挙げていたこともあって、適度にゴシップっぽさも出してフランクに話を楽しむことができたのが大きかったと思います。


 一方で登壇者である先生から感想を聞くと、「こんなに意欲を持って聞いてくれた聴講者は久しぶりだ。」と嬉しそうに語ってくれました。
 学生はどうしても単位目当てや就職までの通過点として大学の講義を受けていることがあるので、出席しない・寝る・ろくに聞いてない・理解していない、なんてことはザラだそうです。また、普段は大教室で100人単位で相手をしているので、ひとりひとりに細かな質問を受けたり返したり、といったことができないのだそうです。

 そこへいくと、今回の参加者は休日を割いて、小額ながらお金を払ってまで先生の話を聞きに来た人たちです。スタート時点からやる気が全く違います。人数も10人と少人数で、座談会という立て付け上、いつでも気軽に疑問点を質問することができ、即座にリアクションすることができる形式でした。「話が四方八方に飛んでしまって全体として分かりづらかったかもしれない。」と座談会後に先生は言っていましたが、結果参加者が一番聞きたいことが一番聞きたいタイミングで聞けたと思っており、個人的には非常に良い形で場を築けたんじゃないかと考えています。

 また今回の参会者は全員が20代後半~40代の社会人で、学生の倍以上の人生経験があります。その経験から考察して質問をしていることもあって「みなさんの質問が学生よりも鋭く深く、僕としても非常に勉強になりました。」と言ってくれました。そういう効果はオレは想定していなかったので、嬉しい誤算ですね。

 実は昨晩もバーで先生に会ったんですが、本当に楽しかったらしく「ぜひまたやりたい!今年中にもう一回やりましょう!」と言って貰えました。イベントを企画・開催してここまで喜んで貰える事はまずないので、本当に嬉しい限りです。(あやせの尊い犠牲は無駄にはならなかったんだ……)


 オレ自身が得たものも非常に大きかったです。

 オレが先生から聞く話はどれもとても面白くて、この話はきっとオレ以外が聞いても面白いはずだ、とずっと思っていました。だからこうやってそれが実現できたことが、そもそも何よりも嬉しかったです。イベント企画の動機は色々冒頭に書きましたが、結局のところ、オレはオレのすごい友人を自慢したかっただけなのかもしれない。

 先生はたまたま大学の教員で刑法のスペシャリストで、出会ったのはバーカウンターの前でしたが、この年で独りフラフラと生きていると、先生に限らず、面白い人に本当に沢山出会います。自分なりの処世術を取得し、自分の仕事に誇りを持ち、その人でしかありえない体験を積んできている。そういう人たちは普段の生活では「普通の人」なんだけれど、スポットライトを当てて改めて確認すると、実は自分では想像もつかないような別分野のスペシャリストだったりします。そういう人たちの話を聞くのは本当に楽しいですし、何か機会があればその人たちの話を他の人にも紹介したい、といつも思っていました。


 そういう「隣のスペシャリスト」に出会うたびに、普通の人なんかどこにもいないだな、みんな何かしらのスペシャリストなのだな、と気付きます。でもそれに気付くためには、相手を尊重し、相手の話を傾聴する姿勢を常に持つことが大事なんじゃないかと思います。
 オレがそうだとは言っていません。オレは自分の話をするのがあまり好きではないだけです。自分の知ってる話をしたって、自分に情報が増えないから面白くないんですよね。その結果として、たまたま他人の話を聞く場面が多くなっていっただけだと思っています。でも、そういう姿勢で常にありたいな、とは思っています。


 相手を尊重する姿勢を常に持っていれば、世の中みんなスペシャリストだらけです。面白い話がいくらだって聞ける。それって最高にエンターテイメントな世界じゃないですか!みんながみんな、そうある必要はないけれども、少なくともオレの手の届く範囲はちょっとだけそうあれるように頑張ってみようかな、と今回改めて思いました。



おわりに

 オレと先生の出会うきっかけになったバー「BAR blue moon」に最大限の感謝を。
15周年おめでとうございます。
www.bar-bluemoon.com

「枯れた技術の水平思考」と「IoT」

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 昨今では「IoT」という言葉を聞く事がそれほど珍しくなくなりました。ITエンジニアのオレにとってはそれこそ日常茶飯事で目にする(あるいは耳にする)単語です。でも、この言葉を聞くたびに、必ず思い出すエピソードがオレにはあります。


 数年前、業務コンサルタントの友人とバーで酒を飲んでいた時の話です。内容はたわいもない話から、いつの間にか互いの仕事の共通点である「IT」のトピックへ移りました。酒もそれなりに回り出すと、議論がいつの間にか白熱していたのを憶えています。話題のITトピックについて、どちらかというとあまり詳しくない友人に向けて、オレが平易な言葉を選んで分かりやすく説明しようと試みていたのですが、突然友人からややろれつの回らなくなった口でこんな質問を投げかけられました。




タキガワさん、僕はね、今更『IoT』なんてものが話題になる理由がさっぱり分からないんですよ。だって、僕がコンサルに入ってる製造業の現場(=工場)では、どこもとっくの昔に導入してて、当然の当たり前なんですよ。なんで世間は今更こんな使い古されたものに大騒ぎしてるんですか?




 「IoT」つまり「Internet of Things」は、乱暴に説明すると、既存の「コト」や「モノ」を片っ端からインターネットにつなげてデータ取って分析しちゃおう、というもの。通信技術が高価だった時代と比べると、昨今は通信品質は圧倒的に向上し、なにより値段が劇的に(それこそ何百分の一というレベルまで)下がっています。なにより機材のサイズがとても小さくなっていて、場所を取らない。やっと気軽になんにでも導入できるようになったわけですね。SORACOMみたいな新しいサービスが出てきたのも大きな要因でしょう。


 ところが、製造業の大規模な生産ラインは、品質不良やライン自体の故障やなんかが発生すると、一瞬で億単位で損失が出ちゃったりします。それほど通信技術が安価でない時代であっても、想定される損失と天秤にかければ、十分に釣り合う。そのような現場を主戦場としている友人にとって、蛇口をひねれば水が出る、コンセントにプラグを挿せば電気が流れる、それらと同じように、センサーが生産ラインをチェックし続けて状況を逐次知らせてくれる状況というのは当たり前なのでしょう。それが最初から当たり前の環境にいるのであれば、「IoT」が巷で話題になっているのは「何を今更」と思うのは至極当然なのかもしれません。


 友人のその質問を投げかけられ、しどろもどろ回答していたその時、オレの頭によぎったのは「枯れた技術の水平思考」という言葉です。言わずと知れた任天堂の故:横井軍平氏の言葉です。

ゲーム&ウオッチは、5年早く出そうと思ったら10万円の機械になっていた。量産効果でどんどん安くなって、3800円になった。それでヒットしたわけです。
これを、私は"枯れた技術の水平思考"と呼んでいます。
技術者というのは自分の技術をひけらかしたいものだから、最先端技術を使うということを夢に描いてしまい、売れない商品、高い商品ができてしまう。
値段が下がるまで、待つ。つまり、その技術が枯れるのを待つ。枯れた技術を水平に考えていく。垂直に考えたら、電卓、電卓のまま終わってしまう。そこを水平に考えたら何ができるか。そういう利用方法を考えれば、いろいろアイディアというものが出てくるのではないか。


   ―  横井軍平著『横井軍平ゲーム館』(アスキー 1997年)


 「枯れた」という言葉は、ITエンジニアリングの現場では「バグの出ない」「安定した」と言う意味で用いることが多いです。多くの技術者・案件が活用している製品・サービスであれば、使い込まれるほどにバグが露見し、その都度修正されてきている。だから古くて人気のある製品・サービスであればバグもなく安心して活用できる。バグや不具合を泉(=製品・サービス)から湧き出る水に見立てて、古くて安定した技術のことを「枯れた」と表現したのでしょう。


 でもまぁ個人差はあれど、一般的には「枯れた」といえば真っ先に植物が思い当たるでしょう。植物が枯れるとは、水分量が減って、重量が軽くなる、体積が小さくなる、それを流通させた際の値段が安くなる。
 通信技術が発展することで、サイズが小さくなり、軽量化し、安価になる、まさに「IoT」のそれが当てはまります。なるほど、横井軍平氏が言った「枯れた技術」とは泉ではなく植物のことだったのかもなぁ、なんてことを、今更ながらに思いました。(よくよく考えたら横井軍平氏はITエンジニアではないですしね)


 さて、前述の友人の「世間は『IoT』の何に大騒ぎしてるんだ?」という問いについては、オレは要約して「コストダウン」と答えた気がします。が、友人からは、人を小馬鹿にしたようなツラで「ハァ?」といういささか怪訝な返事が返ってきたのを鮮明に記憶しており、それ以来「IoT」という言葉を聞くたびにあのイラッとする表情が頭をよぎるようになりました。先ほどの「枯れた技術の水平思考」も相まって毎回複雑な心境に陥るのですが、それにもういいかげんウンザリなので、誰かと共有して忘れ去ってしまいたいと思い、ここに記した次第です。

2018年の抱負

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ご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。2018年も滝川陽一と本ブログをどうぞ宜しくお願い申し上げます。



はじめに

 一年の計は元旦にあり。昨年の目標と実際の行いを振り返りつつ、今年の目標を考えてみたいと思います。


昨年の振り返り

 まずは昨年の振り返りから。昨年は3つの目標を立てました。
takigawa401.hatenablog.com

1.「TOCfE」の入門本を執筆・頒布する
2.「AI」に関して網羅的に知識をまとめ、アウトプットを出す
3.金を貯める

 結論から言うと、全部達成ならず。

 1 はコミケのサークル参加枠に当選できませんでした。申込書の段階からちゃんと策略を練らないとダメですね。

 2 は携わった業務自体がAIとは関係無いものになってしまいました。いや、音声認識だから一応AIはAIなのか。
 AI全般に関するアウトプットは、一応社内向けには作りましたが、業務時間内で作ったものなので社外に出す予定はありません。
 音声認識に関しては、対話設計というものが如何に難しいか、というのを思い知ったのが昨年後半でした。タイミングよくAmazon AlexaやGoogle Speech APIが台頭したのも昨年で、それらを利用して「初音ミクに関連した何か」を作る準備も進めています。月一の部活でちょっとずつやってるんで、進捗は極めて遅いですが、のんびり焦らずやっていきたいです。

 3 は全然でしたねぇ。減る一方。特に昨年後半はそうとう厳しい状態でした。アバウトにやってないで、家計簿とかつけないとダメだな。

takigawa401.hatenablog.com

 その他の観点からの振り返りは上記記事に書きました。末尾にある通り、仕事面に引っ張られて全体的に低調という印象がある、悔いの残る一年だったと思います。多少の浮き沈みはありながらも全体としては右肩上がりに、というのがなんと難しいことか。数年下がり続けてあるタイミングでそのマイナスを一気に取り返すも、以前までは戻りきれない、そんな状態がここ10年くらい続いている気がします。



2018年の抱負

 上記を踏まえ、今年は以下のような目標を立ててみました。

1.プログラミング教育に関する準備をする

 2020年秋の小中学校のプログラミング教育義務化に際して、それを軸にした活動を、しいては事業化を、と思い至ったのが昨年でした。学校の教員の方々には大変な負担になるはずで、故郷でそれをサポートする立場で動ければ、と思っています。

  • CoderDojoに参加する
  • ScratchやRaspberry Piに触る
  • 情報収集
  • etc......
2.「TOCfE」の入門本を執筆・頒布する

 昨年からの継続。TOCfEに関してはさっさとキレよく終わりたい。相方に任せきりの部分もちゃんと自分で手を出して、まずはサークル参加枠を掴み取りたいです。本文書く方も進めていきます。

3.禁酒

 昨年、特に年末にお酒の失敗が多かったです。どうも体質が変わってきた(肝臓が弱ってきた?)のか、同じ飲み方でも同じ結果にならなくなってきています。あと、お金がないのもだいたい酒のせい。さすがにこれは自重せざるをえない。
 よしおかさんの以下の記事を先ほど読んで、「なるほど、あのプロの酔っ払いが1年も禁酒できるのなら!」と勇気を貰ったので、昨年よりもちょっとでも飲酒の量・回数・金額を減らせるようにしたいです。禁酒というより節酒に近いですが、強い言葉で戒めないと怠けるので(強い言葉を使っても怠ける)、断固たる決意を持って、しかし柔軟にお酒を絶っていきたいです。
d.hatena.ne.jp

4.積ん読消化

 Kindleと実書籍合わせて数十冊が積ん読になってます。非常にいくない。1週間に1冊を目標に、まずは押入れの中を空にすることを目指します。

5.英語

 中学生までは成績悪くなかったんだから、やればそこそこできるはずなんですよねぇ。去年は英語が負い目になるシーンが多かった気がする(お前なんか負い目だらけだ、という意見は的を射ている)ので、まずは中学三年生レベル、できれば高校三年生レベルを目指して勉強していきたいです。この記事だとTOEICで中学生平均が360前後、高校生平均が540点前後らしいので、このくらいならなんとかいけるんじゃないかしら。
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp



おわりに

 昨年全然達成できていないにもかかわらず、今年の目標は昨年より多く設定しました。今年はオレも40歳、「不惑」と呼ばれる歳です。集中力がなく気が散りがちなオレですが、よそ見せず少しでも自分の生涯の目標を達成できるように邁進したいです。


 改めまして、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

p.s.

 今年も無事元旦のうちに目標を立てることができました。立てるだけで満足してちゃダメですけど、まずは一安心。
chigai-allguide.com

2017年ふりかえり

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 2017年もあとわずかとなりました。例年なら12/31にふりかえりをやってるんですが、今年は明後日以降バタバタしそうなんで、ちょっと早く今年一年を振り返ってみたいと思います。

仕事

 新宿にあるSIerに転職しました。初出社したらいきなり餅つきが始まったり、いきなり全社での宴会に放置プレイを食らったりと、なかなかに波瀾万丈を予感させるスタートでしたが、現時点でおしなべて転職一年目を評価をすると、この転職は明確に「失敗」だったと言えるでしょう。何があったかはそのうちここに書こうと思います。
 じゃあどうするか、は現在検討中ですが、いづれにせよ、この一年の反省点を全て洗い出して分析し、次の行動に活かせるように準備していきたいと思います。


 一方で、元々人生の目標としていた「故郷の土になる」を果たせる取っ掛かりを、やっと見つけることができたのも今年でした。やっと故郷に帰れるめどがついてホッとしています。うまくいけば、東京五輪を生で観ることなく東京を去ることになると思います。
 とは言え、あまり準備期間もなく、その割にやることは非常に多く、あまりノンビリしていられない状態。独り身であることをいいことに自堕落に過ごしてきたのを引き締め直し、期限に間に合うように取り組んで行かねばならんなぁと思っております。

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コミュニティ

 2/11の講師業を以って、長らく活動してきたTOCfE Bootcampの活動を正式に引退しました。別にオレはTOCfEの達人になりたいわけじゃない、そこそこ自分で不足なく使えればいいや、と思ったのが一番の理由。まぁ他にも色々理由はありますが、3年以上費やしてきたんだし、この辺が潮時だろ、とラインを引くことに決めました。

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 そうは言っても、思考プロセス・ロジカルシンキングまわりはそれなりに面白いので、今回得た知識やコネクションを取っ掛かりにいくつかイベントに参加してました。直近は@_N_A_さんや@DiscoveryCoachさんの影響でパタンランゲージが面白そうなので、その辺は継続していきたいです。

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 あとは、以前から引き続きアジャイル系の勉強会には継続参加しています。
 現在のメインはLeSS Studyアジャイル・ディスカッション!!。あとはちょいちょい気になったイベントには積極的に参加するようにしています。

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 XP祭りは今年は一般参加者として参加してきました。ただ、後から振り返って、一般参加者のくせに妙にでしゃばってしまった気がしています。老害イクナイ。来年は登壇でもしない限りは自重しよう。

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技術

 仕事で携わったこともあって、今更ながらAWSに触り始めました。個人的にはサーバレスなサービスが好きですね。(まぁそれしか触ってないという言い方もある) 今後も何かにつけて触る必要があるんで、積極的に勉強していきたいです。

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 あとは、同じく仕事で音声認識系の技術に携わっていました。あんまりテクニカルじゃなくて、どっちかというと国語力が問われてる気がしますが、対話を組み立てて音声だけでやりたいことを実現(命令)するのが、いかに難しいかを痛感しました。オレが今やってる音声認識の技術はクローズドなものなので、正直将来役に立つ可能性は皆無なんですが、せっかく関わったのだし、GoogleAmazonの類似サービスで覚えたことを転用できないかはトライしてみたいと思っています。



ブログ

 2017年に書いた記事数は、本記事も合わせて63本。うち約半数は12月の記事でした。独り写真アドベントカレンダーで水増しした感はぬぐえないです。
 久々に炎上もしましたが、そもそも身内向けに書いたものを赤の他人に読まれても困っちゃうんだよなぁってところはありました。本筋と全然関係ないところで散々叩かれましたが、その言い分はあまりに愚かな内容だったので知ったこっちゃないです。でもまぁ、この炎上記事をきっかけに、以前公開したスライドが広く日の目を見ることになったので、それに関しては良かったです。

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 何回かはてブホッテントリ取っていることもあるのか、「もっと読まれたい!」「注目されたい!」といった承認欲求のようなものは今はあんまり無いので、このブログに関してはぼちぼち日記として書いていければいいかなと思っています。




飲食

 相変わらず呑んだくれてます。酒を控えるとか、どの口が言ったんだか。
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趣味

 スポーツ観戦については、なんとも冴えない一年でした。


 FC東京J1リーグ13位、ルヴァン杯天皇杯ともに早々に敗退。あれだけの大型補強をしておいてこの体たらく。一体なんなんでしょうねこのザマは? 昨年に引き続いてのこの結果ですから、フロントの責任は非常に重いと思っています。もし来季開幕時に同じ社長・GMであるならば、残念ながら来季の躍進も望めないでしょう。
 松本山雅J2リーグ8位。序盤のけが人続出と、終盤の失速が響きました。正直なところ、昇格プレイオフ圏内(3〜6位)は固いと思ってましたし、自動昇格枠(1〜2位)も十分狙えると思っていただけに、非常に残念です。来年も反町監督が継続してチームを率いてくれますので、来季こそJ1昇格を果たしたいです。


 ……へ? チュウニチドラゴンズ? なにそれ美味しいの?


 個人的にショックだったのは、ナオこと石川直宏選手の引退でした。FC東京のレジェンドであり、象徴でもあった選手がいなくなる、というのはとても辛いです。味スタのピッチを駆け抜けるあの姿を、もう二度と観ることができないんですね。まずは怪我をしっかり治して、新しい人生に踏み出して欲しいと思います。長い間お疲れ様でした。
 同様に、徳永悠平選手の退団もショックでした。彼は故郷:長崎のチームへの移籍が決まっています。まだ活躍できるうちに地元に何かを遺したい、徳永の姿はオレ自身目指す生き方なので、寂しくても応援しないわけにはいきません。彼の今後の活躍に期待したいですし、味スタに敵チームのユニフォームで現れた時には拍手で迎えたいです。

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 写真はぼちぼちです。今年は一回しか旅行に行かなかったので、サッカー以外の写真があんまり撮れてなくてバリエーションに乏しくなっちゃいました。来年は旅行とは行かずとも、ちょっと出かける時にもカメラ持ち歩くようにしたいです。

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生活

 色々あってお金に困ることが多かったです。非常によくない。支出を抑えるよう生活改善を続けていますが、まだまだ改善の余地はあるので、とっととこの嵐から抜け出したいっすね。


 これといって運動はできていないんですが、通勤の中で毎日一時間程度歩くようにしているので、幸いにして極端な運動不足ではないようです。体重もほぼ前年と同じレベルでキープ。風邪もひいてないし、体調も悪くないですし、持病の腰痛もメンテナンスの甲斐あってギックリ腰が一回もなく(ここ10年くらいで初めてかも)すごせました。酒のせいで肝臓の数値は芳しくはないので、酒を減らす努力はしないとなぁ。


 ……恋愛?結婚? ねーよ。あるわけねーだろ。



総括

 仕事面が思い切り足を引っ張って、全体的に低調な一年でした。せっかくお遍路までやってきたのになぁ、ご利益もへったくれもありゃしない。ただ、自分に非がないわけではないので、来年に向けてしっかり反省をして、2018年は後悔の少ない一年にしたいです。

繁華街のコンビニでペットフードが売れるワケ~ビジネススクールで聞いた夜の蝶にまつわるお話~

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 オレの所属する会社は本日で営業を終了、オレは例年より早く年末休業に突入することになりました。皆さんどうぞ良いお年を。まだ仕事納めにならない人はもうちょっとだけ頑張って下さいね。


 おそらく今週はどこの会社も仕事納めで、大掃除をやった後にそのまま納会、そして二次会に、という方も多いんじゃないかと思います。場合によっては歓楽街に繰り出し、キャバクラとかもうちょっと大人向けなお店に遊びに行くという人もいるんじゃないかと。まぁ2017年も終わりだし、ちょっとくらいハメ外したってしょうがないよね。よね。


 そんなことを考えていたら、5年位前に受けたビジネススクールの授業の内容をふと思い出しました。
 その授業は、コンビニの売上データから周辺住民の行動を推測・観察する、というものだったんですが、教授の提示した2つのデータには顕著な差がありました。
 ひとつは、住宅街のど真ん中のコンビニ、もうひとつは繁華街のど真ん中のコンビニ。
 データにはいくつか違いが見られ、それぞれに行動分析が出来たんですが、オレが特に印象に残ったのはペットフードの項。なぜか住宅街のコンビニより、歌舞伎町のほうがペットフード売上が高かったのです。


 結論を言うと、ペットフードを買うのは、いわゆるキャバ嬢と呼ばれる女性たちです。当然自分の買っているペットに与えるためなんですが、売上に顕著に現れるほどペットを飼う率が高い様子。なぜキャバ嬢はそんなにペットを買っているんでしょう? 寂しいから? 心の癒しが必要だから? それらも間違いじゃないのかもしれませんが、教授から告げられた答えはもっと衝撃的でした。


 キャバ嬢たちが飼うペットは、お客さんからの貢ぎモノなんだそうです。客からキャバ嬢への貢ぎモノというと、宝石やバッグ・高級時計といった、換金性の高いものが頭に思い浮かびますが、それはキャバ嬢の客たちも同様で、自分が単なる「財布」扱いされてないか、自分の渡した品が質屋やネットオークションに出回ってないか、をチェックしてまわるタイプの人もいるそうです。キャバ嬢側もチェックされていることは察しているので、うかつにボロを出さないために、あれやこれやを打っているとのこと。その対策の一環が「ペット」です。


 キャバクラの客が店に行く前にキャバ嬢と店外デートをする(ここも料金に含まれる)ことを「同伴出勤」と言いますが、この同伴出勤のタイミングでペットショップに立ち寄ります。そこでキャバ嬢は血統書つきの犬猫を見つけ、客に買ってくれとねだり、下心のある客が嬢の気を引くためにペットを購入するわけです。


 この仕組みの恐ろしいところは、ここからです。

 キャバ嬢は、この飼ってもらった犬猫を購入したペットショップに売ります。で、また別の客との同伴出勤でねだり、購入してもらう。まったく同じ犬猫が望ましいですが、売れちゃってる場合には似た別の個体を買ってもらいます。当然ペットショップはグル。ペットショップとキャバ嬢で結託して、同じ犬猫で何度も金を稼いでいくのです。もちろん、実際に購入してもらったペットを自宅に連れて帰り、しばらく飼う期間もあるのでしょう。コンビニのペットフードはこのために購入しているものと思われます。昼寝て夜働く水商売の女性にとって、ペットフードを気軽に買えるのはコンビニくらいなんでしょうね。

 で、ある日、前の客が店に来店してきたら「貴方に買ってもらったこの子、可愛いでしょう♪仲良くなったよ♪」なんて言いながら写真を見せるわけです。客側はペットの個体差をそれほどつぶさにおぼえているわけではないので、コロッとだまされる。「ああ、俺の飼ってあげたペットはちゃんと可愛がられているんだ」と。

 一方で、客から宿泊込みの旅行なんかに誘われると、「あの子がいるから家を空けられないの。ゴメンね。」と言って断る口実に使うんですって。自分が買ってあげたペットだから無碍にするわけにも行かず、客はしぶしぶ了承することになるわけですなぁ。いやぁ、実に恐ろしい。


 この話は5年以上前に聞いた話なので、今もそういうビジネス(?)がはびこっているか、は不明です。(早稲田大学の教授先生から聞いた話だから、さすがに嘘や作り話ではないと思いますが) あと、歓楽街のど真ん中でペットショップを見つけても、変に勘ぐって詮索しないように。怖いお兄さんが出てきてもオレは責任持てませんので。触らぬ神に祟りなし、ですぜ。

2017年の25枚 ― No.25「ライン際の攻防」

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 2017年最後の1枚は「ライン際の攻防」としました。昨日同様やっぱりタイトルなんかどうでもよくって、今年1番の出来だったんじゃないかなって写真を最後に持ってきました。
 この写真は8/13(日)のvs神戸戦のもので、この直前に夏コミ(C92)のコスプレ会場で散々撮影してきた後でした。今年の夏コミは光の調整に四苦八苦して、散々色々試した挙句に、やっと最後のほうでコツを覚えたところでタイムアップでした。その反省を生かして味スタで撮影に臨んだんですが、これがバッチリ功を制し、この試合では結構気に入った写真を何枚も撮れたんです。いやぁ、転んでもタダで起きちゃいけませんな。


 というわけで、25日にわたり、オレが今年撮ってきた写真をご紹介してきました。改めて全部振り返ると……バリエーションが非常に乏しいですね。ほぼサッカーとコスプレだけ。一枚一枚はそれなりに気に入っているんですが、並べてみると偏りすぎててなんともツライものがありました。せっかく日本の東京に住んでいるのだから、四季の彩りとか、東京の街並みとか、もっと色んなところに出かけて色んなものを撮るように心がけたいです。2018年はもうちょっとバリエーションに富んだラインナップにしてみせたいです。


 ご紹介してきた25枚はAdventarにまとめてみました。こちらからもどうぞ。